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初めての魔法♡

ーー知らない天井だ



どうやら俺は異世界とやらに来てしまったらしい。

目を覚ました俺はあたりを見渡した。



「ボロい部屋だな……ベッドも硬いし……まあ俺の部屋よりは綺麗だけど……」


どうやら神は約束通り家を用意してくれたらしい。

まあ長居することもないだろうし多少のボロさは我慢することにしよう。



「それにしてもリアルな夢だな……お、これは……」


随分とリアルな夢を見ているものだと関心していたところで枕元に金貨が入っている袋があることに気がついた。



「これが神の言っていた10万Gってやつか。この世界ではどのくらいの価値があるんだ?」


日本円でいう10万円と同じ価値……ならまだいいが。

せめて俺の目当てのものが買えるくらいの価値はあってほしいものだ。



「ともかく外に出てみるか……て、あ……」


俺は今パンツ一丁の状態だった。

流石にこのまま外に出ることはできない。



「寝た時の格好そのまんまじゃねえか……どうすんだこれ?」


少し焦った俺だったがクローゼットがあることに気がついた。

流石に衣服位用意してあるだろう。そう思いクローゼットまで足を運んだ。



「……チェック柄のシャツにジーパン、靴下……それに靴もリュックもある!ちゃんと用意していてくれたか!」


クローゼットにはちゃんと俺の勝負服が用意されていた。

俺はそそくさと着替えを終え部屋から出ることにした。

扉を開けて廊下に出るといくつかの部屋があることに気がついた。



「結構デカい家だな……宿泊施設みたいだ……」


そんなことを考えながら俺は廊下を歩き階段を発見したので下の階へと下って行った。

階段を下り終えるとそこには食堂のような空間があった。



「結構立派じゃないか」


そう呟いた時奥のほうから声が聞こえてきた。



「おい、あんちゃん!そこで何してる?」


俺より年上であろう強面のおっさんが俺を見つけるや否や怒鳴りたててきた。

俺は訳が分からず混乱した。



「え、あの、ここボクの家……」


「ここはお前の家じゃねえよ!俺の宿だ!……ったく一体どこから入り込みやがったんだか」


「い、いや、ボ、ボクは起きたらこ、ここにいて……」


「金も払わずに勝手に宿泊してたってことか……それなら金をだせ。」


「え?」


「金だよ!金!宿泊したんなら宿代を払えってんだ!」


「え、わ、わかりました!お金あります!いくらでしょうか!?」


「……10万Gだ」


「……え?……10万G?」


おっさんに要求された金額は俺の全財産だった。

ここで10万Gを支払ってしまったら俺は一文無しになってしまう。それだけは嫌だ……



「……あの10万Gは流石に高いと思います……」


10万Gの価値はわからないがこれが適正価格ではないことを俺は肌で感じ取った。



「さ、3万Gでどうでしょうか?」


「……なめてんのかお前!」


「……え、血……痛い……なにこれ?」


気が付いたら俺は天を見上げていた。

鼻からは血が垂れ流れズキズキとする痛みを伴っていた。

そこで俺は初めて気が付いた……これは夢じゃない……



「10万G払え。それで許してやる」


強面のおっさんは俺を見下ろしてそう告げてきた。

俺は恐怖のあまり急いでリュックから金貨の入った袋を取り出した。



「10万Gあります!払います!どうかこれで許してください!」


「……ったく。初めからそうしろ!」


「ご、ごめんなさい!」


「二度と来るなよ!」


「はい!」



ーーそうして俺はおっさんから解放された。

外に追い出された俺は放心状態で町を歩いていた。



「一文無しになっちゃた……鼻も痛いしお腹もすいた……なんで俺がこんな目にあわなくちゃならないんだ」


そもそもなぜこうなった?

