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別れ

名付けの仕組みが理解できた俺は見事ユキを手懐けることに成功??した。

しかし俺のこれからのことを考えるとユキは邪魔にしかならない。

さて、どうしたものか……



「オーク、お前一体タマになにをしたにゃ??」


「俺がお前に名付けしたんだ。お前は俺の言うことに逆らえない。ユキ、とりあえず俺のことをオークと呼ぶのをやめなさい。」


「……わかったにゃ。主人(マスター)!!」


ユキは少し驚いた表情を浮かべてから素直に俺の言うことに従った。

呼ばれ方は別に何でもいいのだが主人(マスター)ときたか。こいつなら勝手に名付けしたことに不満を抱き悪態を付いてくると思ったがやけに従順になったな。



「まあ、わかればよろしい」


「これからよろしくなのにゃ!!主人(マスター)!!」


「ん??あぁ……」


これからか……こいつはなぜか急に懐いてきたが俺はこいつを飼うつもりはない。

しかし名付けをしてしまった手前この場では引き取るしかないだろう。



「じゃあ、おっさん。こいつ引き取るよ」


「旅立たれるのですね。ではぜひまたお越しください。今は勇者様のお眼鏡にかなうものはもうおりませんが次回お越しいただく際には仕入れておきますので。」



「あ、あぁ……」


恐らくもう来ることはないだろう。

まあ、今でも充分にお眼鏡にかなうものはいるのだが……そんなことは無論言える雰囲気じゃない。



「ユキ、行くぞ」


「はいにゃ!!」


こうして俺とユキは奴隷商に別れを告げ店を後にした。



主人(マスター)ーこれからどうするのかにゃー??」


「……」


「ユキはお腹が空いたにゃ!!」


「……お前はもう自由だ。親の元へと帰るといい。」


「え……??」


店から出てしばらく歩いたところで俺はユキにそう告げた。

俺としてもその方が都合がいいしユキにとってもそれがいいだろう。



「……タマの親はもういないにゃ。魔族に殺されてしまったのにゃ。だからユキは主人(マスター)と一緒に魔王を倒すのにゃ!!」


「そうか、なら他の魔法使いの元にでも行くといい。」


「……にゃ、にゃんで??だって、主人(マスター)は勇者様……」


「俺は勇者なんかじゃねーよ。奴隷商のおっさんも勘違いしてたみたいだけどな」


「そ、そんにゃ……」


やはり急に態度が変わったのはそういうことだったか。どうやらこいつも俺のことを勇者だと思っていたらしい。

俺のこの世界での目的は魔王を倒すことではない。童貞を卒業することだ。

こいつには悪いがここでやはりここで別れを告げるべきだろう。



「ユキ、ここでお別れだ。自由にするといい。」


「……わかったにゃ」


こうして俺は次なる目的地へと歩み始めた。

奴隷売り場は他にもあるはずだ。探せばきっとお目当ての奴隷へとたどり着ける。



「……なぜ着いてくる??」


主人(マスター)は自由にするといいって言ったにゃ。だからユキは主人(マスター)に着いていくにゃ!!」


「……これはお前のためでもあるんだ。お前は俺と来るべきじゃない」


「色々失礼なことを言ったことは謝るにゃ……ごめんなさい……ユキはこう見えて結構役にたつのにゃ!!強いし可愛いのにゃ!!だから主人(マスター)ユキを捨てないで欲しいのにゃ。もう一人は嫌にゃ……」


「さっきも言ったが俺は魔王を倒すつもりはないんだ。お前が強いことは奴隷商から聞いた。だからこそ他の魔法使いの元へと行くべきなんだ。俺にはお前は必要ない。」


ユキは泣きながら縋り付いて来たが俺の考えは変わらない。どのみち童貞を卒業したらこの世界とはおさらばだ。一生面倒を見れないのならペットなど飼うべきではない。それこそ無責任ってやつだ。

無責任か……クソ、そもそも名付けなんてしなければ……



「ユキ、命令だもう俺に着いてくるな」


「……」


ユキはただ俯いて涙を流していた。そして俺は歩き出した。次なる奴隷を求めてーー

さらばユキ〇!!

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