表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/204

遠征

長らく休止していてすみません。あまり間隔を開けないように頑張ります。

 「これで終わりかな………」

 「そうですね。今探知系の魔法を使いましたが、周りには魔物はいないようです」

 「そう。ならいいんだけど」

 「凛花さん、怪我とかありませんか?あったら早めに言ってくださいね?」

 「ありがとう、コルネリア。今はないかな。ただ、早く戻って休みたい」

 「確かにいつまでもここにいると危ないですね。合流場所まで戻りましょうか」


 そう言って三人で道を引き返す。今回の遠征では二手に分かれて行動した。ジリアン様にアルヴァ様の二人と凛花様にコルネリア様、そして私を加えた三人。分け方は男性、女性で分かれることにした。女の子同士でしか話せないこともあるから。

 遠征でわかったことといえば、凛花様が『殺す』ということに忌避感があることだった。彼女の育った世界でのことを聞いていると納得できはしたのだが。そんなに平和な世界では何かを殺すなんてことはしないだろう。それでも、この世界は違う。殺さなければこちらが殺される。そんな世界なのだ。召喚した私が言えたことではないが、元の世界に戻すためにも慣れてもらわなければならない。

 そして、遠征最後の今日。凛花様は魔物を自力で倒していた。私は加勢せず、見守っていただけ。躊躇いはあったように見えたけれど、一人で倒していた。ただ、未だに手が震えているのがわかった。そのことに申し訳なさを感じる。


 (ごめんなさい………)


 私にもっと力があれば。そう思わざるを得なかった。あのとき――――ユート様のときと何も変わっていない。自分にできることなんてたかが知れていた。あのときは自分の発言力が、今は実力が足りていない。


 (強くなりたい……この人たちの負担を減らせるように………)


 「おう、帰ってきたか」

 「そっちは結構早かったね。サボってたんじゃないの?」

 「んなわきゃねえだろ。アルヴァの旦那が強すぎんだよ」

 「ああ、なるほど………」


 ジリアン様は不思議な方ですね。まるでこの人がいるだけで空気が軽くなるような気がします。まあ、だからといって覗きのことは許しませんが。


 「そういやあいつ今頃どうしてんだろな?うまくやれてりゃあいいんだが」

 「意外ね、あんたがそんなに気に掛けるなんて」

 「おめえは俺をなんだと思ってやがるんだ……まあ、いろいろとあってな」

 「あっそ」

 「扱いがおかし過ぎる………」


 そんな二人の会話で場の空気が明るくなる。相変わらずアルヴァ様は静かだったけれど。この人は少し苦手だった。何を考えているかわからないし、異常なまでに強すぎる。似たような人もいたけど、その人は………

 いけない。またあの人のことを考えていた。少し気を抜くとすぐに思い出してしまう。今はこの世界を救うことを考えなければいけないのに。

 

 (どうして……こんなにユート様のことを考えてしまうのでしょう………?)


※               ※               ※

 近くの都市へと戻り、少しほっとした。よかった、皆無事に帰ってこれた。どこか張り詰めていたような空気も和らいだように感じる。


 「さてと、この後どうすんだ?」

 「取りあえず宿に戻って、体拭いてから食事でいいんじゃない?このままじゃ気持ち悪いし」

 「そだな、そうするか。じゃ、またここに集合でいいか?」

 「わかった。二人もそれでいい?」

 「は、はい!大丈夫です!」

 「私もそれで構いません」

 「よし、じゃあ決まりだな」


 そう言って男性陣と別れた。この宿にはお風呂はない。こういうときはゆっくりとお風呂に浸かりたいものだけど、そんな贅沢も言っていられない。自分でついてきて弱音を吐いているなんていう情けないことはしたくもないから。

 凛花様、コルネリア様と体を拭き始める。でも、ここであるものを見てしまう。


 (お、大きいです………)


 コルネリア様の胸の膨らみは普通の人と比べても大きく、それこそ城で一番のものを持つ姉様と同じくらいなのではないだろうか。それに対して私は………


 (ま、まだまだ発育途中ですし!大きくならないとは限りませんし!)


 必死に誰にするかけでもない言い訳をする。なんだか見苦しい気が………


 「……コルネリア、何食べたらそんなに大きくなるの?」

 「ふぇ?何がですか?」

 「……胸」

 「え、はい、そうですね……別にこれと言って特には………あ、好き嫌いをせずに食べるとかでしょうか?」

 「それは私もだし……遺伝子のせいだとでもいうの………?」

 「?遺伝子って何ですか?」


 遺伝子というのが何なのかはわからないけれど、コルネリア様の理屈でいくと私もそれくらいのものがあってもおかしくないはずなのに………


 (やはり男の人は胸の大きな人が好きなのでしょうか………?)


 そう考えているとまた頭によぎることが。考えてはいけないとは思いながらも、心の中では思わず問いかけていた。


 (ユート様。あなたは今どこで何をしているのですか………?)



この話は少し自信がないので、表現がおかしいなど気付いたことがありましたら感想などで送ってくれると幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