memory.002
ゴッ!
という鈍い音と共に、一人の男が途切れ途切れの意識をギリギリ保ちながら灯馬を怨敵のように睨みつけた。
だがそれも長く続かず、力がスッ抜け地に伏した。
「・・・ここまでですね」
「はい」
そう言ったのは瑪瑙と雫であった。
灯馬を中心に、二十八人もの弟子あった者がうめき声を上げて悶えていた。
「・・・」
灯馬は何も言わない。
先ほどまで戦っていた者達に対する興味が失せたのか、虚空をただ見詰めていた。
彼が何を考えているのか?
瑪瑙や雫でさえわからなかった。
むしろ何も考えていないかもしれない。
雫は渋い表情を浮かべたまま、瑪瑙に問いかけた。
「圧倒的過ぎますね・・・姉上、何を教えたのですか?」
「ただ彼が産まれ持って得ていた力の使い方を・・・」
そう言い瑪瑙は灯馬に近づき灯馬の身長・・・目線に合わせるように腰を屈めて再び口を開いた。
「どうでしょうか?私がこの前貴方に話した事は考えて頂きましたか?」
「・・・」
瑪瑙の問いに灯馬は何も答えない。
「貴方には私の後継者になる資格があります」
「・・・」
「ただ私は貴方をそれだけの為に共に同じ時を過ごしたくありません」
「・・・」
「ですから・・・」
そこで言葉を一旦区切り、瑪瑙は力強く言葉を発した。
「私と家族になりませんか?」
瑪瑙がそう言った事で灯馬に初めて変化が訪れた。
「カゾク?」
「そう、家族です」
満面の笑みで言う瑪瑙を灯馬は意味が解らないと言った表情で見詰めた。
そして囁くように優しく・・・優しく瑪瑙は言った。
「私の息子になりませんか?」
「ムスコ・・・」
そう言った時、灯馬の右目から一筋の涙が流れ落ちた。
「わからない・・・それは何?」
「とても温かいものです」
「温かい・・・」
そう言うと、今度は灯馬の左目から涙が流れ落ちた。
「この世界は一人で生きていくには余りに辛い」
「・・・」
「ですから、共に過ごしませんか?微力ながら私は貴方の為なら、可能な限り最良な人生を歩めるよう手助けします。それが親の資格ですから」
「・・・」
良いたい事を言ったのか満足そうに瑪瑙は一つ頷き背筋を伸ばして、雫に振り返った。
「雫、これから忙しくなりますよ、ついて来れますか?」
「・・・は、はい!姉上!!」
それから数日後、灯馬は自らの口で瑪瑙と雫に、
「なる・・・家族になりたい」
と言ったのであった。
入院してました。
「これ以上、今の生活をすれば来年以降一生ベット上で生活する事になります」
と言われビビリました。
会社も近い内にやめ、また新しい仕事探す予定です。
更新も日を空けずにまたやって行きたいと思いますのでヨロシクお願いします。
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