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あがく・・・

この作品は、全て妄想であり、創作です。


私もとうとう年若い男の言いなりになってしまったんだな・・・と思った思い出の一つ。



浩二が関西の彼女に会いに帰省して、こちらに戻って来る時、羽田空港まで迎えに行った事がある。



私はその頃にはすでに、感覚が完全に麻痺しており、主人への罪悪感はもとより、というか主人の声すら1年近く聞いて無かった。地球の反対外に居るはずだ、たぶん。

彼女への罪悪感というものも完全に欠落していた。見えない距離というのは便利なのか罪なのか?

これまた不思議なことに、彼女への嫉妬心はほとんど感じなかった。それよりも私へ多少執着している事で彼女との結婚を足踏みしているのが会うたびに浩二から伝わって来て、若い未来あるエリートの将来を邪魔しているのではないか?とそちらの方を恐れていた。

これは思い上がりでもなんでもない。ただ人様の人生に関わらざるを得なかった事が恐ろしかっただけだ。



浩二だってさんざん良い思いしたでしょ?私もラッキーだったわ、相性の合う相手に出会えて・・・

だから綺麗に別れようね?お互いの為だもの・・・・

こんな風にサラッと別れられるほど、私は肝が据わって無かった。いや実際の行動は大胆だったに違いないのだが・・・



それなのに、なぜ羽田まで迎えに行ったかと言うと、浩二がまたまた具合が悪いと連絡して来たからなのだ。

冷静に考えれば、彼女に会いに行って強行軍で熱が出た、その彼が具合悪くなろうがなんだろうが、私に全く関係ないでなないか?それなのに私は文句の一つも言わずに迎えに行ってしまった。ユンケルまで買いこんで。



その日はバレンタインデー、雪がチラついて寒い日だった。私からチョコレートを貰えるか試したんじゃないだろうか?

その子供っぽい発想は分かったので、悔しいから道中チョコレートは知らんぷりしていた。私に無視されてると思ってシュンとしている浩二に内心笑えた。

私も最後まで突っぱねればいいのに、寮の前で降ろす時に小さいチョコレートを栄養ドリンクと一緒に渡してしまった。



私の内心はどす黒く、主人を裏切り、若い男と乱れるような嫌な女なのだ。

浩二の事だって、愛しさ反面自分の事を棚に上げて、憎たらしいと思っているのだ。

自分の存在が浩二の結婚を邪魔しているのが怖い反面、彼女と別れてしまえと毎日思っているのだ。

じゃなかったら、仕事でちょっと失敗して、網走とか佐渡島にでも飛ばされればいいって何回も思っているのだ。

重症の時は、、娘と2人の生活、主人と何の問題も無く裕福な離婚をしたいと思っているのだ。

(あっ、浩二と一緒になりたいとかじゃない)



でも私はそんなことはおくびにも出さなかった。いや出せなかった。ブリッコなんだろう。

浩二に私の事をビーナスだと思っていて欲しかったのだ。別れてからもずっと・・・。



もうこんな居心地のいい、相性の合う女は二度と会えないと思って欲しかった。


さて、2人ともだいぶ苦しそうですね?浩二は無事転勤できますでしょうか?

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