another.000
この物語は主人公視点?(act.***)。他視点(another.***)。過去(memory.***)のサブタイトルを3つに別けて書いていくつもりです。既にそういう風に書き貯めてしまった・・・。全ては一つに繋がる!はず。
とある一室に女性が二人居た。
片方は煌びやかな装飾を身に纏い、椅子の肘掛に肘を置き、頬杖をついてただ外を眺め、未だどこか顔にあどけなさを残す女性。
そしてもう片方は白の鎧をその身に纏い、白髪、白肌と髪の毛の先からつま先まで白で統一されたような女騎士であった。
だが、右肩に国の紋章である七色で染められた片翼が、白に染まりあがった彼女の存在を汚しているように思えた。
最初に声を発したのは女騎士であった。
「女王陛下・・・北門より50km離れた位置で、私の部下が正体不明の敵と交戦を始めたようです」
外に向けた視線は外さずに厳かな声で女王陛下と呼ばれた女性は返答した。
「そうか・・・で、どこの者か判明しましたか?」
「いえ、未だに不明です。ただ・・・」
女騎士が言葉を一旦切り、改めて報告を続けた。
「かの者ですが、どういう意味かはこれまた不明ですが12面体の黒い石を持ち、女王陛下にお会いしたいと願い出ているようです」
それを聞いた途端、女王は不意に立ち上がり言葉を発した。
「戦闘は中止だ!その者を私の元へ連れてまいれ!」
突然、声を荒げて命令する女王に呆気に取られ女騎士は一瞬我を忘れかかった。
「・・・」
「聞こえなかった?」
「いえ、しかしかの者は・・・」
そこまで続けて言葉は遮られた。
「あなたはいつから私に同じ事を二度も三度も言わせるほど偉くなりました?」
女王から発せられる怒気が不意に膨れ上がり、女騎士は慌てて方膝をつき
「直ちに・・・」
頭を垂れ、女王の意思に従った。
女騎士が退室したのを確認し、女王は一人思いを馳せていた。
「もし彼だとしたら、先に逝かれましたか・・・姉上・・・」
その呟きは誰にも聞かれること無く風に流れた。
そして、女王の頬には一筋の涙が流れ落ちていた。
―――姉上・・・。
「いつか私が死に、私の息子がお前の元を尋ねるだろう・・・それまでこの世界を頼むよ、雫」
その言葉を最後に姉と別れ数百年が経った。
その約束を守る為だけに生きてきたと言っても過言ではない。
「ようやく私の役目も終るか・・・」
再びそう呟き、新たな未来へ女王の思いは膨れ上がっていた。
明日からタバコの値段が上がる!
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