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旅勃ち

ゴブリン達を討伐したお礼に美女から受け取った小袋。中には銀貨5枚が入っていた。

金貨一枚が1万Gだから銀貨一枚1000Gってところだろうか。



「……とりあえず腹が減った。5,000Gか……これでなにか食うか。」


とはいえさっきのゴブリン達の出現により町は閑散としている。とりあえず俺は町を散策することにした。

すると『八百屋?』を発見したので少し物色してみることにした。



「これはりんごか?……100Gと書いてあるな……高いのか?」


俺は元の世界でりんごを買ったことがない。そもそも果物自体買ったことがない。

100Gを100円と考えてみてもこれが適正価格なのかが俺にはわからなかった。



「そもそも100Gって銅貨とかだよな……俺銀貨しか持ってねーし……監視カメラとかないよな?」



俺はこの世界の文明レベルは相当低いと判断したためりんごにそっと手を伸ばし口元に運んだ。



「んー……普通にりんごだな…………っ!」


俺がりんごを食していたその時だった、前方から誰かがこちらに向かって猛スピードで駆けてきていることに気が付いた。

ヤバいと思った俺は食べることを止めその場から逃げることにした。

少し走って後ろを振り返るとかなりの距離を詰められていることに気づき俺は焦った。



「そこの人!!待ってくださいーー!!」


「っ!!ち、違うんですそんなつもりはなかったんですーー!!」


食い逃げした俺を捕まえようとしているんだろう。しかしこのままでは追い付かれる。

俺の頭の中はパニックになっていた。



「ゴブリンを見ませんでしたかーー!!このあたりに出現したとお聞きしたのですがーー!!」


「へ?ゴブリン?」


俺は後ろを振り返り足を止めた。

どうやら俺を捕まえに来たわけではないようだ。



「すみません……いきなり追いかけてしまい。あの、ゴブリンを見ませんでしたか?」


「ゴブリンならさっきまでいましたけど……」


俺を追いかけていたのは二十歳位の美青年だった。

俺が苦手なタイプだ……こういうタイプの人間はさぞ人生が楽しかろう。



「本当ですか!?……それでゴブリンはどちらに?」


「俺が倒しましたけど……」


「そうですか!!やはり魔法使いの方でしたか!!」


「は、はあ…………っ!」


俺はゴブリンを倒したことを話し、自分が過ちを犯したことに気づいてしまった……俺は自ら童貞であることをカミングアウトしてしまっていた。

俺は見下されることが何よりも嫌いだ。しかもこいつ『やはり魔法使い』とか言いやがったな……なめやがって。



「あの、それと……青い髪飾りを付けた女性を見ませんでしたか?」


「青い髪飾り?見てな……いや、そういえば青い髪飾りを付けていたな。多分見た……かも?」


「本当ですか!?彼女は無事なのですか!?」


「あ、ああ……俺にお礼を言ってどこかへ走っていったぞ。」


「ーーっ!!この町を……私の大切な人を救っていただきありがとうございます。」


「ま、まあ気にすんなよ。困った時はお互い様だろ?……大切な人?」


「はい……ボクの妻です。本当に何とお礼を申し上げればよいか、言葉もありません……」


「……」


どうやらこいつは俺が助けた女の旦那らしい。

俺は並々ならぬ怒りが込み上げてきた……



「礼はいらない。むしろ札!。金!ゴールド!」


「あ、はい。ーーこちらをお受け取り下さい。」


そう言い青年は5万Gを差し出してきた。



「……俺はお前の大切な人を救ったんだよな?お前にとって彼女の価値はそんなものなのか?」


「っ!!ーー大変失礼いたしました……こちらでどうでしょう?」


そう言い青年は追加で5万Gを差し出してきた。



「……まあいいか。それじゃ俺は次の町へ行こうかな。魔法使いは忙しいからなー」


俺は5万Gを靴下に、残りの5万Gを小袋の中へとしまい青年に別れを告げた。

これ以上は関わりたくないし、なにせ時間が勿体無いからな。



「本当にありがとうございました!」


さて、10万5000Gあれば女を買うことが出来るだろうか。

深々と頭を下げる青年に後ろ向きで手を挙げることで答え、俺は風俗に行くことを決め歩みを始めた。



「この世界にも流石にあるよな……さっきのイケメンに聞いておけばよかったか?……いや、それはプライドが許さない……」


「若者よ」


俺がそんなことを呟いていると道端に座り込んでいる老人が俺に話しかけてきた。

ホームレスだろうか。正直関わりたくないところだが。



「なんですか?」


「お主の求めるものは北にある。北へ進め!!」


「ーーお、俺の求めてるものがわかるってのか!?」


「わかる……かつては儂もそうじゃった」


「かつてはって……」


「儂はもう手遅れじゃ。儂の夢はお主に託す……」


「託すって……爺さんもしかして魔法使いなのか?」


「……そうじゃ。若いころの儂はシャイでな、気づいたころにはもう手遅れじゃった……お主はまだ若い、お主にはまだ希望がある、そうじゃろ?」


「……爺さん。わかった、俺行くよ。爺さんの夢託された!!」


「……イって来い若造」



ーーそうして俺は北へと向かうことになった。

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