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無自覚チートが癪に障る幼馴染と魔術学園の入学試験を受けた話

作者: 田中凸丸

以前書いた現代知識チートのざまぁものが思ったより好評でしたので、今度は無自覚チートものを書いてみ見ました。

よくある無自覚チート物のお約束、でも実際いたらこんな感じだろうな~とか考えながら書いてみました。

 田舎に分類される俺が住む村には俺を含めて魔術を操れる人間が三人いる。一人は俺、両親が元王都で働いていたヒラの魔術士でその血を引いた俺も幼いころから両親に魔術を教わっていた。俺自身の才能は、、、まあ普通。そこら辺にいるヒラ魔術士とそれ程大差はない。

 もう一人は幼馴染の女の子のシャルロット、彼女は母親が王都のエリート魔術士で村に住む男性との間に生まれた子で母親譲りの才能を持つエリートである。

 そして最後の一人なのだが、、、俺はコイツがあんまり好きじゃない。名前はハヤトでシャルロットと同じ幼馴染だ。コイツの両親は特に魔術士ではない。普通の農家の両親から生まれたんだが、コイツには魔術士としての才能があった。それも千人に一人とか、一万人に一人と言ったレベルの才能だ。

 なんせ七歳の頃にはエリートの証と言われる七式魔術を軽々と扱ったのだから、それを見た周りは大騒ぎ、神童だの天才だの騒ぎたて、村を挙げての宴、王都からきたエリート魔術士さんからは王家直属の魔術師団にスカウトされた。

 

 ここで誤解が無いように言っておくが、俺がコイツを嫌ってる理由は別に才能に嫉妬してるからじゃない。寧ろ俺は自分の近く且つ同年代でこんな桁外れの才能の持ち主に出会った事に感謝している。自分がどれだけ未熟か気づかされたからな。きっとコイツに出会わなければ俺は狭い村で自惚れた間抜けな魔術士として一生を終えていただろう。

 じゃあコイツのどこが嫌いかと言うと、、、それは自分の才能に兎に角無自覚なことだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ゼガノアポロディアス・フルム・メテオクス・バレルド!」


 嘗て村に訪れたエリート魔術士から貰った世界樹の枝を使った杖でハヤトが呪文を詠唱、頭上に巨大な火球が現れ、ハヤトから少し離れた場所にいる熊に向って、周りの木々を燃やしながら突っ込んでいく。

 突然現れた火球に熊は呆然として、碌に回避行動もとらず火球に飲み込まれた。

 後に残ったのは広大な焼け野原のみだ。


「ふう、よかった何とか退治できた」


 汗を拭うハヤト、何が”何とか退治できた”だ!明らかにオーバーキルだろう!見ろ、依頼主が呆然としてるぞ。

 今日俺とハヤト、シャルロットは隣村からの依頼で作物を食い荒らす熊を退治しに来た。罠を張って数時間待ち、漸く現れた熊。計画としてはシャルロットが氷魔法で足を凍らせて動けなくしてから、俺とハヤトで止めを刺す筈だった。

 けど、ハヤトは勝手に前に出てちょっとした街や村なら焼き尽くせる十式魔術で熊を畑事焼き払ったのだ。


「あれ、皆どうしたの?さっきからずっと黙って、、、はっ!もしかして僕が使った魔術が余りにもショボすぎて呆れてるの?」


「ッチ」


 毎度毎度同じ台詞を吐くハヤトに俺は軽く舌打ちをすると、何回繰り返したか分からないやり取りをする。


「逆だ、逆。お前の魔術が凄すぎて皆言葉を失ってるんだ」


「ええ、そうなの?」


「当たり前だ!何処の世界に熊を退治するのに街を焼き尽くせる魔術を使う奴がいる!」


「そうだったんだ、、、ああ、僕またやっちゃったのかあ~」


 そう、()()なのだ。ハヤトはいつもそうだった。ほんのちょっとした問題や面倒事に九式魔術や十式魔術を簡単に使う。そして唖然とする周囲にハヤトがふざけた勘違いをして、俺が説明をする。

 俺は何度も説明した。お前が使う魔術がどれだけ桁外れで周りに影響を与えるかを、今日だって十式魔術を使わないよう事前に厳しく注意した。十式魔術なんて使えば畑や村にも被害が出るからと。

