浩二の転勤
この作品は、全て妄想であり、創作です。
浩二の本社転勤が決まった。
その報告を聞いた時の私の気持ちをどう表現したらいいだろう?
最初は頭が白くなり、胸が痛くなり、ジワジワと来たのが安堵だった。
これで楽になれる。
もう呼び出しの電話を待つ事も、私が我慢出来ずに電話する事も逢瀬の後、自己嫌悪に満ちた気持ちで帰途に着く事も無いのだ。
私は酒が強いが、気分によって飲み過ぎる傾向があり、浩二との事があってから特に、1人でいる時に酒を飲まないように気をつけていた。
まるで演歌そのものだが、酒が寂しさに輪をかけた。
酔うと浩二を求めてすすり泣いた。
酔うと切っておいた携帯をカバンから引っ張り出して電話をかけてしまう。
苦しくて苦しくて飲み過ぎて吐きながら泣いた。
そして夜中は胃の重い鈍痛で寝返りが打てなかった。
でも浩二の前では決して泣かないよう、泣き言を言わないよう努力した。
面倒くさい嫌な女になりたくなかった。
しつこい女につまずいたと思われたくなかった。
私に残された最後のプライドだった。
浩二の彼女が発覚してからそんな半年間だった。
浩二から昼休みにその連絡を受けた私は今度こそ言った。
良かったね。元気で。ありがとう。
そのままサウナに直行して泣いた。
昼間のサウナは殆ど誰もいなかった。
サウナの蒸気の中で、泣くのは最高だった。
途中からのぼせて頭痛がしたが....
罪を重ねたバカな中年女の私は今日からまた平凡なバカな主婦に戻れるのだ。
いや、戻らればならない。
やっと浩二の転勤ですね。以前の日常に戻れるかな?




