act.011
着実にこの小説を見てくださる人が増えている・・・。
この場を借りてですが、有難うございます。
凄く励みになります。
二年、または三年もの間はある程度の平和・・・自由が考えている上では約束されている為、その後の話はトントン拍子に進んでいった。
「では、3日後から王国が管理する学園に弥彦君は入学して頂きましょうか」
「ええ、構いません」
弥彦を無視して進められる灯馬と雫の会話に、弥彦は慌てて話しに割って入って来た。
「あ、あの!」
「「どうした(どうしました)?」」
同時に話しかけられ弥彦は急に押し黙り、泣きそうな顔を浮かべていた。
「ぁあ、ごめんごめん・・・無駄にそんな泣きそうな顔をするな」
「・・・はい」
「ほら、気持ちが落ち着いたら言って良いぞ?待っているから」
灯馬の優しさに触れ、また泣きそうになったが弥彦は鼻を一つススり二人に自分が思っていることを話し始めた。
「何個かあるんですけど、良いですか?」
「ええ、どうぞ」
雫もまた優しく微笑みつつ、弥彦が話すのをじっと待っていた。
「えっと、師匠とはちゃんと会えますか?」
上目使いで話す弥彦の可愛さは、普通の女性には十分過ぎるほど殺傷能力があったであろう。
「それは私が保証しましょう。ただ、下手なイザコザを防ぐ為にお二人の身分は偽っていただきますがね」
そう言い終えた後、すかさず灯馬が補足した。
「力はあってもその力の使い方をまだお前に教えてないからな。ただ師弟という立場から先生、生徒という立場に変わるだけで今までと変わらないさ。ね、雫叔母さん?」
「ええ、もちろんです」
灯馬の問いに、雫は笑顔で即答した。
「でも、師匠は師匠ですから!」
先生、生徒という呼び方が気に入らなかったのか、弥彦は顔を真っ赤にして叫んだ。
「ああ、解っている。後にも先にも弟子と呼ぶ存在は弥彦にしか許すつもりはないから」
「えへへ・・・」
灯馬の言葉を嬉しくも恥ずかしそうに、受け止めていた。
その後も弥彦の質問は続き、雫が主に返答し、灯馬は弥彦がかかえる心配を払拭する為に補足を入れる状態が続いた。
「以上です。有難うございました!」
先ほどまでの不安がウソのように無くなった弥彦は元気一杯にお礼を二人にした。
むしろ、三日後に入学する学園に多大な期待を抱いていた。
「いえいえ、お役に立ててなによりです。この後の予定はどうするつもりで?」
「そうですね、オレも弥彦もここに来て一週間経ちますが、まだ街を見ていませんので行ってみようかと」
「それは良いですね、是非ご覧になってきてください」
余程、今の街並みに自信があるのだろうか、強く勧めてきた。
「ではここで失礼させて頂きますね」
「はい、お気をつけて」
その言葉を最後に二人は退室し廊下に出たが、そこにはまだノココの姿があった。
「うわ~待っててくれていたんだ!ありがとう!」
ノココの姿を見るなり弥彦は駆け寄り、お礼を述べていた。
「当然の事です。七騎士様達が出てきた後も少し陛下とお話をされていたので?」
「ああ、少しね」
灯馬が困ったような顔を浮かべつつ返答したのを見て、ノココは自分が知らなくて良いことまで足を踏み入ったのを即座に察知し、すかさず謝罪した。
「これは余計な発言でした。大変失礼いたしました」
「いいよいいよ」
親しき仲にも礼儀あり。
ここ一週間でだいぶ親しくなったと言えど、陛下の客人。
ただの侍女である・・・しかも一階の平民出身たる自分がおいそれと聞いて良い事と悪い事の区別をつけるのを忘れるとは・・・。
ノココは自分の犯した過ちを必要以上に心の中で責めた。
そんな様子のノココを見た二人は「きっとオレ(師匠)の正体を知ったら失神しそうだ・・・」と哀れみの目を向け、フォローに入った。
「な、なぁ・・・これから二人で街に出ようと思うんだが、案内してくれないか?」
「うん、案内してくれない~?」
いつまでも下げ続ける頭を少し上げ、上目使いで灯馬の顔を覗き込んだ。
「私がですか?」
「ノココだったら街に詳しそうだし、陛下もノココを一緒に連れて行ってやってくれって言っていたからね」
「言ってた言ってた!」
灯馬のウソを含めた言葉を復唱する弥彦を尻目に見ながら「どうかな?」と駄目押しの一言を言った。
「わ、私でよければ是非ご案内いたします。いえ、ご案内させてください!」
「そんな堅苦しい言葉はいいからさ、いつも通りに、ね!」
と弥彦が言い、ナイスだ!と灯馬は呟いたのだった。
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