AOI 第57話
春期講習の日も、あと残り少なくなっていた。あいかわらず、漢字はお残り組み。振り返ってみると、机に座っている時間は格段に増えている。身についているか身についていないかはわからないけれど、高校受験に前向きになっているのはわかる。塾の帰り道に、塾グループで4月から本科に進むのかという話があった。考えていたけれど、きちんと答えを出していなかったな、お母さんとも話していないな、と思った。のあちゃんが、家族に続けてほしいと言われていて、さっちゃん一緒に通おうと誘ってくれた。翔太君意外の男の子達はどっちでもと言っていたけど、翔太君が必死に誘っていて、その姿を見て、のあちゃんと私は笑ってしまった。のあちゃんと翔太君は順調らしい。春期講習の中間にお休みがあった時に、2人でデートをしたみたい。のあちゃんとの夜の電話で聞いて、キャーと赤面して興奮して、のあちゃんはまた笑っていた。さっちゃん、おもしろいって。私は、だってだってって言って、それを聞いて、また、のあちゃんは笑った。私には、別世界のお話で、まったく、身近に感じられなくて、そう漫画、漫画の中のお話。私の同じ中学の友達の友達に、お付き合いしている2人がいて一緒に帰っている姿をちらっと見た事があったな、わぁー、一緒に帰ってるー、と、盛り上がって、友達が、そう言えば、今日一緒に帰るって話してたよと、聞いて、また、盛り上がっていたっけ。その友達は、彼氏さんの方をあれ、呼ばわりして、なんであれがいいのかわからんと、少し怒り口調で話をしていた。私は、それを聞いて、なんでと言われる人とはお付き合いをするのはよそうと、とっさに思った。そういえば、翔太君の人となりはまったくわからないけれど、のあちゃんが良いのであれば問題無しだと思っていたけれど、あれ、そういえば、さっきの友達の友達の話は、その子がよければ良しとすることがいいということかと思った。そっかぁ、いい事かぁ。と、思ったけれど、やっぱり、周りのお友達にも応援してもらえる方が私はいいかなと思いなおした。はじめて、心配されるお付き合いもあるんだなと思った。LINEが届いた音がした。のあちゃんかなと開くと、部活動の3年生のグループからだった。4月からの部活予定表が貼られていた。いよいよはじまるか。予定表には仮入部とか記入してあって、新1年生がたくさん入ってくれるといいなと。あと、部活動発表会があって、新1年生の前で寸劇をする恒例行事がある。1人ひとり案を考えてくる事と書いてあった。宿題が増えた。