俺は目が覚めたらあそこにいただけ。

俺は何も悪くないのに……そう悪いのは神だ。



「クソがぁーーーー!!!!」


怒りを抑えられなかった俺は人目もはばからず発狂した。その時だったーー



「ゴブリンよーーーー!!!!ゴブリンが出たわーーーー!!!!」


前方から叫びながら女がこちらへ向かって走ってきた。

その直後町中はパニックに陥った。

町中の人間は悲鳴を上げながら女の進行方向に向かって避難を始めた。



「うわぁーーーー!!!!」


「だ、誰か魔法使いはいないかーーーー?!?!」


「おい、あんちゃん!そんなことに突っ立ってないであんたも避難しな!」


「……殺してやる……殺してやる……殺してやる」


「なにぶつぶつ言ってんだ!?早く非難をーー」


「うるせぇ!話しかけんな!」


「ーーヒィィィィィ!!!!」


「あ!?なんだよ!?」


突然話しかけてた見知らぬおっさんが怯えたような表情をしていたので、俺はおっさんの視線の先へと目をやった。



「……!こ、これは……ゴブリン!!!!」


アニメやゲームでは見たことがあったが実物を見たのはこれが初めてだ。

俺は思わず目の前のゴブリンたちに見とれてしまっていた。その間におっさんは逃げ出していたが俺はその場を動けずにいた。



「……スゲー本物だ……って!!ヤバい!俺も逃げないと!!ーーっ!!」


我に返り急いでその場を離れようとしたその時、道の隅で足を負傷し動けずにいる美女を発見した。

二十歳位だろうか。とても綺麗な女性だ。



「ーー待てよ。この展開って……『ニチャア』……」


俺は神との会話を思い出していた。

そう、この世界で俺は結構強いはず。しかも相手は雑魚の代名詞であるゴブリンだ。

ここで俺が美女を救うのはお約束の流れである。



「グフゥ……ゥヒヒ……」


この先の展開は予想できる。

俺がゴブリン共から美女を助け出しお礼に……



「お嬢さん……もう大丈夫だ……某が来た!」


「あ、あなたは?」


「そこでじっとしていて♪」



大丈夫。相手はたかがゴブリンだ。魔法を使えば……魔法ってどう使うんだ?呪文とか唱えるのか?

そういえば俺はこの世界に来てからまだ魔法を使っていないことに気づいた。

それならいっそ、それっぽい呪文でも唱えてみるか。 そんなことを考えていた時だった……


「はっ!!」



俺は肝心なことを忘れていた。

この世界における魔法使いの存在。それは童貞を意味することを。

まずい……俺はそう思った。



「オイ!ニンゲン……オマエモシカシテマホウツカイカ?」


目の前にいるゴブリン達の中からそんな声が聞こえてきた。

ゴブリン達は少し警戒している様子だったが俺はそんなことはお構いなしに……



「ち、ちげえし!ま、魔法使いじゃねえし!適当なこと言ってんじゃねえよぉ!!」


「……マエアッタ、マホウツカイ、オマエニテイル」


俺は窮地に追いやられていた。

魔法を使ったら童貞がばれてしまう。しかし、魔法を使わなければ美女を助けることはできない……ここは魔法を使うべきか。

しかしそうなると別の問題が出てくる。魔法の使い方が分からない。

俺は覚悟を決めてそれっぽい呪文を唱えることにした。



「……ファイアーボール!!」


「ッ!!……?」


どうやら違うようだ。



「メラ〇ーマ!!」


「ッ!!……?」


これも違ったか。



「アバタ〇タブラ!!」


「ッ!!……?」


なるほど、じゃあこれか。



「アイ……アム……アト〇ック」


「ッ!!……?オマエ……サッキカラナニシテル?」


……詰んだ。



「……オンナハ、ツレテカエル」


「っ!!嫌ーー助けてーー!!」


ゴブリン達は俺を脅威とみなさなくなってしまったらしい様子で美女の元へと近づいていった。

俺は焦っていた。これは俺の最も嫌いな展開……NTRだ。

極限状態に追い込まれた俺は脳ミソをフル回転させある一つの回答を導き出したーー



「ヤサイマシマシニンニクアブラカラメ……」


「ッ!!……ギヤァーーーー!!!!」


俺がダメもとで呪文を唱えると目の前のゴブリン達は天から注がれた炎によって焼き尽くされた。



「……まじか」


「……す、すごい……ヤサイマシマシニンニクアブラカラメ……使える人初めてみた……」


どうやら当たりを引いたようだ……



「って!!そんな魔法があってたまるか!!」


「……あの、助けていただいてありがとうございます。」


「い、いや別にお礼なんかいらないけど……」


「……本当にありがとうございます。ぜひお礼させてください!」


「う、うんまあ……そんなに言うなら」


そう言うと美女は鞄に手を入れ何かを探し始めた。

もしかして……もしかして……あれを取り出すつもりか!?この世界にも0.02はあるのか!?

俺は期待に胸と股間を膨らませながらその時を待っていた。



「これ……受け取ってください」


美女はそう告げ小袋を俺に渡してきた。

俺は少し緊張しながら小袋の中身を確認した……中には銀貨が5枚入っていた。



「本当にありがとうございました!」


美女はそう告げ笑顔で去っていったーー



「……クソがぁーーーー!!!!」

誰も読んでくれないと虚しくなってくんな。

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