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人外女子達と過ごす昭和の高校生活、たまに異世界  作者: はるゆめ


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5/15

第五話 異世界こんにちは

 昭和のいつか。どこかの街にある高校。季節は春。


 放課後。

 俺と(みどり)、そして黒瀬の三人はショッピングモール、タティへ向かってる最中だ。

 タティは大手のスーパーチェーンで、二階には服屋とか本屋などの専門店街となっている。


 二軒の映画館が潰れ、地元の商店街が閑古鳥が鳴いてる状態となった今、タティは俺たち田舎の人間にとっちゃ何かあれば、いやなくても出かける場所だ。


 この前テレビのロードショーで観たばかりのゾンビ映画。

 希望の見えないラストシーンに何とも後味の悪さを覚え、次の日学校で黒瀬と『映画と同じ状況になったらどう生き延びるか』をあれこれ話したもんだ。


 歩く屍、ゾンビとなった街の住民が生前の習慣通りに続々と主人公達が逃げ込んだショッピングモールに集まってくる……そんなシーンがふと思い浮かんできた。


 アメリカじゃショッピングモールで一週間分の食料などをまとめ買いしてでかい冷蔵庫に放り込む。いずれ日本の地方もそうなっていくのか。


 そうなったらゾンビものが邦画で作られても同じようにショッピングモールに集まるゾンビ化した住民、そんな風に描写されるかもしれない。


「隆晴? 考えごと?」


 (みどり)が俺の顔を覗き込む。


「いや何でもないさ」


 駐輪場に自転車を突っ込み、宝くじ売り場とペット屋の横を抜け中へ入る際に気になってたことを尋ねてみる。



「おい黒瀬、佐藤さんは一緒に来ないのか?」

「来てるよ」

「どこに?」

「お前からは見えない場所にちゃんといる。妹もな。心配するな。彼女はお前達を守るから」


 不安な気持ちになるなと言う方が無理だろう。昨日あんな経験したばかりだぞ。


「私も隆晴を守るから」


 (みどり)は両手で俺の手をそっと握る。真剣な顔。


「俺だって男だ。何とかするって」


 強がってみる。女に守られるのはカッコ悪い。


「おう恋人同士だな、お前たち」

「揶揄うなよ。黒瀬」


 昨日、黒瀬と佐藤とのやり取りを思い出す。


『佐藤さんもお疲れ様』

『後でお願いね?』

『もちろんだ』


 長年連れ添った夫婦みたいな雰囲気しておいて、俺たちを揶揄ってるのはおかしくないか?

 相手が佐藤優子なのが腹立つけどな。


 実のところ、俺は(みどり)に対しての好意を誤魔化せなくなってきてる。

 記憶を弄られたとはいえ、二ヶ月一緒に過ごしたのは事実だし、たとえその正体が猫であってもこいつが悪い妖怪とは思えないからだ。


 ……それにあの公園で告白されてるしな。 


『わ、私、隆晴に恩を返さなきゃいけないのに、ううん、隆晴のこと好きなのに。隆晴を召喚の生贄にしようとずっとそればかり考えるようになって』


 びっくりすることが次から次へと一度に起きたもんだから、うっかりするところだった。


「山下、とりあえずはハンバーガーでも食べるか」

「ああいいな。腹減ってきたわ」


 店内は割と混んでた。うちの生徒もちらほら見かける。


「いらっしゃいませー!ご注文をどうぞ」


 この言葉と店員の女の子の……“歪んだ”笑顔。ここで記憶がなくなった。


「……んあ?」

「隆晴!」


 (みどり)が抱き着いてきた。女子独特の香りに包まれる。


「ん……俺、ここは……」

「起きたか、山下」

「黒瀬……ん?」


 目についたのは黄色っぽい砂と大小様々な石と岩、それが見渡す限り広がってる。

 地平線。

 直に見たのは初めてだ。

 俺は起き上がり、あたりを見渡す。

 タティの中にあるハンバーガー屋にいたはずだが。


「意識ははっきりしてるか?」

「あ、ああ。黒瀬、ここは……」

「お前が起きたから現状確認してしておこう、瑛子」


 黒瀬の妹がいる。


「ここは地球じゃない。私達がいた世界ですらないよ」

「はぁぁ。異界ってわけか。やられたな」

「私がいるから。お兄ちゃん」

「ああ、頼りにしてる。なぁ瑛子、何となくだが……河野 涼子、いやナラバスに見せられた風景に似てないか?」

「うん。あいつ、エレボスの気配、それの残滓で満ちてるよ」

「やっぱりか」


 何の話だ?


「おい、黒瀬。俺にもわかるように教えてくれ」

「すまんすまん。山下、落ち着いて聞いてくれ。俺たちは違う世界、異界に飛ばされたんだ」

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