表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
虚弱巫女の健康日誌  作者: のな
反魔法勢力編
57/97

第57話 目が覚めたら…

 若干後ろの気配にびくびくしつつ、ようやく辿り着いた孤児院は、今まさに敵の襲撃を受けて攻防を繰り広げていた!

 …のだが、なんだか違和感が…。


「あぁ! 屋根に火が!」


 サーシャが悲鳴を上げ、馬から飛び降りて水魔法を使おうと動く。

 しかし、サーシャの水魔法と言えば、裏町の入り口で使用した際、思いっきり壁をぶち抜いていたので、同じ使用方法では孤児院の壁がぶち抜かれてしまう!

 

 孤児院に残っていたらしい子供達は水魔法を使っているが、彼等はまだ幼い為か、火消しに丁度良いぐらいの威力しか出ていない。

 そちらは良しとして、、サーシャの水魔法は何とかしなければ。


「サーシャ! それをまっすぐ放つのではなく、あ~、上に、そうだな、上に放て」

「なるほど!」


 サーシャは頷くと空に向かって水の塊を放ち…。


「きゃああああ!」


 放った水魔法はそのまま落ちてきた…。

 おかげで私もサーシャもずぶ濡れだ。


「サーシャ…」

「上に放てって言ったじゃない!」

「誰が頭上に放てと言ったんだ! 屋根の上!」


 びしりと屋根の上を指さすと、その屋根の上に動く影がある。

 

「ん?」


 私とサーシャはそちらに目をやり、屋根の上で動く者を目を細めてじっと見つめ、ぎょっと目を丸くした。

 燃える炎の傍で、小さなネズミの群れがバケツリレーをしていた…。

 孤児院に辿り着いた時の違和感はこれか!?


 チラリとその屋根から下を見れば、先程逃げた偽騎士達と、エヴァン、イマネア、オリビア、シャルが戦っている。

 しかし、もう一度屋根に目をやれば、そこではネズミ達が消火活動を…。おまけに小さな(まとい)(時代劇などの火事場の屋根でクルクルと回す棒)をバッサバッサと回している。


 か…可愛いんだが…。


「ミスマッチね…」


 サーシャがぽつりと呟くのに私は同意して頷いた。

 と、そんなことに驚いている場合ではない!


 疲れのせいか現実逃避していた自分を叱咤して敵に目をやれば、孤児院の子供達も手伝って、人海戦術で次々と敵が捕らわれていく。

 この孤児院を襲おうということ自体無謀だったようである。


 だが、これだけ容易に倒せるのは、次々と捕らわれていく敵の中にあの魔道士の姿が無いせいだ。

 辺りを確認しても気配を感じ無いことから、完全に逃げられたことを悟った。


 当然オリビアもシャルも気が付いているのだろう。

 残念だが仕方がない。

 それに、正直助かった。気力体力限界だ。


「ルゼの体では限界が近くていかんな…」


 ひと段落ついたと悟った私は、後は大丈夫だとその場に座り込むと、大きく息を吐いて目を閉じた。

 



____________________



 孤児院の火を消し止めたり、偽騎士の残党を捕えたりと子供達が大暴れしている中、ある程度の見切りをつけてオリビアとシャルが私を回収した。

 その頃には気が緩んだせいもあって意識が朦朧としていたが、何とか馬に乗って(乗せられて)、神殿前で禁呪を解くと、体を形成していた土人形が2体その場に崩れて残り、精神は体に戻った。


 体に戻っても気力体力が尽きた後なので動くことができず、ようやく意識が浮上したのは周りが騒がしくなってからだった。


「おぉ、目が覚めたか」


 この声は!


 ばちっと目を覚ますと、目の前にはたぷたぷと緑色の液体が揺れる器が差し出されており、私は心の中で悲鳴を上げた。

 

 これは間違いなくヘル爺の薬湯ー!


 間違いない。

 なぜなら、目の前には白髪に青い目、髭もじゃのヘル爺ことヘルムンド本人がいるのだから。


「なんでヘルじっ、ぐぼっ」


 口を開けた瞬間に飲まされた。

 ベットの上を汚すわけにもいかず、気合で飲み干したが、その後は心の中でのた打ち回り、体はしばらくピクリとも動けなくなってしまった。


「状況をご説明いたしますと、ルゼ様のいらした孤児院は敵方に狙われていること、また、孤児院の屋根が燃えてしまい、修繕が必要なことから、こちらの神殿にしばらくの間移っていただくことになりました。師匠のお薬があればルゼ様も安心ですしね」


 黒猫さんが傍にいるのか、状況説明をしてくれる。


「んがーっ、ぐふーっ、ぶはーっ」


 うつ伏せで抗議するが、先程の薬のせいで言葉にはならなかった。


「よしよし、嬉しいんだなルゼ。わしもお前さんを治療できて嬉しいぞ」


 治療=実験、に聞こえるのは気のせいか!?

 蒼褪めながらも、ようやく指先がピクリと動き、私はのそのそと体を起こす。

 こういう時油断していると第二段の薬湯が来るのだ、早く起きなければっ。


 腕を立てた瞬間びりっと右腕に痛みが走り、見れば精神体の時に受けた傷が包帯をうっすらと血に染めている。

 体を起こすのに失敗してばふっと枕に顔を沈めた。

 リュークには気にならない程度の傷だったが、怪我をしたことがほとんどないルゼには少し深い傷だったようだ。


「治癒魔法を使いましたが、なぜか薄皮一枚分しか治療できませんでした。申し訳ありません」


 チラリと横を見た私の前で、スッと頭を下げる黒猫さんに、私は首を横に振る。


「これも禁呪の副作用だから。アレを使った後はいかなる魔法も打ち消すって。薄皮一枚でも治療できる黒猫さんの魔力がすごいくらいだよ」

「恐れ入ります。ですが、またキズが開いてしまいましたね、すぐに治療を」


 黒猫さんが近づき、私は彼女の手を借りて上半身を起こすと、ふぅと息を吐いた。

 そのとき、ふとベッドの向かいの姿見を視界に捕えてぎょっとした。


「なんですとー!?」


「あ。可愛いでしょう? 私と裏子猫隊の皆様で、クローゼットの中のルゼ様をお着替えさせていただきましたわ。本日のコンセプトは、イチゴでスウィート悩殺ファッションです」


 慌てて私がばっと上掛けをめくると、そこにはイチゴのパンツが!


「うふふふふふ」


 黒猫さんはうっとりとした様子で微笑み、私はがっくりと肩を落とした。

 イチゴでスウィート悩殺ファッション…それは、イチゴのパンツとイチゴのブラを着た…ベビードール姿でございました。


 可愛いけど! 可愛いけど!

 全部見ましたよねー!? 

ルゼ  「…お、お嫁にいけない…」

黒猫さん「その心配はございません。うふふふふふ」


ルゼ(え? 黒猫さんが貰ってくれる気とか!? それはそれで…いやいや、リュークに引っ張られるな! 私は今乙女だ~!)


ルゼ、禁呪の影響が少し残っておりました…。


黒猫さん「ルゼ様、ご乱心。ふふふふふ」

ルゼ  「心を読まれた!?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