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閑話 恋愛相談?‐1

 「……相談?」

 「そうだ」


 お城を追い出されてから、結構経って今日もお金を稼ぐために依頼に行こうと思ってたところだった。突然アルバートさんに呼び止められたんだけど、話を聞くと何でも僕に相談したいことがあるんだとか。でも、何のことを相談されるんだろう?


 「実はお前さんに相談したいのは……その、恋のことでな………」

 「人選ミスじゃない?」

 「ズバッと来るな、坊主……いやそうかもしれんが、別にまともな答えを期待してるわけじゃねえ」

 「だったら別にいいと思うんだけど」

 「今日は珍しく冷てえな!?」

 「え、だってわからないものはわからないんだから仕方ないと思うんだけど」

 「それもそうだが……話聞くぐれえは良いだろ?」

 「まあね………」


 それでもやっぱり乗り気にはなれないや。大きな問題があるし。

 取りあえず、誰かに聞かれるとめんどくさそうなのでアルバートさんの部屋に移動した。無警戒過ぎる?何のこと?


 「で、その好きな人っていうのは誰のことなの?」

 「あ、ああ。それはな………」


 内緒話をするかのように話してくれた。傍から見てたら気色悪いとか言われそう。誰得ですか?


 「……エリサさん?」

 「そ、そうだ………」


 なんか知ってる人に恋をしていました。世の中って狭いものだねえ。


 「仕方ないか。こういうときは………」


 そして、三分後。


 (それで私が呼ばれたんですか?)

 (そういうこと)

 (私、恋なんてしたことがないんですけど………)

 (大丈夫だよ、僕なんか恋愛事なんか一つもわからないんだし)

 (全然大丈夫じゃないですよ!)


 二人でこそこそと話す。記憶を失っているし、なんていうんだろう?怒るとか恋するとかそういうことはいまいちわからないから、頼れそうなカトレアにも来てもらった。ただいまアルバートさんの部屋で作戦会議中である。


 「そういや坊主は逃避行中だったよな。なんだ、俺の考えも間違ってなかったってわけか」

 「まだ誤解が解けてないです………」

 「そういえばカトレア。駆け落ちって結局何なの?」

 「そこからですか!?」


 ってことでカトレアが何かってことを教えてくれた。ちゃんと教えてくれたからわかったんだけど………

 

 「じゃあ、僕たちのこれって駆け落ちじゃなくない?」

 「今さらですか!?」

 「おいおい!どういうこった!?」


 なんか話聞くだけだって言ったのに大変なことになったなあ。カトレアとアルバートさんが事情説明をしているところを見てそう思うのだった。


※               ※               ※

 「……ん、話終わった?」

 「ユート様ってマイペース過ぎると言いますか、何と言いますか……寝てたんですか?」

 「うん。僕が口出してもわからなくなるんじゃないかと思ったし」

 「言ってて悲しくなりませんか?」

 「……うーん、どうだろ?」

 「……もういいです」


 なんだかカトレアが疲れてそう。なんでだろ?


 「よしよし?」

 「……取りあえず頭を撫でとけば機嫌が直ると思っていませんか?」

 「そんなことはないよ?」

 「……もういいです」


 んー、怒っちゃったかな?後でちゃんと謝ろう。覚えてるかどうかは別として。


 「……で、どうしましょうか?」

 「そうだよな……坊主たちが頼みの綱だと思ってたんだがよ………」

 「どゆこと?」

 「いやな。俺の仲間には秘密にしてるんだ。だから相談するには他のやつしかいないわけなんだが……赤の他人に相談するのもどうかと思うしな。結局残ったのが………」

 「僕だった、ってこと?」

 「そういうわけだ」

 「とは言っても、助言なんてできませんし……どうしたものでしょう………」

 「ま、まあ話すだけでも気が軽くなるかもしれんしな!そんなに気にすることでも………」

 

 でも、このまま何もしないのはちょっと無責任な気がする。うーん………


 「あ、そうだ」


 もう一人相談相手がいるじゃない。よし、そうと決まったら。


 「クロー、出てきてー」

 「……主よ。まさか我にも恋愛相談のことを聞くつもりではないだろうな?」

 「よくわかったね。偉い偉い」

 「そういう意味で言ったわけではないのだが………」

 「ほら、『三人寄れば文殊の知恵』とも言うでしょ?」

 「我は人ではないぞ?」

 「そこはほら。ノリ?」

 「……主らしいな」


 クロを呼び出してみたんだけど、そういえばクロって僕の影に潜伏してる間は僕がしてる会話が聞こえるんだよね。説明する手間は省けたかも。


 「とは言ったものの、我も恋をしたことなどないのだから答えられんぞ?せいぜいが好きなのなら告白しろというくらいだな」

 「適当過ぎじゃない?」

 「主よ。正直に言えば我は主以外のものがどうなろうと構わないと思っている。加えて言えば主には幸せになってもらいたいとそれぐらいだろうな」

 「酷過ぎない?カトレアとかシルヴィアさんとかジリアンさんとかはどうなのさ」

 「そいつらもどうなろうと構わん。主がいないと寂しいと思うのであればいればいい。いなければいいなら、野垂れ死ねばいい。なんなら殺しても構わないくらいだ」

 「……僕基準なんだ」

 「そうだな」

 「なんかやべえ会話してるんだが」

 「私、殺されちゃうんでしょうか………」

 「まあ、主よ。例え嫌でもカトレアはまだ殺す気はない。あの城にいた騎士や王なら今すぐに殺しに行くがな」

 「別にカトレアにはいて欲しいからそんなこと言う気ないけど……まだってどういうこと?」

 「いずれわかるさ」

 「そっか。で、どうしようか?誰かいい案ない?」

 「相手がどう思っているのかがわかれば成功するかどうかがわかるんですけどね………」

 「あ、それでいこう」

 「はい?」

 

 なんでそれに気付かなかったんだろう。それなら告白すればいいかどうかわかるじゃない。


 「そうと決まれば、クロ!」

 「思い立ったら即行動は相変わらずだな……まあいいのだが」


 そしてクロの《影移動》でエリサさんの所へ。アルバートさんのことどう思ってるか聞かないと!


※               ※               ※

 「行っちまったな………」

 「はい………」

 「なあ、大丈夫だと思うか?」

 「何が、でしょう?」

 「いや、杞憂だったらいいんだが……坊主がぼやかさずに聞くんじゃないかと思ってな………」

 「………!」

 「まあ、あの坊主もそこまで馬鹿じゃねえか。心配のしすぎだな!」

 

 ガチャ!バタンッ!


 「……嬢ちゃん?」


 後で宿に泊まっていた者たちから話を聞くと、顔を真っ青にして全力疾走をする亜人のメイドがいたらしい………

 

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