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虚弱巫女の健康日誌  作者: のな
反魔法勢力編
73/97

第73話 女性の戦いって??

「な…なぜヘル爺がここに…」


 あまりの苦さに喉がしわがれ、老婆のような声で尋ねる。

 そんな私は現在シャルにしがみ付き、体はガクガクと震えていた。

 

 自分で言うのもなんだが、末期症状だ!

 なんだ、このハイパー健康ドリンク!


「爺さん、毒を入れているのではないだろうな?」


 シャルは目を細めてヘルムンドを睨んだ。 

 それもそのはず、私は免疫があるのでまだいいが、周りを見渡せば、ドリンクを飲んでしまったらしい貴族や、竜族までもが泡を吹いて床でぴくぴくと震えているのだ!

 一見するに毒にやられたかのようである。


 ヘルムンドはふむと周りを見回した後、目をキラキラと輝かせて告げた。


「実はつい最近薬草採りの名人に出会ってな」


 ヘルムンドの視線は、彼を睨むシャルとは絡んでいない…。


「ヘル爺…」


 私は嫌な予感を覚えてヘル爺を睨んだ。すると、ヘルムンドは視線をはずしたまま俯き、肩を小刻みに震わせた。

 

 泣いている…

 ではなく、笑っている! 


「ふふふふふふふ・・・・・」


 低く太いヘルムンドの笑いが響き、シャルは私を抱き込み、私はシャルにしがみ付いてヘルムンドを見つめ続けた。

 ヘルムンドはギラリと目を輝かせて顔を上げると、胸を反らして堂々と言い放った。


「どんな痛みや疲れも、たちまち癒すという薬草! 伝説のアレを手に入れたのだ! まぁ、伝説のアレも量を間違えればただの劇薬だから危険だがな」


「「「ちょっと待てぇぇぇい!」」」


 ヘルムンドの言葉に聞き耳を立てていた会場中から怒声が響き、ヘルムンドは悪びれも無く首を傾げたのであった。



_______________________



「とんでもない目にあった…」


 急遽城の医師達が呼ばれて夜会会場は一時騒然としたが、倒れた者からも、私からも毒は検知されなかった。

 それどころか、絶妙な匙加減で毒を中和し、健康ドリンクとして提供したヘル爺は尊敬の眼差しを浮かべる医師達に囲まれ、新たな健康法を生み出そうとしている。


 恐ろしい…。




「何事も無くてよかったが…。本当に体に不調は無いのか?」


 シャルに気遣われ、私は頷いた。

 ヘル爺のドリンクは大抵味が殺人的なだけで、それさえ過ぎてしまえばなんとなく調子が良くなるのだ。なんとなくだが…。

 チラリと見れば、同じようにドリンクを飲んだ者達が目を覚まし…何故か目をギラギラと輝かせていた。


 興奮作用とかない…よね…。


 竜族が暴れ出したら大事だと思いながら、私は水を飲み、ほぅと一息吐いた。

 騒ぎも、問題がないとわかれば次第に元に戻っていく。



 ホールには音楽が流れ、やがて踊りだす者達、食事を楽しむ者達、男女の駆け引きを楽しむ者達がそれぞれ思い思いの場所で動き出す。


「シャルもダンスを踊るなら踊ってきてもいいよ?」

 

 顔を上げると、シャルは首を横に振って私の右手を取り、その手の甲に口付ける。


「今日から我はルゼ一人のために存在する。そなた以外の女達と踊ったりはしない」

「…そ、そう?! じゃあ踊ろうか?」


 恥ずかしさのあまりわずかに上ずった声を上げて首を傾げ尋ねると、こちらの目が眩しさで開かなくなるような神々しい笑みを向けられ、私は思わず目を細めた。


「ルゼの体が一番だ。無理はしなくてよい」


 彼の微笑みに、わずかに引き攣りつつも微笑で返したが、心の中のリュークが吠える!

 


 うおぉぉぉぉぉ! 昔私も言った! 似たようなこと言った…だが! 

 言われる方が、こんなに恥ずかしいものだとは思わんかったぞ!


 

 にこりと微笑む私の口元が、激しく痙攣したが、私はシャルと見つめあい、淑女の作法その3、男性の口説き文句にははにかむような笑顔を! を守って見せた。  

 実際は、リュークの色男技その1、絡んでくる客は敵を落とす勢いの笑みで躱せ! を実践していただけかもしれないが…。


「陛下、ルドヴィーク様の準備ができました」


 不機嫌顔のグラハムの報告でシャルが真顔になって私から視線を逸らすと、私はその場にガクリと項垂れてハァハァと息を吐いた。

 

 た、助かった…。


「お、オリビア。両想いって戦いだったっけ?」

 

 オリビアはぜぇぜぇと喘ぐ私を見下ろし、呆れたように告げる。


「当たり前です。睦言の応酬で敵を落とし、自分のペースで相手を蕩かせていくものですよ」

「いや…それは男立場からだよね? 女性からの場合は?」


 期待を込めてオリビアを見上げると、オリビアは一瞬「うっ」と呻き、数十秒固まった。


「オリビア?」


 声をかければ、オリビアの体がびくりと動き、彼女は、目を泳がせて小さく助言した。


「…お相手は竜王陛下ですので、とりあえず…生贄になればよろしいのでは?」


「何のだっっ!?」


 思わず叫んでしまったのは仕方がないだろう…。

 結局、かつて色男と呼ばれた主従は、女性としての恋愛観が皆無ということがいまここで証明されたのだった。



女性の恋愛の仕方(戦い方)をサーシャに聞いてみた。


サーシャ「女の恋愛での戦い方?…えぇと、裏町のねーさんの話だと、

     男に舐められないためには最初が肝心って言ってたわね」

ルゼ  「なるほど。で、どうするの?」

サーシャ「男ににっこり笑って、力いっぱいこう言えばいいって

     『(ひざまず)いて靴をお舐め―!』て」

ルゼ  「それ何か違う戦いだから!!」


裏町の女性達の恋愛観もかなりずれている…。

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