 でもあっさりハヤトは使いやがった。そしていつものパターンだ。

 俺は本当にコイツの才能に無自覚な所が大嫌いだ。ポンポン九式魔術や十式魔術を使って周りがどれだけ迷惑を被っても理解をしない、どれだけ説明しても学ぼうとしない、それどころか自分は凄くないと勘違いをしてまた同じことを繰り返す。うんざりしてくる。

 なあ、知ってるか?お前、村じゃ腫れ物のように扱われてるんだぞ。だってもしお前の反感を買って魔術をぶち込まれたら確実に死ぬからな。分かってるか?お前は()()()()()()()()()()()()()()()

 もしお前が自分の才能に自覚をもって、魔術を適切に扱えてたらこんな事にはならなかったのに、


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「あ~、明日が試験か、緊張するな~」


 馬車の荷台にゴトゴト揺られて数時間、ハヤトがそんな事を言うが顔は全然緊張しているようには見えない。荷台の端に座っているシャルロットは本を読んでおり、ハヤトを無視。俺も明日の試験に備えて杖の手入れや問題集の読み込みで忙しいので「そうか」と軽く返事をするだけ。

 馬車の行き先は王都、十五歳になった俺達は魔術師の卵を育てる学び舎、王立魔術学園の入学試験を受ける為、王都に向っているのだ。


「ね~、グレン、僕合格できるかな~。あ~、不安になってきた!」


 ハヤトが俺の肩を掴んで揺らしてくるが俺は無視、俺は余裕で合格できるお前達と違って凡才だから試験ギリギリまで勉強しなきゃいけないんだ。

 それにコイツ、不安だとか言ってるくせに杖の手入れをしていないし、参考書を読み込んでもいない。村の人達が俺達の為にと、余裕がないにも関わらずクソ高い参考書や過去問題集をお金を集めて買ってくれたというのに。

 あれ?そう言えば思い返すと俺はコイツが魔術の勉強や努力をしている所を見た事が無い。俺が必死に二式魔術や三式魔術を勉強している傍らでこいつは欠伸交じりに十式魔術を使っていた。


「ねえ大丈夫かなグレン!ちょっと無視しないでよ!」


「お前の実力なら余裕で合格だろ」


 余りにもしつこいので適当に返事すると、ハヤトは両手を前に出して否定のポーズをする。


「そんなことないよ!僕なんて全然大したことないよ!」


 イラッ


「おい、、、、」


「大丈夫、ちゃんとやれば、私達三人とも合格できる」


 いい加減我慢の限界だったのを察したのか、シャルロットが俺の言葉に被せるようにハヤトに言う。


「そ、そうかな?」


「ええ、()()()()試験に挑めば、私達三人とも合格できるわ。私が保証する」


 ハヤトに劣るとはいえ、シャルロットもかなりの才能の持ち主だ。凡才の俺なんかより天才のシャルロットの言葉の方が説得力があるのか、ハヤトはそれ以上何も言わなかった。

 それからは俺とシャルロットは明日の試験に向けての準備、ハヤトは荷台の外を眺めながら王都に着くまで時間を潰した。

 しかし、今のシャルロットの言葉、、、何だか含みがあるような言い方だったな、、、


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「時間だ、全員羽ペンを置きたまえ」


 試験官が試験終了の合図をしたので、俺はペンを下ろす。とうとうきた王立魔術学園の入学試験。午前の筆記試験を終えて、小さく溜息を吐く。問題の九割は埋める事が出来たけれど、不安な回答もある。そこは午後の実技の試験で挽回するしかない。


「これより午後の実技の試験に入る。受験生は私についてきなさい」


 昼休憩の間に弁当を食べ終えた俺とシャルロット、ハヤトは実技試験の場所へ向かう。因みに休憩中もハヤトが「あ~やばいよ、全然自信ないよ」とかいって滅茶苦茶しつこく絡んできてうっとうしかった。

 

 試験場所は広いグラウンド、試験内容は三つに分かれていて一つは的に魔術を当てる精密性、二つ目は魔術詠唱の速さと正確性、三つ目は試験官との魔術の打ち合いによる威力だった。 

 また事前に注意事項として、他の受験者への妨害行為や不正行為、使える魔術の制限などもありそれを破るとどれだけ高得点でも即刻不合格との事。


「ウィド・ドルグ・バレルド」

 

