ステータスを確認しよう1
「記憶がないだぁ？」
「うん。名前以外の全てが思い出せないんだよね」
「……おめー、それ大丈夫なのか？」
「大丈夫……なんじゃない？今のところ不便に感じてることはないし」
確かに自分が何者なのか気になりはするけれど、それを除けば別に不自由はしていないんじゃないかな？たぶんだけど。
「にしても参ったな。これじゃあ、こいつが戦力になるかわかりやしねえ」
ん？ああ、そうか。戦いの経験がどうとかいってたよね。
「たぶんないんじゃないかなあ？」
「まあ、そう考えておいた方がいいだろう。最悪の事態を考えておかないと全員が困ることになるだろうしな」
アルヴァさんは優しい人なのかな？責めたりしないし。ただ事実を言ってるだけっていうのもありそうだけど。それと心配してくれてるあたり、やっぱりジリアンさんはいい人なのかも。
「ええと……では、今後のことも考えてスキルとステータスの説明をしておきましょうか。異世界から来た勇者様方は知らないかもしれませんし」
スキル？ステータス？よくわかんない。たぶん召喚される前にはないものなんじゃないかな。確かに記憶はないけど、知識はあるみたいだし。なんか偏った知識だけど。自由落下の公式なんてどこで使うんだろう？
「まずは実際に見ていただいた方がわかりやすいと思います。『ステータス』と念じてみてください」
ステータスって念じるの？えい、ステータス。
「あわわわわ！な、何ですか、これ！」
「何これ？これがステータス？」
なんだか画面が開いたよ。ステータスってこれ？で合ってるんだよね？
「おそらく皆さんの前には自身の情報が載った画面が出ていると思います。それがステータス画面です」
「あ、HPはないんだ」
「HPですか？」
「何でもない。気にしないで」
「はあ………」
凛花さんが言ってたみたいにHPはないね。割とありがちなものなのだけれど……ゲームじゃなくて、現実だからなのかな？あるのはMP、STR、VIT、DEX、AGI、INT、LUKの七つ。MPはわかるけど、あとは何？
「このSTR、VIT、DEX、AGI、INT、LUKって何？」
「はい、STRは主に筋力のことですね。この数値が高いほど力があるということです。次にVITですが、これは生命力のことです。悪運が強いと言われる人はこの数値が高いことが多いです。DEXは器用さのことです。この数値が高い人は武器をうまく使えたりします。AGIは素早さですね。足が速い人はこの数値が高いです。INTは知力のことで、これが高い人は魔法の威力が高いです。最後にLUKですが、これが高い人はいわゆる幸運な人です。それと、MPの説明はいいのですか？」
「MPはマジックポイントで、これが高い人ほど魔法を多く使えるんじゃなかったっけ？」
「ええ、その認識で合っています。このステータスなら、ユート様も情報を出せるのではないでしょうか？」
そんなこと考えてくれたんだ。シルヴィアさんもいい人かも。
「では、先程の様に言い出した私から始めましょうか」
シルヴィアさんのステータスはまとめるとこんな感じだった。
シルヴィア＝フォン＝シュレンブルク Lv20
MP 1500
STR 20
VIT 25
DEX 34
AGI 25
INT 50
LUK 40
ちなみに、普通の人はMPとLUK以外なら20くらいが平均的なんだって。で、実力者の人は大体50まで伸びればいい方らしいよ。MPは魔法を主体として戦う人なら1000～1300くらいまで上がればいい方。LUKは振り幅が大きいけど平均は30～50くらい。シルヴィアさんのステータスは高めみたいだね。凄いなあ。
「お姫様にしちゃあいい数値なんじゃねえのか？」
「全てを勇者様方に任せるわけにはいきませんので。勇者様方の旅には私も同行するつもりです」
「頼もしい姫様なことで。少なくともさっきのオッサンよりは好感が持てるぜ。んじゃ、次は俺が行くとするかね」
ジリアンさんのステータスはこんな感じ。
ジリアン Lv1
MP 100
STR 25
VIT 25
DEX 40
AGI 45
INT 25
LUK 50
「器用な人……なのですね。足も速いようですし………」
「まあ、な。次いこうぜ、次」
ジリアンさんには知られたくないことでもあるのかな？今、あらかさまに目を逸らしたよね？まあ、話したくないのならいいのだけれど。
「では、私がしよう」
今度はアルヴァさん。この人は強いのかな？まとめるとこんな感じだった。
アルヴァ Lv1
MP 10
STR 40
VIT 45
DEX 30
AGI 30
INT 20
LUK 30
……アルヴァさん、普通に強くない？みんな驚いてるじゃん。開いた口が塞がらないってこんな感じ？ってくらいに驚いてるじゃん。
「軍人とは聞いていましたが……ここまでなんて………」
「しかもこれレベル1だろ？レベル上がったらどうなんだよ………」
「……出鱈目過ぎない？」
「はわわわ……どうしましょう………自信ないです」
コルネリアさん、大丈夫だと思うよ？この人が異常なだけだと思うし。それに低くても大丈夫だしね。さて、次は誰の番なのかな？
