表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
虚弱巫女の健康日誌  作者: のな
巫女編
34/97

第34話 訳ありの子供達

「ずっと何も言わないから大人しい子かと思ったよ」


 取り敢えず私達が食事を始める前に自己紹介をし合うと、さっそく昼食が始まり、私はシャルの膝から降ろしてもらった。

 

 リューク…ではなく、ルドヴィーク・オブライエンは、目の前に広がる料理をものすごいスピードで、しかし、優雅な所作でたいらげていく。

 初めはその顔立ちに驚いてはいたものの、こうしてよく見れば少しずつ違うのがわかる。

 この少年はリュークよりも腕白そうだ。


「あまりにも知ってる人に似てたので驚いただけです」


 それよりもっと驚いたのは、シャルの膝の上で「あ~ん」をさせられそうになっていたことだったけれど…。

 この私としたことが、不覚だ。


「知り合い…。僕とナハルに驚いたってことなら、君達もファンなんだね?」

「えぇと、何の?」


 キラキラと目を輝かせるルドに尋ねると、彼はナイフとフォークを置き、真面目な表情でナハルジークを見上げて告げた。


「アンセル」

「何でしょうかリューク様」


 おぉ、子供達がよくやる幻の帝国の王様ごっこっ!

 この二人がやるとやはり昔が思い出されるが…そこは少し台詞が違うのだ。 物語ではそれで合っているけど。

 私が少々残念そうにしていると、オリビアがすっと私の横に立って目をウルウルとさせ始めた。


「あの…そこはリューク様とアンセルでは無くて…」


 私ははっとしてオリビアの案に乗る。


「そうそう、そこは我が騎士と我が君で!」


 私とオリビアが懇願するように前のめりになって訴えれば、ルドは「え? そうなの?」と驚きながらも表情をすっと真面目なものに変える。


「我が騎士…」

「何でしょう我が君」


「「ふおぉぉぉぉぉぉっ」」


 萌えた!

 

 オリビアと共に思わず奇声を上げて体をくねくねと動かして悶えると、周りの皆に思い切りドン引きされてしまった。

 えぇ、アホ主従ですが何か・・・?






 ひとしきり悶えた後、やっと正気になった私達は、ようやく昼食を始めることができた。

 発散することで落ち着いたらしい。

 

「やはり二人ともファンだったのか…。以前孤児院でも再開のシーンのようなものを演じていたな」


 突然シャルがそんなことを言い出すので、私達は思わず吹き出しかけ、ごほごほと咽こんだ。


 黒猫さんに水をもらい、ようやく落ち着くも、シャルの言った言葉を反芻して、自分達がどうやらごっこ遊びをしていたように見えたのだと知り、羞恥に顔が赤くなる。

 この年でごっこ遊び! あ…いや、当時は6歳だからいいのだろうか。しかし、オリビアは当時12歳。やはり恥ずかしい!

 

 そっと隣を確認すれば、昼食のサラダの皿を手に持ったまま固まり、だらだらと汗する青い顔のオリビアを見てしまった。

 これは…やはり弁解すべきだろうか。


「あのね、シャル」


「そう言うことなら今度我が家へ招待するよ。オブライエンはもともと幻の王国の品を集めるコレクターでね、うちの血筋もかの有名な王様の血筋だと言われてるんだ。あ、ナハルはアンセル・レノックスの血筋だよ。うちの父様が発見して養子にしちゃった」


 なんと、ルドヴィークもナハルジークも私とオリビアの血筋のモノらしい。ナハルはおそらくアンセルの血を辿った何代目かの子孫であろうが、ルドの方は…ほとんど会ったことないけれど、体が弱くて地方で療養していた弟の血筋だろう。


 いずれにせよ生きていたんだなぁと少しだけ嬉しくなって、気が付けば手を伸ばし、ルドの頭をナデナデと撫でていた。


 一方、オリビアの方もナハルをぎゅっと抱きしめ、…ものすごく嫌がられていた。

 

「面白い巫女様だねシャル。僕がお付き合いしてもいい?」


 ルドはきょとんとしながら撫でられるに任せ、シャルに告げたが、私は別のことを考えていた。

 それこそ、息子でもいたらこんな感じだったろうか…と。


「却下だ。ルゼ、それは子供に見えてケダモノだから離れた方がいいぞ」

「え?…私の子供?」

「いや、違う」


 ルドから引き離され、私は少々寂しく思いながらもシャルの横に納まる。


「ルゼ、頼みがあるんだが」


 私がデザートのさくらんぼに手をのばして口に放り込むと、口からはみ出したその茎を摘まんで取り除きながら、シャルが私を見つめる。

 その瞳の金色をじっと見つめていると、シャルの顏が近づき、ぺろりと鼻の頭を舐められる。


「つまみ食いはダメっ」

「すまない…」


 べしっとシャルの額を押し返すと、シャルは謝ってから顔を離した。

 この竜は油断すると味見しに来るので要注意だ。

 

「頼みって?」


 シャルを睨みながら尋ねると、彼は額をさすりながら苦笑いし、呆れ顔のルドヴィークを指さした。


「それを護衛に付けて、共に巫女の教育を受けてもらえるか?」


 チラリとルドを見やると、彼も寝耳に水の事だったらしく、ぽかんと口を開けて唖然としている。

 確かに巫女教育は帝王学、マナー、武術に新語と多岐にわたるが、それを護衛に付けて、という言い方をするということは、表向き彼は護衛で、授業はその過程で吸収させることになる。


 誰かに知られたくない…?


「どういうことか話してもらいましょう。それから決めます」


 私が居住まいを正すと、オリビアもすぐ後ろに静かに控えた。

 チラリとルドの後ろのナハルを見れば、彼は今の今までオリビアに襲われていたらしく、頭がぼさぼさになっていた。


 オリビア…彼は息子ではないから手加減しようね…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