another.001
投稿が無い日は会社に泊まっているか、疲れて眠っている時・・・。
どこまでも高く、どこまでも広く青い空の下に12からなる浮遊体があった。
「彼女の意思を継ぐ者があの世界に現れたという事か?」
「どうやらそうらしい・・・」
「なんという事だ・・・しかし奴は『零秒の間』に永久凍結されているはずだが?」
「その凍結から誰かが開放したらしい」
「なんと・・・」
「我等の中に内通者が居るのかもしれんのぉ~」
「誰だというのだ?!」
「・・・・・・今はその議論をする意味は無い」
「そう、問題は奴が彼女の意思と力を受け継ぎ、我等をも含めた全ての『天敵』を倒し、あの世界に渡ってしまったという事・・・」
「まさか、アレを倒すとはねぇ」
「『奇跡』か・・・」
「その定義は我等にも不確かなもの・・・下手に口にするものではない」
12からなる浮遊体は時計回りの順に一人一人、発言していった。
そしてまた最初に発言した浮遊体に戻り・・・。
「あの世界の結界の綻び状態はどうだ?」
「強力すぎる為に時間はかかるが、世界への干渉は既に始まっている」
「戦況はやや不利な状態な為に一概に順調とは言いがたいな」
「結界のおかげで幾ら尖兵を送ろうにも、尖兵は本来の力が出せていない」
「たぶん、あの魔女も我等の行動に気が付き前々から布石を打っているのであろうな」
「厄介じゃのぉ~」
「しかし、計画は進んでいる」
「例の女の調整はどうだ?」
「洗脳が4割と言ったところか・・・」
「力は我等に匹敵するぐらいにはしているよぉ~」
「まだまだだな・・・」
「もし、あの女が倒される事があれば・・・是非も無く我等の出番だな」
沈黙が訪れる。
皆、それぞれ何を思っているのかを知る術はない。
そして最初に口を開いたのはやはり、一番目の浮遊体だった。
「今回はここで閉廷する。次回もまた明日のこの時間に・・・」
それを合図に次々と浮遊体は消え、最後に残ったのは・・・。
「・・・11番目よ」
「なんだ、6番目」
「おぬしが奴を解放したのじゃろ?」
「・・・」
「やはりな・・・なに、つげ口はするつもりは無いよ」
「・・・」
11番目と呼ばれ浮遊体は沈黙し続けたままだった。
「おぬしがやらねば、ワシがやっていただろうからのぉ~」
「・・・あなたは・・・」
「勘違いするなよ?全ておぬしに賛同しているわけではない。だが、我等もあり方を考えねばならぬ時期かもしれん」
そう言いつつ「カッカッカ!」と笑いながら6番目の浮遊は消えた。
あとに残ったのは11番目の浮遊体。
「私は・・・」
その呟きを最後まで言う事なく11番目の浮遊もまた消えた。
あとに残ったのは、変わらずあり続けるどこまでも高く、どこまでも広がる青い空だけだった。
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