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トレンディドラマのように・・・

この作品は、全て妄想であり、創作です。


浩二が転勤、私もかつての日常に戻ってから半年過ぎた。



ある日、中学生になって元気に部活動に励んでいる娘とショッピングと食事に行った。

娘は大盛りの唐揚げセットをペロリとたいらげながら、ママ最近優しい顔になったね?もうパソコン教室のお手伝いに行かなくなったの?っと聞いて来た。

浩二と会っている頃、毎週土曜日とか突発的に家を空けることが良くあったので、友達に前からパソコン教室のアシスタントをしないか・・と頼まれたこともあり、娘にそのように言っておいた。

でも、テニスクラブも辞めたので本当にその仕事をやろうっと今検討中だ・・・最も簡単なエクセルワードぐらいしか出来ないのだが・・・



もちろん、浩二とはあれからお互いに一度も電話もしてない。

しかし、そこが未練なんだろう。自分の携帯の番号を変えることは出来なかった。

娘や、今ドバイにいる主人に番号を変える言い訳を考えるのもなんとなく嫌だった。まして一緒に出かけて車中で歌を聴いて泣いてしまった時の友達には特にバレバレの気がして、気が引けた。



そして、浩二を思い出して身体がうずかなかった・・と言ったら嘘になるが、娘の部活の遠征のお手伝いや、お茶当番、次のバイトのためのパソコンの勉強を復習したり、忙しく日常は過ぎて行った。



そー言えば、私の車、そろそろ買い替えるかな・・・だいぶ古いし・・・もう一台の浩二に何回か貸した車は外車だったのでぶつけたりするとメンテなどなかなか面倒くさかった。

その辺乗りまわせる小さな軽自動車がいいな~なんてぱらぱら車の雑誌をめくっている時だった。

まるで私の心を読んだように浩二から電話が掛かってきた。



浩二がここに居るとき買った中古の車を東京転勤に伴って持っていったが、会社の買い上げマンションとは言え、駐車場が毎月2万とられて、維持も大変だし、東京に住んでいると地下鉄に乗っての移動がほとんどだから、車は必要無い事が多いと。

それでも駐車場は破格に安い値段ではあったろうが浩二は関西人特有の、ぶっかたいところがあり、必要経費にはお金をかけるがしめるところはしめる、とけっこうしっかり者だった。

つまりは、私にその車を貰って欲しい。東京に取りに来て欲しいと言う内容だった。



私は一応抵抗してみた。

『家の駐車場に3台入るかなぁ。処分しちゃえば?』


『鈴木さんのあの車、もう買い替え時ですよね?良く話してたじゃないですか?それに僕の車古い型だけど距離乗ってないしまだ車検残ってるんですよ、もったいないでしょ?』



そっか、私は浩二を良く迎えに行ってたので、車をそろそろ取り替えたい、もう一台はほとんど使わないけど主人が好きな車だから・・・なんてそんな話も浩二にしていたかもしれない。浩二はそれを覚えていたのだろう。



浩二が言い訳を作って私に電話をして来たのかは、良くわからない。本当に車が邪魔になって車を維持できそうな人間を私しか思い付かなかったのかもしれない。

私も、もう次の車決まっちゃったんだよね、ごめんね・・・と言えば良かったに違いないのだが・・・・・



やっぱり私は浩二の言うとおりに浩二の住んでいると言う池袋まで車を取りに行った。無謀そのものだ。

浩二に教わった通りに、警察や陸運局、役所等やらで、名義変更の手続きもした。



浩二に会いに行く。それはお茶を飲みに行くのではない事は分かっていた。当然、浩二も最初からそのつもりで私に東京に来いと言っているのだ。

近いうちに彼女と結婚するつもりだと言っていたその口で、なぜに年上の元愛人を誘うんだろうか?

男とは不思議な生き物だ。その口に乗る女はもっと馬鹿だが。



私達はまるで一昔前のトレンディドラマのように池袋駅前のティールームで再会、浩二の車でドライブ・・・浩二の新橋にある本社ビルも見せてもらったり,....

で、お約束のように肌を合わせた。浩二の若い体臭が懐かしく、浩二と私は互いに馴染んだ身体を思いっきり堪能し合った。



浩二は言った。

『気のせいか、鈴木さんの存在、彼女に微妙にばれてるみたいなんですよね。』

そりゃ、そうだろうな・・・・もし何にも気づかなかったら、いくら世間知らずでもその彼女別の意味でやばいと思うよ・・・


『じゃ、こんなことしてる場合じゃないんじゃない?』

今日は彼女に何て言ってるわけ?』


『1日缶詰で語学研修だから、繋がらない、終わったらこっちから電話するからって言ってある。』

なるほどね~。ある意味、男性の浮気テクニックを教えて貰ったようなもんだ!(笑)


『うん、もう電話攻撃が凄くて、完全に見張られてるんだ。ちょっと携帯に出なかったら大騒ぎで・・・そんなところが疲れちゃうんだよな~。関西にも週一のペースで帰って来いとか、出来ないなら自分が来ると言うし。仕事にならないんですよね?まあ、僕が全部悪いんだけど。』



そっか。私みたいに主人が海外のどこかにいるか良くわからないぐらいまで麻痺して平気でいられるような女はまれって事か・・・



でも私は、きっぱりと別れを誓った。

浩二の車をこれから乗り回せば、浩二の事をしばらく忘れることは出来ないが、形見をもらったつもりで地方で健気に生きていこうと固く心に決めていた。

帰りの道中は、なぜか寂しく無かった。逆に爽やかだった。



もう会うこともあるまいが、浩二が大切にしていた車を私にくれたことが、私の心をホンワカと満たしていたのた。


やっと本当の別れが見えてきた私。次回最終回です。

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