閑話 最初の夜
「んーっと、トイレってどこだっけ?」
夜、トイレに行きたくなったから起きちゃった。飲み物飲みすぎたかな?
「ここかな?」
適当に部屋の中を探し回ったら見つけたよ。……ちょっと時間はかかったけど。
「早く入ろ」
漏れそ……もとい、眠いので早く入って寝ることにする。
「ふう、危なかったよ」
まさかトイレが入口の近くのドアだったとは。複雑な構造だね!勿論わかってたよ?
「嘘こくなよ………」
あれ、またジリアンさんの声がしたような?気のせいかな?
「まあ、早く寝ようか」
そんなことは明日にでも聞けばいいことだし。そう思い、ベッドの場所まで戻る。そこにはすうすうと寝息を立てているカトレアが。
「よかった。いくらか顔色は良くなったみたい」
仕事しているときは少し調子が悪そうだったんだよね。いい所で寝れば治ると思ってたんだけど間違ってなかったみたい。
さっきブラッシングした耳の感触を確かめる。うん、スーッと通るしいい感じかな?しばらく触ってよう。
「お母さん………」
見ると、頭をなでるように触っていた僕の手をカトレアの手が掴んでいた。ここまでにしておこう。明日も忙しくなりそうだし。
(お母さん、か………)