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第2章

不気味に笑うピエロが苑たちの方に笑いながら近づいてきた。


「ふふふ……案外強いんだぁ…面白いね~」


と女ピエロ


「くくくっ……そうらしいな。まぁ…あいつの言うことは面白くないし僕は聞いていないけれど」


と男ピエロ

嫌味ったらしい物言いに優哉と苑の怒りが増していく…。


目の前でくすくすと笑う二人に遂に優哉がキレた。


「おめぇら誰だよ、やんのか?」


怒りを露にした優哉に対し二人は法悦にひたる。

すると女ピエロがすっと優哉の顔の前まで近づき、くすっと笑うと


「ふふふ……何を?」

「くくくっ…戦うとかくだらない。その喧嘩文句は聞き飽きた」


ムカつくくらい綺麗な顔立ちで恍惚の表情を浮かべる彼女に優哉は少しぞっとすると、

二人のピエロは空中をふわふわと遊ぶように浮遊し始める。

と、今まで黙っていた苑が口を開いた。


「で?お前らは何しに来たわけ?」

「くくく…それを聞いちゃうんだ?」

「ふふふ…聞いちゃうんだ~」


その言葉を待っていたかのように二人は楽しそうに笑う

そして一通り笑ったあとピタリと動きが止まり、どこから取り出したのかピエロの仮面をはめた。


「君たちが恐れている“科学者”が来るよ?」

「お前たちはどういう決断をする?交渉する?逃げる?それとも戦う?」


先ほどの態度と打って変わって低い声でボソボソと話すピエロ。


「お前ら…一体なんなんだよ…」


狂気じみた二人に少し怖気づく優哉…。


「私たちは【狂った人形】 ログディア からきた幹部…と言ったところかしら…、ねぇ…EN」

「僕たちが敵か味方か…それはお前がよく知ってるだろ?EN」


苑を知っているらしく二人は親しく声をかけるが苑は無言のまま相手を睨みつけていた。


「また会いに来るわEN…」

「その時はまた遊ぼうな…」


そういい残し二人のピエロは優哉たちの前からすぅーっと消えた。


「なんなんだ…あいつら…狂ってる…」


ピエロの狂気に当てられてしまった優哉は震える腕をぐっと握り締める。




                 まるでその震えを止めるように・・・・・・・・・・。






 すると、そんな苑に追い打ちをかけるように悲しみの雨が降り注いだ……。





――そして、苑はそのまま夢の世界に意識を閉ざした。









「…ん………く………ENくん?」


自分を夢の世界から呼び起こそうとする覚えのある声が聞こえた

恐々ながらも少し目を開けてみるがすっかり闇に慣れた瞳は、開くことを拒んだ

小さく開いたその隙間から白いフリルが見えた

ようやく瞳が光に慣れてくると目の前にメイド服を着た懐かしい女性が立っていることに気付いた。



「ん?お前は……。」


そこにいた女性は、昔自分が好意を抱いていた―カオリだった。


「お前は……死んだはずじゃ……。」


そう、彼女 は死んだのだ

オレの目の前で――



怪訝な表情を浮かべるも、彼女はくすくすと笑って首を傾げた


「何を言ってるの?もしかしてまだ寝惚けてる?」


「貴方が寝惚けるなんて珍しいね」と彼女は言葉を付け足す。

おかしいと思いつつも少し恥ずかしくなったオレは後ろ髪を掻くと


「ねぇ、約束覚えてる?」

「約束…?」


オレの顔を覗きこんで彼女はそう言った。


  『約束』


不意にあの雨の日のことを思い出した。


彼女が最期に言った言葉、あの『約束』のことだろうか


顔を伏せるオレを不思議そうに見つめながら、彼女はオレの手を引いた。


「もう!やっぱり忘れてたでしょ!? 今日はお買い物付き合ってくれるって約束したのに! 」

「…お買い物…?」


自分が思っていた『約束』と違うと、呆気にとられた表情で彼女を見つめると彼女はぷくーっと口の中を膨らませた。


「いつまで経っても待ち合わせ場所にこないから探しにきたんだよ?そしたら昼寝してるし…」


不満をグチグチと言ったあと、引かれていた手をぎゅっと力強く握り締められた


「はやく行こー!」


自分を飾らないところが彼女の魅力だと改めて思った

オレには無いものだと、だから惹かれたのかもしれない・・・・・・・・・。


死んだ彼女がオレの前にいて、オレに触れている……

これは間違いなく夢だ。


 それでも――――――。


それでもいい……

少しでも彼女といれるなら―――――――




苑が消え、強い雨が降る中 優哉は教室に戻っていた。

降 り続ける雨をまるで睨みつけるかのように机に肘を立てながらじっと窓の外を見ている

そんな彼の姿に直海はそっと近づく。


「どうしたの優哉?」

「…べつに」


彼が自分のほうをみないだなんてとても珍しい。


「なにか嫌なことでもあった?」

「……」

「もしかして、苑さんがいなくなったこと…?」


ぴくりと彼が反応を示す

彼はとてもわかりやすい人間だ。

ここ何年か一緒にいただけでわかってしまった……

彼はとても自分の本能に素直だ。


(何年……そっか…まだ出会ってそんなに経ってないんだ…)


まるで昔からずっと一緒にいたかのような感覚でいた。


自分の思考に一人で落ち込んでしまった

そんな直海に気付いたのか優哉は窓の外をみるのをやめ 、直海の頭をぽんと撫でた。


その感触に直海ははっと顔を上げる。


「ちょっと探しもんしてくるわ。放課後迎えに来るから、勝手に帰るんじゃねーぞ」


そういって彼は席を立つ。


「さ、探しものって…」

「野良猫をな、ま…見つかんねーだろうけど。 いいか、絶対帰るなよ。あの馬鹿女にも伝えとけ」


彼は優しい目でそう言うと教室から出て行った。




一人教室を出た優哉は嫌な胸騒ぎを抑えるために外に気分転換に出た 。



「こんなこと俺の性に合わねぇけど……。この気持ち悪いシコリとんねぇと気がすまねぇし……。」


そして彼は一人土砂降りの雨の中、見つかるはずもない野良猫を探しにいくのであった。









そんな頃……夢に堕ちた苑は現実に意識が引き戻されつつあり夢の世界もちろん今目の前にいる……カオリもだ……気が付けば僕は多分何もなかったかのようにこの子の事は忘れているんだろう……とても大切で誰にも触らせたくないようなものだったはずなのに・・・・・・・・・。







「あれ・・・・・・・・・・・僕、こんなところで何しているんだろう。」








現実に引き戻された苑は何もなかったかのように家へと帰って行った。

その姿を見て優哉はとりあえず安心したのか苑に声をかけることもせず家に戻った。






そして次の日、何事もなかったかのように苑も優哉も学校に姿を見せた。








































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