act.001
書物を読むのは物凄く好きです。ですが口下手な為、表現がヘタクソだからもっと書物を読め!と良く怒られます。
「師匠・・・本当にこの道であっていますか?」
弥彦がそう問いかけるのも無理は無かった。
真上にあった太陽が地平線に半分ぐらい沈みかけた頃、彼らは未だに歩いていた。
「いい加減疲れましたよ・・・」
「我侭言うな!」
「だって~・・・これじゃ来た『世界』は正解だけど、辿り着いた場所はハズレじゃないですか」
全くもってその通りだった。
「まぁ落ち着け、人が居る場所には確実には近づいているから」
そう青年が言うとパッと笑顔に花を咲かせ弥彦は凄い勢いで詰め寄り、
「あとどれくらいですか?!」
「このままぶっ通しで歩いたとして、明日の朝ぐらいかな~」
「え~?!」
一気に肩を落とし、この世の終りのような表情を浮かべた。
「コロコロ表情を変えて、忙しい奴だなぁ~おまえは・・・ほら歩く!」
「うぅぅ・・・鬼だ・・・」
今にも泣きそうな表情を浮かべながらでも歩みは止めない弥彦を見て、青年は苦笑いし先を歩いていた。
「ところで師匠?」
「ん?なんだ?」
「なんでこの『世界』に来たんですか?」
弥彦が問いかけるのも無理はなかった。
背は高いが、お世辞にも体つきは良いとは言えないながらも、弥彦は彼がその身に宿した力を使えば幾多の世界を渡る事は可能な事は知っている。
だが、数多ある世界の中で青年は予めこの世界を目指して力を行使した。
弥彦はただ純粋にその疑問を青年にぶつけていた。
「ん~そうだな・・・知り合いに会いに来たんだ」
「知り合い?」
「ぁあ、昔世話になった人だ。お前も知っている人だぞ?」
「え? そうなんですか?」
「ああ、誰かは会ってのお楽しみにしておこうか」
青年が意地悪な顔を浮かべると弥彦は「けち~」と言いながらも、「誰だろう?」と嬉しそうな表情を浮かべつつ青年の後を追った。
それから二人は野宿をしつつ夜が明けるまで休息取り眠りについた。
そして明るくなったのを見計らい目的地の街を目指しまた歩みを進めたが、弥彦は辺りを見回しつつ慎重に青年の後を付いて歩いていた。
「どうかしたか、弥彦?」
「なんか見られているような気がして落ち着きません」
「気づけているなら上出来だな」
「え、やっぱり監視されていますか?」
「ああ・・・何かあった時の為にいつでも動けるようにしておけ、ただキョロキョロしすぎるなよ?」
「わかりました」
だが、明らかに弥彦の表情が真剣な物に変わったのを見て青年は「まだまだ修行が必要だな~」と苦笑いを浮かべるのだった。
監視の目がある中、二人は歩く事は止めずに目的の街に向かって歩いていた。
街に近づくにつれて視線は厳しくなり、弥彦は疲れた表情を浮かべていた。
「師匠・・・いい加減もう疲れました・・・なんですかこの鬱陶しい視線は・・・」
「気にするなって言っても無理なんだろうな」
「だってずっとなんですよ!」
弥彦は噛みつかんばかりに青年に詰め寄った。
「まぁまぁそろそろ街にも着くし、それにあちらからやっと来てくれたぞ」
そう言うと青年は弥彦の背後に向かって指を刺した。
「えっ?」
釣られて振り返ると、遠くから馬に乗った3人が近づいてくるのが見えた。
中心に白い馬に乗った女、両脇には黒い馬に乗った二人は男だった。
「弥彦、オレの後ろに・・・」
その言葉を耳にした弥彦は一つ頷いて青年の斜め後ろに立ち、遠くから来る者を二人で待った。
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