act.010
予約投稿したはずなんですが、何故一個も上がってない?!
後が怖いな・・・。
そしてそこから約1時間の時間をかけ今後の方針を決め、最後の締めに雫が口を開いた。
「最後に、戦時中とは言え今年も『白』認定試験と武術大会を開くわけですが、抜かりはないですね?」
誰も口に出して返答しなかったが沈黙が肯定の意味を持ち、雫もそこから問う事はせず締めくくった。
「それで今回の軍儀を終了します」
全員が同時に敬礼して順に退室し、最後の一人が出ていったのを確認してから雫は灯馬と弥彦に改めて向き直った。
「疲れましたか?」
微笑みかけながら聞かれた問いに弥彦は気が抜けたのか、一つ溜息を漏らし「疲れました~」と素直に返答していた。
「あらあら、ごめんなさいね・・・でも、反発が出なくて良かったですね」
「よく言いますよ・・・しかしアレだけの精鋭をそろえましたね」
と灯馬が悪態をつきつつも、先ほど感じた素直な感想を率直に述べた。
「ええ、皆さん頑張ってくれていますから。それに、伊達に正確な年数を忘れるほど同じ場所に立ち続けていますからね・・・無様な姿は見せられません」
「自分にとっては、あの日に別れてからまだ数十年しか経っていないようにしか感じれませんがね・・・」
「・・・」
灯馬や弥彦が元居た世界と、この世界の時間軸が大きく違う為に言えた事であった。
そして、その言葉に雫は沈黙し昔に思いを馳せた。
が、それも一瞬の事。
「では、私達三人の今後の方針に付いて話し合いましょうか」
と気持ちを切り替えて話し始めた。
その言葉に二人は「「はい」」と返事を返し、話し合いが始まった。
最初に口を開いたのは灯馬だった。
「では、オレから宜しいでしょうか?」
「どうぞ」
「まず、この世界の結界ですがこちらに来る途中にまた張りなおしておきました」
「それは有難うございます。流石に私には限界がありまして、ツギハギな物にしかならなかったのです」
申し訳無さそうに語る雫に対して灯馬は慌てて、
「いえいえ、こちらこそ有難うございます。もし雫叔母さんがやってくれてなければ、この世界はもっと悲惨な事になっていたでしょうから・・・」
と弁明した。
「『彼ら』の尖兵の数と力を抑えるだけで精一杯でしたので、そう言って頂けると助かります」
「はい、ここ二年から三年はあちらからの増援は不可能でしょう・・・この戦争もこちらから攻めなければこう着状態が続くと思います」
「ですがこちらから国境を越えて攻める行為は一切行うつもりはありません」
「はい・・・」
雫の意志は固く幾ら灯馬が言おうとそこには堅い決意が見えた。
彼女が遠い昔まだ幼いこの世界で、ある程度の国が成立した時、世界に向けて言った言葉が、
―――我が国は永久中立国として世界の一翼を担い、永久の繁栄をもたらす国とする。
とう高々と宣言をし、周りで戦争が起きようと自国が攻められない限りは一切の加入をしなかった。
それを『甘さ』と見た国が過去に何度か攻めてきたが、それらを全て撃退しあくまでも防衛の為だけに軍を動かしていた。
友好、停戦、同盟などの外交面では、仲介者として度々立つ事はあったが・・・。
「ですので、その間に弥彦をこちらの学園に入学させようかと考えています」
「え?!」
咄嗟に反応したのは弥彦だった。
「お前はもう12歳になるのに、まともに学校や学園と言った場所で勉強した時は無いだろ?」
「はい・・・そうですが・・・」
灯馬と離ればなれになる寂しさを感じたのか、弥彦の表情は一変して暗くなった。
それを逸早く見抜いた雫がすかさずフォローを入れた。
「安心してください、弥彦君。灯馬もあなたと同じ学園の講師として働いて貰うつもりですから・・・」
「本当ですか?!」
「ええ、ですよね?」
雫の満面の笑みにたじたじになった灯馬は「ソウデスネ・・・」と辛うじて返事をしたのだった。
「しかし、再び始まるのですね・・・彼らとの戦争が・・・」
「こればっかりは回避は不可能でしょうね」
「・・・」
灯馬と雫は部屋の大きな窓から見える街に目を向けた。
それに釣られて弥彦も目を向け「綺麗な街ですね~」と言い、その言葉に雫は
「・・・ありがとう」
と一つ返事をした。
こちらのミスで同じタイトルで重複投稿されていたら、気が付き次第直ぐに対処しますので、ご辛抱ください。
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