 俺の詠唱で放たれた風の礫が砂を巻き込みながら、的へ向かっていく。そして中心より少し外れた場所に当たる。


「アイシル・ニドル・バレルド」


 俺の次の順番だったシャルロットは細い氷の針を放ち、それを見事中心に当てて見せた。やっぱシャルロットの精密性は凄いな。魔術の範囲を大きくすれば的に当たりやすくなる、けれど精密性を測るこの試験でこれは悪手、だから的を狙えるギリギリまで魔術の範囲を小さくする必要があるんだ。


「は~、やっぱみんな凄いな~、試験官や他の受験生に笑われたりしないかな~」


 と、此処できやがったよ、アイツ(ハヤト)が。大丈夫か、いつもみたいに十式や九式魔術を使ったりするんじゃないだろうな?いや、でも精密性を測る試験だって前もって言ってたし、俺からも十式や九式を使うなって言ったし、そもそもこんな人が大勢いる場所で十式や九式を使えば、巻き添えをくらう人もいるし、それに気づかない程無自覚では、、、、


「ゼガノアポロディアス・フルム・メテオクス・バレルド!」


「っ!」


 他の受験生に笑われながら、的へ向かって詠唱をしたハヤト。奴が詠唱した魔術はこの間、広大な畑を焼け野原にした十式魔術だった。

 嘘だろ、、、あいつそこまで無自覚だったのか、、、これはもう、、、馬鹿としか言いようがない。


「全員私の後ろへ!早く!」


 ハヤトの詠唱と空に形成されていく火球に気付いた試験官達が慌てて俺達受験生を後ろに下がらせ、総出で防御用の結界魔術を形成する。

 そんな周りに気付かないハヤトはそのまま的に、、、いや試験場に巨大な火球を落とし、試験場を焼け野原にした。


「きゃあああああ!」


「うわああああ!」


 余りにも強大すぎたのか、試験官複数人の結界魔術でも余波を防げなくて何人かが吹き飛んだり、火傷を負っている。

 と思っていたら



「ぐはっ!」


 大きな炎の波が俺に向ってやってきた。咄嗟に呪文を詠唱して風の壁を作って威力を減らそうとしたけど、俺とアイツの魔術の才能の差は大きく、風の壁はあっさりと吹き飛ばされ、顔を覆った両手の肌が炎で炙られ、焼けただれていきながら俺は吹き飛んだ。


「グレン!」


 吹き飛んだ俺にシャルロットが慌てて駆け寄る。


「グレン!ねえ、しっかりしてグレン!ねえってば!」


 いつも冷静な彼女らしくない不安げな声、目元には涙が溜まっている。駄目だ、何か安心できるような言葉をかけてあげたいけど、喉や体が痛くて声が出ない。


 一方のこの騒動を起こした馬鹿野郎(ハヤト)は巻き込まれず、けれど唖然として何も言葉がでない試験官や他の受験生達の方を振り返り、いつもの言葉を言いやがった。


「あれ、皆どうしたの?さっきからずっと黙って、、、はっ!もしかして僕が使った魔術が余りにもショボすぎて呆れてるの?」


 ああ、くそ、やっぱり俺はコイツが嫌いだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 最悪の試験から二週間、幸い学園にいた治癒魔術のエキスパートの先生たちにより、あの場で怪我した者は治療を受けて三日後には完治していた。

 試験についてはハヤトが試験場を吹き飛ばしてしまったため、試験場を整えて改めてあの日出来なかった試験の続きを(ハヤト抜きで)行った。けれど試験場には受験生は半分くらいしか集まっていなかった。聞いたところによるとハヤトが行使した魔術を見た事で自信を砕かれた者、トラウマを刻まれ魔術を忌避する受験生が続出したとのことだ。

 

 そして今日、試験の結果が発表され王立魔術学園に入学できるか否かが分かる。


「やばい、、、めっちゃ不安になってきた」


「大丈夫、グレン?」


 不安で俯く俺の顔をシャルロットが覗く、そう言えばアレからシャルロットがやたら俺に構うようになった。今までは誰にも興味がないというか、誰にでも同じ扱いをしていたのが俺にだけやたら甘ったるい声で近づくようになったのだ。何故?そしてそれに気づいてからかハヤトが不機嫌になる頻度が多くなった。アイツ、シャルロットに惚れてるからな、多分気に食わないんだろうな。


