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プロローグ、神様顔真っ赤で草


深夜2時半、規則正しい生活をしている人々が寝静まった頃に俺は暗い部屋でPCを立ち上げてギャルゲーをしていた。


カチッ....カチッ...


画面が暗転する度に死んだ表情の俺が写る。


俺は榎宮(えのみや) 志津(しづ)


今年、大学に入学したばかりの18歳の男だ。


女みたいな名前だが、男だ。


顔立ちも中性的なせいで、女性とよく間違われるが、何処かの誰かと違っていきなり殴りかかったりはしない。


カチッ...カチッ..


「私とサークル活動してください...」


画面では巨乳のヒロインが胸を揺らしながら

サークル勧誘のビラを主人公に渡していた。


カチッ


「.....」


俺、榎宮志津には悩みがある。それは..

大学生活がクソつまんねぇ事だ。


大学ってもっとこう、退廃的でだらけたセクシーな先輩が居たりだとか、画期的な研究を見せてくれるマッドな教授がいたりとか、サークル仲間と朝まで飲んで

次の日死んだ表情で講義に出たりとか...!

※未成年飲酒は犯罪です


無い!俺の通う大学にはそんなのひとつも無い!

キラキラしたキャンパスライフなんて存在しなかった!


研究室のメンバーは俺以外、ジャックとかニコラスとかアメリカの刑事ドラマに出てきそうな名前をした外国人ばっかで馴染めないし。サークルはガチガチで

オリンピックを目指すような人々ばっかだし、テニサーはヤリサーじゃなかったし!


カチカチカチカチ...

俺はマウスを高速で連打し腹の立つシナリオを飛ばす


「君、あ、明日、おい!」


画面では高速で話が進みだし、ボイスが途切れ途切れで再生される。主人公は大学生活を謳歌してやがてヒロインと...


「あの、初めてだからさ、優しくしてね?」



ぐああああ!!!


俺はギャルゲーのクライアントを強制終了する。

無機質なPCのホーム画面だけが、部屋を青く照らしている。



「はー、....」


ベッドに寝転び、ブルーライトで疲れた目を労わるようにマッサージする


「...やば、早く寝ないと明日バイトだ...」

枕元近くにあるはずの充電器のケーブルを探す、スマホを充電してから寝ないとたまにアラーム鳴らない時があるからな。


スマホにケーブルを刺すが、充電されない。


「あれ?冗談だろ?」


コンセントの方を確認すると、プラグが刺さっていなかった。ああ、思い出した!PCの電源を付けるために引っこ抜いたんだった。


「あーめんどくさ」


俺はベッドから手を伸ばし、コンセントを引き抜く


バチバチッ!と音を立てて火花が走る。


「うわ、やべ!ショートしたか?」


俺はベッドから降りてコンセントに顔を近づける。すると轟音と共に部屋が爆発し。視界がまばゆい閃光に包まれる


「うわぁあ!眩し...」


....あれ?どうなったんだ?

俺は爆発と閃光により反射的に閉じた目を開けながら、自分の顔をペタペタ触る。


確かに爆発したよな?

俺の顔は綺麗にくっついており、怪我ひとつなかった


「てか、なんだよここ...」


視界一面に広がっていたのは白、白、白

360℃どこを見回しても白い色が広がっていた。


病院ではなさそうだが...なら警察か?映画とかでサイコパスな犯罪者が拘束されてそうなあの白い部屋にぶち込まれたのか?


確かにギャルゲーばっかやりすぎて頭はいかれ気味かも知れないが収監される程では無いだろ。それにコンセントを爆発させただけだぞ。




「キタ━━━━(゜∀゜)━━━━!!」


「うわ、びっくりした。なんだよ急に...」


俺は謎の声がした方を見る、そこには白い髭を生やしたいかにもゼウスって感じの顔をしたおっさんが、浅草とかに売ってあるI LOVE JAPANと書かれたTシャツを着て立っていた。


「......誰?」


マジで誰なんだ?俺は頭にいくつも疑問符を浮かべながらとりあえず挨拶をする。第一印象は挨拶をちゃんとしとけば大体どうにかなる。


「あの、こんばんは...俺は榎宮 志津です」


「君さぁ、あのさぁ...」


ゼウスっぽいおじさんはネットでよく見るウザそうな上司みたいな話の始め方をしてきた。こいつの第一印象は最悪だ。


「君、やる気あるの?」


本当にウザイ上司じゃん!なんなんだよこれ!


「ギャルゲーだよギャルゲー、いつもいつも話をスキップばっかしてまともに読まないし、CGは全回収しないし、その癖やり終わった後、あー時間の無駄だった。この会社の作品はもう買わんとこ。レビューに悪口かいたろw とかほざくじゃん?君?」


どうやら、俺のギャルゲーに対するプレイスタイルに怒りを募らせたあまり、顕現したギャルゲー好きのキモめの神様といったところらしい。こいつは。


「つまらないものはつまらないんだから仕方ないだろ?大体、いつも話をスキップしてる訳じゃない、名作、サマーアルバム2はスキップもしてないしCGも全回収したし、公式設定資料集だって買いましたけど?」


「でも君、グレナド絵が古いとか言ってやらなかったよね?名作で人生とまで言われてるあの作品をあろうことか、プレイもしてないよね?」


くっ、このキモめの神様中々やるな、確かに俺はパッケージの絵でギャルゲーを選ぶ癖があるそこを見抜くとはやはり神様だけあるな。だが、


「あーあれね、先にアニメ見ちゃったんだよね〜

もしかして神様って原作プレイしろ勢?内容知ってるアニメ勢にもそれ強要するのってどうなの??」


かなり苦しい言い訳だが、なんとか凌いだぞ。


「お前はリスペクトが無いな!このギャルゲーが売れない時代に、ノベルゲーというジャンルにこだわってソフトを開発しているメーカーにリスペクトは無いのか!」



「は、何度も言わせるな、つまらない物はつまらないんだよ。神様さぁ、顔真っ赤だよ?悔しいの?」


俺はトドメをさす為にネット仕込みのウザったらしい口調で煽る


「.....そうかよろしい。汝は咎人である。」


ん?なんか急に雰囲気が...


「お前はノベルゲーメーカーを侮辱し、私に逆らった。」


白い部屋が、空間自体が歪み、輪郭を失って行く。

なんなんだこれ、まるでベーリング海のカニ漁船の中にいるみたいな..。うっ気持ち悪...。


「ギャルゲーみたいな世界に行って反省しろ!!」


「待て!なんだそれ!そんな反省の仕方があるかよ!!!」


そしてまた世界が光に包まれると俺は意識を失った。


ーー



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