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自己紹介をしよう

 「自己紹介?」

 「ああ。いつまでもおめーとかあんたじゃわかりにくいだろ?いい考えなんじゃねーかと思うがね」

 「ふむ。一理あるな。私は構わない」

 「それでこちらを信用してくれるというのであれば、私も構いません」

 「まあ、別にいいけど」

 「わ、私も大丈夫です」


 赤髪の人はこっちを向いた。また、文句でも言うのかな?


 「おめーはどうだ?構わねーのか?」


 ああ、そういうことか。まあ――――


 「それはいいんだけど………」

 「んだ?反応わりーな」

 「自己紹介することについては同意するよ」

 「そうか。まあ、それならいいや」


 ひどいなあ。でも、問題があるからこそ歯切れが悪くなる。みんなが自己紹介しているうちに解決すればいいのだけれど。


 「じゃあ、言いだした俺から始めるとするか。俺はジリアン。歳は20だ。アルテカトルっつー国から来た。一応、剣と槍、弓が使えるぜ。後は……そうだな。趣味は町をぶらつくことだな」


 赤髪の男はジリアンというらしい。寝癖を直していないのか髪はぼさぼさで、白いシャツの上に茶色いコートを羽織っている。全体的に何というか……軽薄そうなイメージである。


 「っていうか、なんで趣味まで言ったの?関係ない気がするんだけど」


 そう黒髪の少女が言う。


 「互いのことをよく知るには隠し事は少ない方がいいだろ?いいじゃねーか、別に知られて困る情報でもないわけだしよ」

 「あっそ」

 「冷てえなあ。んで?次は誰がいくんだ?」

 「それでは私が」


 次はお姫様の番のようだ。何故か気になるので、そちらに意識を傾ける。彼女は白を主としたドレスに身を包んでいた。肩のあたりまで伸びた銀色の髪は光を反射し、眩いばかりに輝いていた。


 「私はシルヴィア=フォン=シュレンブルク。このシュレンブルク王国の第二王女です」

 「ん?第二だったのか?」

 「はい。姉はいますが、召喚には私の方が適任だったことが大きいです。続けていいでしょうか?」

 「ああ。構わねーよ」

 「剣技や体術は苦手ですが、魔法は得意です。もし魔法を習いたいのでしたら、私に言ってくだされば教えることも可能だと思います。歳は今年で19です。趣味は……申し訳ありません。これといったものはありません」

 

 魔法が得意なのかー。まあそっちの方がお姫さまっぽいよね。間違っても大きくて、重い剣を軽々と振り回すお姫様なんて嫌だよ。


 「よし、どんどんいくとしようぜ。今度は誰がするんだ?」

 「それなら私がするとしよう」


 今度は筋肉質の人がするようだ。カーキ色だっけ?の色をした特徴的な服を着ている。


 「私はアルヴァ。アスクノスというところから来た」

 「ていうか、なんで軍服なの………?」

 「ああ、私は軍人なんだ。その世界では戦争をしていてな。その戦争の最前線で戦っていた。死にそうになった時にここに呼ばれた。そのことには感謝している。歳は30だ。趣味は武器のメンテナンスといったところだな」

 「軍人?ということは戦いの経験者なのですか?」

 「その認識で合っているが、私が経験したのは人同士での殺し合いだけだ。魔族相手にも通用するかどうかはわからない」

 「いえ、十分です。経験者と未経験者では大きく違いがありますし」


 なんか高く評価されてるみたい。危なくなったら、アルヴァさんの所に逃げればいいのかな?


 「次は……私でいっか。私は伊集院凛花。17歳。地球の日本ってところにいた。平和なところだったから、戦いとか戦争とかはよくわからない」

 「そうですか。ですが、言ってくれるだけでも助かります」

 「そ。趣味とかはないから」


 この人――――凛花さんはなんだか不機嫌そう。ツリ目だからそう見えるのかな?特徴的な服を着ている。制服って言うんだっけ?前に見たことがあるような気がする。どこでだったかは思い出せないけれど。


 「え~っと、私の番でしょうか………?」


 あ、慌てまくってた人だ。あの人、胸大きいね。ちなみに、凛花さんはほどほど、シルヴィアさんは小さめかな?


 「えい」「………」

 「イタッ」


 なんか叩かれた!痛いよ!なんで!?


 「なんでそいつ叩いたんだ?」

 「……何か失礼なこと考えていた気がして」

 「……私もです」


 女の子って怖いね。


 「あ、あのう。自己紹介してもいいんでしょうか………?」

 「ごめん、いいよ」

 「あ、そうですね。すみませんでした」

 「あ、いいですいいです!ええと、私はコルネリアっていいます。イシュナークっていうところから来ました。歳は18です。趣味は料理とかです。戦ったことはないです………」


 うーん、この人が戦ってるところなんて想像できないなあ。ほら、みんなも苦笑いしてるよ。


 「まあ、いいか。ほら、最後はお前だぞ」


 来ちゃったか-。結局、問題解決してないんだよね。どうしよう?

 自分の服装を確認する。薄い水色の病院着。うーん、やっぱり謎だ。


 「ええっと、僕はユート」

 「ユート、ね。で?他には?」


 ちゃんと話を振ってくれるあたりジリアンさんはいい人なのかもね。でも………


 「ないよ?」

 「はあ?ふざけてんのか?」

 「違うよ」

 「じゃあ、どういうことだ?」


 うーん、やっぱり言わなきゃダメなのかな?


 「……それ以外の記憶がないんだよ」 


 

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