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虚弱巫女の健康日誌  作者: のな
巫女編
31/97

第31話 終わってた!?

優花の日本のテストで、回答を全て終えて見直しを始めた時、これ間違ってるんじゃない? と思い始めると延々と考えだす瞬間があった。

 そしてそれは、大抵途中で違う疑問に変化し、今夜のご飯は何だろなーとか、そんな疑問に変化していくのだが、今がまさにそんな状態であった。

 

 私はどれほどの手加減をしてレンという青年にお仕置きをするかというのを考え込み、周りにバシバシと落ちる雷を見つめて…ふと思ったわけだ。


 雷の威力を最小限にすれば肩こりとかに効くんじゃない? と。


 この間、私の目には走り込む男達がこの雷に打たれて倒れていく姿が見えているのだが、なぜか気が付かないのである。

 そして、5人の騎士達が自分達に結界を張り巡らせた状態で、包囲網を狭めてくるのも見えるのである。


「雷もいいけど…針もいいよね」


 う~んと首を傾げていると、5人の騎士の影にドスドスと光の針のような物が突き刺さる。


「何で結界張ってるのに動けないんだ!」

「何でって、だって結界の穴を通して止めてるんだから結界消さなきゃ動けないよ」


 男達の焦る声に無意識に答えると、男達はびっくりしたような間抜けな表情を浮かべて結界を解き、今度は勢いよく駆けてくる。

 私の頭上に飛び上がったものは大きく剣を振りおろしたが…。


 そう言えばどうやって竜のシャルに喰われない様に逃げるかもちゃんと考えなきゃなぁ…。


 なんて私が竜について考え込んだためか、私の頭上に飛び上がったものは、次の瞬間地面を蹴って飛び上がった私にさらに蹴り上げられて上空へ飛び、そのさらに上空まで駆け上がった私にそのまま勢いよく一回転したかかと落としをくらって地面に落下していった。


 うん、昔はよくこうやって竜を落としてだね…。と、今のは人間だった…。


「あぶないあぶない」


 地面に激突する直前で男のベルトを掴んで引き留め、ぽいっと投げた。




______________



「あれは…無意識なのか?」


 私達の試合を見つめていたカイザーは、ますます蒼褪めて呟いた。

 応えるのは二人の、『ルゼ』をよく知る者達。

 オリビアとブリオッシュはコクコクと同時に首を縦に振った。


「無意識ですので無駄な力は入らないのですが、無意識なのでかなり残酷です。ちなみに今の技は竜を叩き落とす技ですね」

「相手は騎士なんだが…」

「魔法は手加減されているではないですか」


 オリビアはまだましですよと言いたげな態度である。

 

 カイザーは深くため息を吐いた。

 彼は、適当に男達が反省する頃になったら止めに入ろうと心に決め、とりあえず傍観を決め込むことにしたようである。

 その間にも、男達の悲鳴が響き渡る。


「失敗したな…。できればもう少し穏便に、騎士達には守るべきものを自覚してもらうつもりだったのだが」


 カイザーがぽつりと漏らすと、オリビアは「なるほど」と呟いた。


「ここにいるのは問題児ばかりですね?」 

「全員ではないが、問題児と見習いだな。あれらは予定外だったが」


 カイザーが示した『アレ』というのは、薄汚れた5人組のようだ。聞けば、彼等も問題児ではあったが、今回は外へ出ていて参加する予定はなかったのだそうだ。


「あ、やばい」


 ブリオッシュが呟くと、カイザーとオリビアも視線を試合中の方向へ向け、オリビアは目を大きく見はった。


「そ、それは駄目です! ルゼ様!」



________________



 はて、一番最初に考えていたことは何だったろう?

 ふとそう思った時、目の前には剣が迫っていたので、これまた無意識に手の平をその剣の切っ先に向けた。


「それは駄目です、ルゼ様!」


 ん? オリビアが何か叫んだ?

 

 パチパチと数度瞬きすると、こちらに切っ先を向けられていた剣はその刀身が砂のように崩れていき、ひどく驚いた騎士と目があった。

 確か…レンだったかな?


「あぁ、そうだ。手加減を…」


 どれくらいにするか考えていたよなぁー。と元の悩みに戻った瞬間、私はそのレンの背後に回り、回し蹴りで彼を沈めていた。


 地面にふわりと着地すると、そのまま自分の体もぐらりと傾ぐ。


「お? おぉぉ?」


 これから試合だというのにいきなり気絶はまずいでしょう!

 ここでようやく現実に立ち返る。

 

「終了!」


 誰かの掛け声とともに、私の体はどさりとそのまま力強い腕に抱きとめられ、何とか意地で繋いだ意識で顔を上げると、全く見知らぬ男性が一人、私を抱きとめ、周りの騎士達を睨んでいた。


「ダレ?」

 

 首を傾げれば、彼はにっこりと微笑む。


「シャルがかなりご立腹だから連れていくよ、お嬢さん。団長、そちらのご令嬢達と馬鹿どもはよろしくお願いします」


 柔らかな金糸の髪に青い瞳の、甘い顔立ちの男性は、強面のカイザーににっこりと微笑むと、カイザーはため息を吐いて頷き、手を振った。

 行けということらしい。


 て、ちょっと待て、私はこれから試合を…。


「アレ?」


 男にお姫様抱っこされた私が見たモノは、呆れかえっているブリオッシュと、頭を抱えるカイザー、それに、心配そうなオリビアと・・・何があったか知らないが、倒れている騎士達。


「あれぇ?」


 試合…始める前から終わってる?

 

「一体何が?」


 首を傾げる私の声に、オリビア、カイザー、ブリオッシュの盛大な溜息が重なったのだった。

ルゼ  「あれぇ?」

オリビア「いいんですルゼ様、全て終わったのですから」

ルゼ  「いつ?」

オリビア「ルゼ様が思い悩んでいらっしゃるうちにです」

ルゼ  「・・・・オリビアが片付けたの?」

オリビア「そう言うと思っておりました。そう言うことにしておきます」


考え込むと、最強の迷惑と化すルゼなのでした。

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