プロローグ1
主人公は虚弱体質ですが、それ以外はいたって健康です。
病等を助長するモノではありません。ご了承ください。
さぁ、物語を始めましょう。
目が覚めた時の気分はそんな状態。
金無し、男無し、職も無し、それでもめげずに生きる私の名前は、鈴木 優花25歳。
まだまだこれからの人生を歩めるごくごく普通の女の子だ。
たとえ、身長が170以上あろうと、かなりのぽっちゃりであろうと、歩く戦車と言われようと、まだまだこれからの将来有望な女性…。
だったわけですよ。
だった、というからには今は違う。
まぁ、小説にはよくあることで、小説とはかけ離れた平々凡々な小娘は、トラックに挑んで勝てるはずもなく、あっさり死亡。正確に言えば挑んだりはしてないけど、まぁ、普通に跳ねられた。
その数時間後、目が覚めたのは病院…ではなく、どこかのテントの中。
私の名前はイリューゼ、種族アマゾネス! いやっほぉう!
て、言うかボケ!
種族を聞かされ、身長180センチの巨体で18年生きて、皆の恋バナを聞いてお先真っ暗になったよ…。
アマゾネスって、強い人がモテるんだって。胸の巨大な人がモテるんだって。
さらに…
「男は狩るものだ! より強い男は奪ってでも手に入れろ!」
コエェ…。
怖いです、アマゾネス。狩られる男の人達も気の毒だ。
とまぁ、人の恋バナやら恋愛感やらに絶望は感じたものの、普通の感性を持つ男性と恋に落ちました。
狩らずに済んでよかったよ…。
後は平凡に暮らして…とはいかないのが人生だ。というか、アマゾネスだ。
旦那様はこの上なくお強い偉丈夫で、アマゾネス仲間に虎視眈々と狙われ、これでもかーというくらい慎重に生きてきた私は、親友とのピクニックで、崖から突き落とされた20歳の夏…。
「私の方が胸はでかい! 彼は任せておけ!」
崖から私を付き落とした親友は胸を張ってそう告げた。
お前、親友じゃなかったのかぁぁぁ!? と思わず心の中で叫んだが、これがアマゾネスでした。
次は胸の小さな女性にしてください神様…、と祈ってアマゾネス・イリューゼの命は儚く散った。
え? 物語は終わりじゃないか?
そんなわけないでしょう。まだまだ続く。
次に目を覚ました時、私はもっふもふだぜぇという感触に包まれて目を覚ました。
そこは絶対高い! という調度品がずらりと並ぶ豪奢なお部屋。なぜか優花の頃の記憶も、イリューゼの頃の記憶も残っている私が、これは普通じゃない! と思わせた部屋だ。
ちなみにもっふもふはふかふかの高級ベッドでした。
今度の名前は…リューク・イル・ゼルディア。
あんまり名前変ってないなぁ、というのが最初の感想。
が、一つ劇的に変わったことが!
胸が!
ありませんでした…。
男になっちゃったよ、お母さん!
胸は小さくしろとは言ったが、無くせとは一言も言ってないぞ神様!
しかも下半身に異物が!(異物ではありません)
異物に関してはまぁ、男性なら普通の代物なので…うん、まぁ、仕方ない。とはいえ、せめて女の感情と記憶は消しておいてほしかった。
ふ…これは無神論者の私への挑戦だな。と泣く泣くその生を生きることになった。