「グレンなら受かってるよ。さ、一緒に結果見に行こう!」


「お、おいちょっと」


 手を引っ張って前を走るシャルロットに慌ててついていく。ああ、くそ、受かっても落ちても俺の実力の所為だ!俺は覚悟を決めて結果が張り出されている学園の校門へ向かった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「う、受かってた」


「ね、だから言ったでしょ!グレンなら受かってるって」


 合格者が校門に張り出される中、俺は無事一般クラスの中にある自分の名前を見つけた。


「いやでもシャルロットの方が凄いよ」


 俺はある一点を指さす、そこにあるのは試験の結果が上位の者のみ入れる特進クラスの生徒の名前、その中でも総合一位を取った新入生代表の名前。

 そこに書いてあった名前はシャルロットの名前だった。


「うん、お母さんの期待に応えられるよう私も頑張ったから」


 むん!と嬉しそうな顔をするシャルロット。やばい、いつものクールな雰囲気とのギャップで滅茶苦茶可愛い。

 合格者はこのまま巨大講堂に向って入学式を行う予定だ。俺とシャルロットが講堂に向かおうとすると、甲高い怒鳴り声が聞こえてきた。

 

「だから何で俺が新入生代表じゃないんだよ!それどころか、何で不合格なんだ!おかしいだろう!」


「・・・」


「あれ、アイツ」


 声がする方を向くとそこには学園の講師に詰め寄るハヤトがいた。


「それになんだよ!この変な腕輪は!」


「それは魔術封じの腕輪だ。主に犯罪者やその兆候が見られる魔術師に着けられる腕輪で学園長、そして王家近衛魔術師団長の指示でつけさせてもらった。君はこの二人の許可が無ければ魔術を使う事が出来ない」


「はあああああああああああ!ふざけんじゃねえよ!モブキャラの癖に何勝手なことしてんだ!」


「おい、ハヤト」


 泡を吹き、唾を飛ばしながら叫ぶハヤトに見ていられなくなった俺はアイツに声を掛ける。俺に肩を叩かれて振り向いたのだが、、、うわ!目が凄い血走ってる。


「おい、丁度いい!お前からも何か言ってやれ!」


「何かって、、、そもそもお前は何をそんなに怒ってるんだ?」


「何を怒ってる?、、、んなの決まってるだろ!俺が試験が不合格なことについてだよ!」


 不合格?そう言えば、合格者の名前にハヤトの名前が無かったような、、、


「おかしいだろう!普通こう言うのは無自覚チートな主人公が試験でイキり散らかす受験生やプライドが高い試験官を圧倒して、新入生代表とか、特進クラスに入学とか、歴代最高点を叩きだすとかして周りからチヤホヤされるのがお約束だろー!でその後も気に入らねえエリート共を無自覚チートでざまあして、幼馴染とか姫様とか名家のお嬢様とかを侍らしてハーレム築くもんだろう!なのに、なのに!何で俺の名前が無いんだよ!」


 地団太を踏むハヤトの姿に普段の弱気なアイツの面影はない。というか無自覚チート?何だそれ?


「貴方の名前が無いなんて当り前じゃない」


 暴れまわるハヤトに俺と講師が呆れていると俺の後ろにいたシャルロットが小さく、けれどハッキリ聞こえる音量でハヤトに告げる。


「ちゃんと試験を受ければ合格できたのに、それをしなかったのは貴方自身。むしろアレで合格できたと思ってる方が可笑しいわ」


「それはどういう意味だよ!シャルロット!」


 シャルロットに掴みかかろうとするハヤト、慌てて間に入るとシャルロットが冷たい目でハヤトを睨む。


「ねえハヤト、貴方試験で十式魔術を使ったけど、何で十式魔術を使ったの?」


「そんなの決まってるだろ!他の奴らがショボい魔術使ってる中で俺が十式魔術を使えば周りは俺を持ち上げるだろう?無自覚チートの醍醐味だよ!”もしかして僕の魔術がショボすぎて声も出ない程呆れちゃった?””いやいや凄すぎて声が出ないだけだよー!””あれ?またしでかしちゃいました?”お約束だろ!」


「はあ、何となく貴方の性根には気づいていたけど、本当に呆れるしかない。そんな馬鹿な理由で試験を落とすなんて、いいわ。馬鹿で間抜けで自惚れ屋な貴方に一つずつ説明してあげる」


