006 診断結果
診断結果を述べる前に、一個前の話で書いたWISC-IV(ウィスク-4)という検査について、もう少し詳しく説明していきたい。そもそも、私が教育センターに問い合わせをしたのは、発達検査を受けるためだった。教育センターで受けられる検査が、WISC-IV(ウィスク-4)という検査だった訳だが、この検査は厳密に言うと発達検査とは違う。
WISC-IV(ウィスク-4)とは、子どもの知的発達を評価するために使用される知能検査のこと。日本では、特に発達障害の疑いがある子どもや、学習面での困難が見られる場合に多く活用されている。この検査を行うことで、子どもの強みや弱みを詳細に把握でき、適切なサポートや学習方法の提案に役立てることができる。 この知能検査は、五歳から十六歳までの子供を対象にしている。
この検査でわかることは、全検査IQと四つの主要な認知指標(言語理解、知覚推理、ワーキングメモリ、処理速度)がある。それぞれの項目は、子どもの異なる側面の認知能力を測定し、学習や日常生活における強みや課題を理解する手がかりとなっている。
IQとは、個人の知的な能力水準を数値で表したもので、平均値は100。
四つの認知指標を一つずつ説明していくと――――。
①言語理解は、言葉を使って物事を理解し問題を解決する力
②知覚推理は、見る力をつかって物事を理解し、問題を解決する力
③ワーキングメモリは、覚えていることを使いながら考える力
④処理速度は、素早く正確に情報を処理する力
そして、うちの娘のWISC-IVの検査結果はというと――――。
ワーキングメモリの数値が、他の三つと比べると抜きんでて低い。ワーキングメモリが低いということは、耳から聞いた情報を記憶して、その情報を頭の中で操作することが苦手ということになる。
教育センターの担当さんと、検査結果を交えながら娘が学校に行けなくなった原因を探っていくと……。「お友達ができない」「お友達と上手く話せない」と言っていた娘の主張は、ワーキングメモリが低いことと関係しているのかもしれないという話になっていった。
よくよく考えてみると、小学校高学年になると女子は会話でのコミュニケーションで友人関係を育んでいく傾向がある。四年生までは、外で体を動かしながら遊び、比較的男女関係なく仲良くなる。そこには、まだまだ子供の部分が多く素直なので複雑な会話が必要な訳ではない。
それに比べて高学年女子は、一気に会話の内容が複雑化するし、女子特有の仲間意識などが芽生える。娘の話を聞くに、どうやらマンツーマンならまだ話せるらしいが、三人、四人になると一気に相手が何を言っているのかわからなくなるらしい。
なるほどーでしたよ。もちろん、学校に行きたくない理由はこれだけではないけれど、明確な理由として一つわかったのは一歩前進だと思いました。
この結果を本人に教えるか教えないかは自由だったのだけど、私はきちんと本人にも伝えました。娘もちゃんと理解して、複数人での会話が苦手なことは仕方がないということに安心しているようでした。必要なのは、苦手なことをどうフォローするかだということも一緒に教えて、それはそうだと本人も納得していた。
そこで、私はこの検査結果を踏まえて次はどうしよう? と考えて、サポートルームの活用を思いつきました。
サポートルームの説明の前に、一つ寄り道を……。ここまでくるのに十一月の後半までかかっています。その間も、週三を目標に学校に行っていた。行ける週もあれば、行けない週もある。その中には運動会があり、学校に行かない日が多かったので、ちゃんと行けるか心配だったけれど、娘はちゃんと参加できた。周りの子たちに支えて貰ったのも大きかったと思う。集団行動なので、不規則に休む娘はご迷惑をかけていただろうが……。同じクラスの子たちには、本当に感謝している。五年生の演技はソーラン節だったのだけど、私はママ友に送ってもらった画像で見たがまあまあだった。
そりゃー完璧にはできないけれど、参加できたから良かったと思う母であった。
そして、どうして生ではなく画像で見たのか……。ある日の帰宅中、自転車を降りた瞬間にとんでもない違和感が腰にあって歩くのがやっとな状態に……。なんとかかんとか家に着いて横になった途端、激痛で立ち上がれなくなってしまったのです。
人生で二度目のぎっくり腰。一回目の時とは比べ物にならない痛さで、体は動かせないし、どうやって立ち上がったらいいのか、それどころか仰向けになることもできなくて、本当に人生摘んだって思った瞬間だった。三日目くらいでやっと動けるようになって、形成外科に行って痛み止めとコルセットをもらいなんとか歩けるまで回復したのでした。
そのぎっくり腰から一週間後の運動会だったため、半日グランドで立っているのは難しく、最初の徒競走だけ見て帰るというなんとも悲しい運動会になってしまった……。もちろん旦那には、私の分までしっかり見てもらったけれども……。
だけど悪かったことだけじゃなくて、娘に家事を教えていたのがここで凄く役に立った。お風呂掃除や、洗濯は娘がやってくれた。動けなかった一週間は、申し訳ないが学校にもちゃんと行ってもらった。運動会の練習もあったことも大きいが……。
娘が不登校になって、色々なことへのハードルがどんどん下がっていった。勉強なんてどうでもいいし、友達なんてできなくてもいい。ただ学校に行って健康的な生活を送ってさえくれればいい。運動会も最悪行けなくても仕方がないと思っていたけれど……。そこは、本人に行く気があったことに拍手を送った。だからこそ、運動会見たかったけれど……不甲斐ない母だなと思って落ち込んだけど、画像で見られたからいいよねと割り切った。
娘が不登校になって半年。娘が不登校になる前の私は、一般的な親と同じように成績は平均よりも上にいて欲しいと思っていたし、友達も少ないよりも多い方がいいと思っていた。それに、学校はできるだけ休まずに行って欲しいと思ってもいた。
だけど今の私は、勉強も友達も、集団生活で身に着く社会性も、そんなモノは後からいくらでも追い付くと思っている。一番大切なのは、外に出て太陽を浴びること。自分の足で歩いてどこかにいき体を動かすこと。朝起きて、夜眠る。朝、昼、夜とご飯を食べること。子供は成長段階だから、これ以上大切なんてことはきっとないと言い切れる。
学校に行く一番の目的は、健康的な生活を送るってことなのだと思う。勉強とか社会性はきっとついでなんじゃないだろうか。もちろん、これからの人生を生きていく上で大切だって言うのは当然なんだけど……。不登校児にとって、そんなことは二の次三の次。心身ともに、健康でいてもらうことが一番大切になる。
今、しきりに通信制の高校だとか、オンライン授業だとかが話題に上るけれど、それはそれでいいとは思う。学習面でのフォローは沢山できてきたので、それとは別に健康面のフォローが生まれるといいなと思う。だって、体は動かした方がいいし、歩いた方がいい。基本、家から出ない子にどうやって運動をさせるのかが凄い課題だと思う。体力とか、抵抗力とか、どんどん落ちてしまうので。




