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虚弱巫女の健康日誌  作者: のな
巫女編
29/97

第29話 何か来たよ…

 合同訓練の手始めは、腹筋や走り込みなどの体力づくりである。

 が、そこに参加できないのは、新人で入ってきたばかりのティナ、5歳児で遊び盛りのアリス、そして体力が全くない私の三人だ。


 基礎体力作りを皆がしている間は暇なので、私達はこの間に、少しでも体力がつくように…。


「だーるーまーさーんーがー、こーろーんーだ!」


 これをやっている。

 騎士団の皆にチラチラと見られるが、私にはこれが一番体力が付き、無理がないのだ!

 この素晴らしい遊びに気が付いた時は、子供の遊びというのは子供にあった体力づくりができるようになっているのだなーと感心したものだ(ルゼの思い込みです)。

 いつかは縄跳びなんかもやれるようになるかもしれない。


「ルゼ、動いた~」

「あ、しまった」


 ぼうっとしている間に動いてしまい、今度は私が鬼のようだ。

 アリスと場所を交替し、木の幹に額を付けてだるまさん体勢をとる。

 ここからは真剣勝負なのだ! 私のだるまさんは高速だ! 覚悟しろっ!


「だるまさんが! ころっ」



「団長! 今帰ったー!」


 

 突然遮られる様に声が響き、私も騎士達も声のした方へと顔を向ける。

 そこにあったのは、薄汚れた騎士達の姿だ。

 

「ルゼちゃん」


 アリスが脅えたように走ってきて私の足にすがりつき、ティナも大きな体を揺らし、息を荒げながら私の傍に立った。

 

 男達の着ている服は騎士ものだから、脅える必要はないのだが、泥や血で薄汚れ、汗臭さをまき散らしながら歩いてくる男達の目は戦った後の様にぎらつき、少女達を脅えさせるのには十分だろう。


「ご苦労だった」


 カイザーが彼等を迎え入れると、男達はカイザーに手を振りながら歩み寄り、視線を彼からこちらへと向ける。

 その瞳は厳しく、睨みつけているようでも、値踏みしているようでもあり、私は咄嗟に幼いアリスを背後へ庇い、ティナも後ろへ下げて睨み返す。


「…なんで騎士団にあんな女子供がいるんです?」

「失礼を言うな。巫女様だ」


 カイザーも厳しい口調で(たしな)めるが、男の目は私から逸らされてはいない。

 

 その雰囲気に気が付いたのか、走り込みしていたオリビアが私の目の前に駆け寄り、私を背に庇った。


「はっ、いっぱしの騎士気取りですか」


 その後によもやと思うが、女風情が、とか付かないでしょうね?

 その想像をしてしまい、愚かしさに思わず口元に笑みが浮かんでしまう。


「レン、彼女達は体力はなくとも我等に匹敵する力を持つ。そのような態度は騎士団の品格を落とすぞ」


「品格! そこいらの騎士風を吹かせたおぼっちゃまと同じにしないでくださいよ団長。俺達は現場で動く騎士です。女のケツを追う騎士でなく、国を守る騎士ですよ」

「巫女様も同じだ」


 カイザーの眉間に皺が寄り、その強面がまるで鬼神のようになっていっているが、レンという名の騎士は全く気に留めていないし、彼と共にいる薄汚れた騎士達も、関わるわけではないが否定もしない。

 

 完全実力主義という集団かな?


 神聖な(・・・)騎士団の訓練場所に、どう見ても戦えない女が、お遊び半分で参加していることが気に喰わない、と言ったところだろうか。

 と言っても…。


 ちらと走り込みをする騎士達を見やり、私はため息をつく。

 あの走り込みは無理だ。リュークならともかく…。


 …いや…吐きながら走り、倒れたら起こしてもらって、最終的には吐血しながらでも行けば…。


「ルゼ様、不穏なこと考えてませんか?」

 

 オリビアに気づかれた!


「やめときます」

「そうしてください。で、あれはどうしますか? 叩きのめしましょうか?」


 オリビアの声は普段でも澄んでよく響く。しかし、今はオリビアも女性蔑視(べっし)のような言葉にカチンと来ているらしく、わざと大きく声を発したようだ。

 

 それなりに顔の整ったレンが、青い瞳を眇めて「あぁ?」と声をあげた。


「「「若いな…」」」


 私、オリビア、カイザーの声が重なった。


 事実、レンという騎士は若いのだろう。おそらくはブリオッシュよりも。だから、こんな何でもないところで突っかかってくるのだ。

 

 となると…、他の騎士達もそわそわしているようだし…。


「カイザーさん。良いですよ。彼等の望む方法でこの場所にいることの許可をもらいます」

「しかし巫女様」


 にっこり微笑むと、戸惑うカイザーの視線と視線がぶつかる。

 が、私には見えるのだよ、その目に、貴方の実力を見せてみろと言うちょっと面白がる光が!

 

「どうせ皆様も巫女がなんぼのもんじゃと思っているでしょうし。いい機会です」

 

 若僧に舐められるような真似はさせん! 

 今後の為にもね。

 

 そんな言葉を視線に乗せると、カイザーは目を閉じて低く唸った。


「巫女様は、年寄りなのか、若いのか、よくわかりません」


 え? そこ、若いのか年寄りなのかって言う所じゃないの? 逆だよ逆。 

 なぜ年寄りが先なんですかカイザーさん!


「はうぅ」 


 血の気の多い若い騎士よりも、今の言葉にかなりのダメージを追う私であった…。



 あ、ちなみに、私の前でオリビアも呻いていたので、地味に年寄り攻撃の流れ弾が当たったようです。

 私達、こう見えて、元爺様ですからね…。

ルゼ  「私の出番です!」

オリビア「年寄り…年寄り…としよ・・」

ルゼ  「やる気なくなるからやめい!!」


オリビアはかなりダメージを受けた!!

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