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再会

 「にしても驚いたな。なんでお前がここにいるんだ?」

 「え?知ってたからさっき助けてって言ったんじゃないの?」

 「俺は使えるもんは何でも使う性格(たち)でな。深く考えてなかった」

 「それって結構問題あるような………?」

 「……ジリアン。あんた黙ってて。ユートにまで馬鹿が移るでしょ」

 「ひどくねえか!?」

 「着替え中に覗いてくるような変態にかける慈悲なんてものは持ち合わせてないし」

 「覗き?前に駄目って言われなかったっけ?」

 「そうですね。ですが、ジリアン様は………」

 「その後も続けてるの?」

 「……そうなりますね」

 「駄目なことはやっちゃ駄目なんだよ?」

 「やっぱりユートは純粋だね……こいつとは全然違う」

 「やめろよ、そんな目で見んなよ……怖えよ」

 「大丈夫、あんたの記憶がなくなるまで投げ飛ばすだけだから」

 「全然大丈夫じゃねえ!?」


 なんだか懐かしいねえ。そういえばみんなと別れてからかなり時間も経ってるし。


 「そういえば、みんなはあの後何してたの?スキルとか新しいもの覚えたりしたのかな?」

 「ん?ああ、あったな。新しく5つのスキル手に入れた。アルヴァのダンナの方は何もなかったみてえだがな」

 「そうなんだ。凛花さんとコルネリアさんは?」

 「私は1つ。あんまり変わってないかも」

 「私は何も覚えてないです……ステータスがちょっと上がっただけです………」

 「ええっと……どれくらい?」

 「って言っても、やっぱり全体的に上がってるよ。コルネリアだって敏捷度が上がってないだけだし。アルヴァさんが変なだけ」

 「そんなにすごいの、アルヴァさん?」

 「まあな。知力と運以外は全部50超えてっからな………」

 「うん、あれは異常。だから気にすることはないわけ。大体、コルネリアはMPと知力高いじゃない」

 「うう……やっぱり足引っ張ってないか心配です………」

 「心配し過ぎだって」

 「ユート様は何か変わったことなどはありますか?」

 「あるよ。ステータスが上がったし」

 「へー、どのくらい?」 


 教えてあげるとなんか微妙な顔をされた。あれ?


 「ええと、その……頑張って?」

 「ま、まあステータスだけがすべてじゃねえしな!」

 「き、きっといつか1桁台から抜け出せる日が来ますよ!」

 「なんだかおかしいなあ………」


 思っていたのと反応が違う。なんでかな?


 「当たり前だろう。今でも一般人よりも低いステータスなのだから」

 「んー、そういえばそうか」


 そういえば普通の人でも大体10は超えているんだっけ。早くそれくらいまで上がらないかなあ?


 「ユート?その狼っていったい………?」

 「?ああ、そうか。クロの紹介してなかったんだっけ。この子はクロって言うんだ。元の世界で飼い犬だったんだよ」

 「え!?記憶戻ったの!?」

 「ちょっとだけね。クロのことしかわからないんだ」

 「そうなのか?でもこいついるなら元の場所のこととか聞けるはずなんじゃねえか?」

 「なんか駄目らしいよ?話しちゃいけないように言われたんだって」

 「言われたって……誰に?」

 「さあ?」

 「あんた知らないの?」

 「知ってはいるが、それを口に出すことは許されていない」

 「口にしたらどうなるの?」

 「我だけ元の世界に強制送還だ」

 「それは困るね。じゃあ言ったら駄目か」

 「そういうことだ」


 そういう事情があったんだねえ。なら話せないのも当然じゃああるのか。


 「こいつって強いのか?よくわからねえんだが………」

 「んーとね。ステータスはわからないんだけど……スキルはこんなのだよ?」


 一つ一つ説明していく。その度にみんなの表情が変わっていく。何かおかしいこと言ったかな?


 「……なんかユートよりクロって子を召喚したって言われた方が納得できるんだけど」

 「んだ、その無茶苦茶なスキルの数々は………」

 「まさかここまでとは思っていませんでした………」

 「みんなひどくないかな?」


 まさかの僕がいらない子みたいな感じになっちゃった。


 「その《従魔の証》だったか?それはユートにもあんのか?」

 「うん。だから今は僕もスキル持ちかな」

 「そか。そいつぁよかったぜ」

 「よかったよ。これで僕も戦えるし」

 「……戦うなとは言わねえがよ。引き際を間違えんなよ?」

 「どういうこと?」

 「いざとなったら逃げろ、っつーことだ。そっちのクロってやつはお前とあのメイドのやつくらい運べんだろ?どうにかなるときゃ、戦ってもいいがそうじゃないときはそいつに頼れ。んで、逃げろ」

 「……?でも………」

 「でももくそもねえ。いいか、ユート。金やら建物やら、最悪信頼だってな。後からどうとでもするこたできんだよ。それでも命だけはなくせばそこで終わりだ。だからこそ逃げなきゃいけねえときは逃げろ。それもまた勇気なんだからな」

 「……わかったような、わからないような?」

 「まあ、言葉さえ覚えてりゃいいさ。そっちのクロってやつが覚えてれば何とかなんだろうしな」

 「危なくなれば強制的にでもその場を離れさせるさ」

 「それでいい。あとは、だ。俺らに会いに来んのはいいが、城に住むようにすんのはやめとけよ?」

 「え、なんで?」

 「そうですよ、なんでですか?」


 コルネリアさんも同意する。クロは前に駄目って言ってたけど、ジリアンさんまで言うのは意外だった。


 「悪いけど、私もジリアンに賛成。ユートはお城には戻ってこない方がいいと思う」

 「ええ!?どうしてですか!?」

 「あの王様は正直最悪なタイプだ。使えるもんは何でも使う、っつー感じだしな。帰って来ても時間は奪われるし、クロは酷使されるだろうし、お前は何回もある遠征でぶっ倒れかねねえ。このまま旅してる方がずっといいだろうな」

 「そっか。うん、わかったよ」

 「そういうことなら……わかりました」

 

 その後も他愛もない話をしながら盛り上がったのだった。


※               ※               ※

 「はあ……どうしてここまで来て………」


 帝国まであと少しだったはずなのに、急に遠ざかってしまったかのよう。それが腹立たしく、我慢できなかった。


 (魔族なんて早くいなくなってほしいと思っているのに……いなくならないでほしいとも思っちゃう)


 いなくなれば自由に旅することだってできるのだろう。足止めされることもないに決まっている。だが、それは勇者たちがいなくなってしまうことを示す。つまり………


 (私は……どうするべきなんだろう………) 

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