 俺の後ろに隠れたままシャルロットが人差し指を立てる。


「まず一つ目、私達が最初に受けた試験は魔術の精密性を測る試験、魔術を精密に行使できるかの試験で重要なのはどれだけ範囲の小さい魔術で的の中心に当てられるか。だから私やグレン、他の受験者も二式や三式ではなく高得点を狙う為に範囲の狭い一式魔術で的の中心を狙ってた。なのに貴方は極大範囲の十式を使った。これはもう試験官に『私は魔術の制御ができません』って言ってるような物、0点になって当たり前」


「ぐっ!だとしても十式だぞ!お前も見ただろ、あの威力を!試験場を焼け野原にしたあれなら、、、」


「それが問題だった」


「はあ?」


「二つ目、これは試験前に言われていたけど、他の受験者への妨害行為や不正行為、使える魔術の制限を超えて使用した者は即刻不合格。そして使える魔術は最大で五式魔術と言われていたのに貴方は十式魔術を使った。それだけじゃない、貴方が十式魔術を使った事で試験場は焼け野原になった挙句他の受験生に怪我を負わせた。分かる?()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()これは明確な妨害行為と違反行為、不合格になるの当然。ついでに言えば貴方の所為で入学を諦めた人達だっている」


「があああああああああ!」


 反論の言葉が浮かばないんだろう、いまのハヤトはまるで癇癪をおこした子供だ。


「ふざけんな!何でチート転生したってのにこんな目に合わなきゃいけないんだよ!くそが!くそが!くそが!くそが!くそが!くそが!」


「最後に三つ目、貴方に魔術封じの腕輪が付けられた理由。ハッキリ言ってこれは今までの行いが悪い」


「はあ!」


「十式魔術や九式魔術は戦争や強力な魔獣討伐に使われる魔術。()()()()()()()()()()()()()()()使()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()鹿()()()()()()()()()()()()()()()()寧ろ殺されないだけ温情かも」


 プツンと何かが切れる音がしてハヤトが白目を剥いて地面に倒れる。講師が『後は任せなさい』というので俺とシャルロットは再び講堂へ向かう。


「ばっさり言ったな」


「だって私アイツ嫌いだもん」


「おう、、、」


 これまたバッサリ言うシャルロット。まあ、俺もアイツ嫌いだけど。


「自分の力に無自覚?それでどれだけ周りが迷惑を被るか分かってる?その無自覚がどれだけ人の努力を嘲笑ってるか分かってる?グレン、私はね努力が必ず実るとは思ってない。でも努力を嘲笑う事だけはしちゃいけないと考えてる。だから人はちゃんと自分の才能を自覚しなくちゃいけないんだよ」


「才能を自覚か、、、アイツ、、、これからどうなるんだろうな?」


「さあ、でも魔術以外で才能を見せた事ないから、何も出来ない役立たずになるんじゃない?」


「それはまた、、、ちゃんと自分の才能を自覚して使えてれば、王家近衛魔術師団に入れたかもしれないのに」


 才能に無自覚、、、いや無自覚なフリをしていた結果、自分の将来を潰すとは、、、アイツ本当に馬鹿だなあ。

 

「アイツを反面教師にて、俺達は頑張っていこうぜ」


「うん!グレンもいつか私の隣に経つのに相応しい魔術師になってね!」


「おうっ!、、、、て、、、、えっ?」



因みにタグや本人の台詞にもあるようにハヤトは転生者です。転生してチートをゲット、お約束をロールプレイしたくなり無自覚チートのフリをしていました。

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今まで無自覚チートや勘違いチート物にモヤモヤしていました。ギルドの登録試験で試験官が必死な対応してるのに、相手が手加減してくれてると思ったりしてる描写などなど。一回は許せても、同じことを何度も繰り返す…
ハヤトが不合格で犯罪者になったのは分かるけど、普通は試験でやらかした直後に逮捕しないか? 何で合格発表の日まで放置していたの? この凶悪犯が普段から自分の力の制御ができていない事も事情聴取で判明してい…
最初は無自覚なチートが本当に悪気無く、とんでもないことやらかして、周りから気味悪がられ避けられて、ざまぁされるとかと思いきや、全部演技だったとは… それもそれでタチ悪いですが
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