別れまでのステップ
この作品は、全て妄想であり、創作です。
私達はその後、浩二が本社に転勤の辞令がでるまでの半年間、何度も別れの儀式らしきものを繰り返し続け、失敗に終わった。
考えられる理由としてはただ一つ、私達2人が弱かったに過ぎない。
私は浩二からの呼び出しをいつもいつも待っていたし、浩二は浩二で私からの電話を待っていた。
相手からかかって来た時は互いに、それでもちょっとは冷たくあしらおうと努力は試みるのだが、どうしても駄目だった。
電話で喋ると会ってしまい、会うと当たり前のように肌を合わせた。
浩二は私の身体のスミからスミまで熟知し、私が感じる、いたるところを何度も執拗に責めた。
私は浩二の責めに応酬しながら、不思議な事にあの頃、浩二がどうして欲しいのかが良く分かった。まるで身体と身体で会話するように。
たぶん、切羽詰ったシチュエーションってのが2人に余計に火を付けていたのだろう・・・
私達はそれこそ、またまた陳腐なセリフではあるが、磁石が引き合うように求めあい、引き合った電磁波は簡単に離れなく、強力に張り付くのだった。
そして、ああもうこれ以上は出来ない・・・・と一瞬気を失いそうになる瞬間、2人で果てる。
毎回その繰り返しだった。
あんなにあんなに1日とおかず、喋っていた私達なのに、会話は何もなかった。
何を喋ってよいのかわからず、何をしゃべっても相手や自分の愚かさを責めてしまいそうだった。
2人でいると寂しい・・・というこれまた良く聞くセリフがあるが、私はこの意味が実感として良くわかっていなかった。
浩二に会いたかった。抱かれたかった。でも肌を合わせての帰途は心から寂しかった。自分につくづく嫌気が差した。
そして浩二からの電話を待って居る時も苦しくて寂しかった。胸が焦げるようだった。
会っても地獄、会わなくても地獄。
そんなことを繰り返しているうちに、私は胃を患った。いわゆる神経性胃炎というやつだ。苦しかったがたいしたことはない。原因は分かっているのだから。
今までのんびり生活してきた私は過去にテストの前ぐらいはあったろうが、心配事で眠れないなんて経験は無かったし、胃が痛いと夜中に寝返りも打てないのも初めて経験した。
前にも書いたが、自分の生活に影響が出るような苦しい色恋沙汰は生まれて初めての事だった。
世の中の人ってこんなに苦しい体験をしているわけなの?だからあんなに、小説や歌や芸術が生まれて来たのだろうか?馬鹿な私はそんなことを考えていた。
みんな、どうやって終止符を打つんだろう?ドラマの中じゃなくて、現実の別れ方は・・・・
ある日まどろんでいる時・・・・
浩二は私の腕の中に顔をうずめて泣いているようだった。
私も思わず泣きそうだったがぐっとこらえた。
こんなにのびのびと居心地が良い空間が初めてで、終わりにしないといけないと分かっているのだが、どうしても駄目なのだと言った。
彼女は子供なので常に気を使っていて集中できない、でも私とだと本当に本能の赴くまま素直に身体を合わせられるのだと。
下世話な話、私と彼女は16歳違うわけだが・・・もちろん身体の若さに適うはずはないのだが、勝るとしたら、その相手を思いやれる余裕ってやつなのだろうか?
でも、浩二はそう言ってくれたが、私が果たして相手を思いやって自由にさせているのか、自分が浩二の身体で快楽を得たいだけなのか全くもって自分の本心が分からなかった。
さてさて、お互いの身体のツボを知っている2人・・・なかなかきっちり別れられないようですね!




