猫の食器とお箸の袋
この頃は外食に行くと、やたらと『当店のアプリを入れてね』だの『LINEのお友だち登録してね』だのとのお誘いがあります。
まあ、登録特典で何か一品無料になるとかならありがたいんですが、ポイントを溜めるタイプのやつだと、やっぱり二の足を踏んでしまいます。そんなに頻繁に外食するわけでもないですし、特定の店ばかりに行くわけでもないですし。
それに、あまりスマホにアプリをたくさん入れて、容量が圧迫されるのもイヤですしね。
最近はあまり見なくなりましたが、スマホ普及以前のポイントサービスは紙のスタンプカードが主流でした。行った回数や使った金額に応じてカードにスタンプを押してもらい、溜まった数に応じて特典が受け取れるというアレです。
財布の奥底から古いカードが出てきて、『あ、期限が過ぎてるやん、もったいないことした!』なんて経験、皆さんにもありますよね?
今回は、自分史上もっとも『もったいないことをした』お話です。
我が家には、以前から贔屓にしているうどんチェーンがあります。
大阪発祥のそのお店は、味ももちろん美味しいのですが、何と言っても食器がとっても可愛いっ!
どんぶりやお皿、湯呑に至るまで、ほとんどの食器が猫をモチーフにしたキャラのデザインで統一されているのです。
この食器類はオンラインショップなどで買うことも出来るのですが、何とポイントを溜めたらタダでもらえるんですよ!
そのポイントサービスがちょっと独特で、食べに行った時に出てくる『お箸の袋』を集めるというものでした。
1枚ずつ集めていたのではなかなか食器がもらえる枚数にはほど遠いのですが、特に有効期限が決められているわけではありません。それに、毎月28日『にゃーの日』にもらう箸袋には特別なスタンプが押してあって、5枚分に換算してくれます。なので28日を狙って複数人で行くと、けっこういいペースで集まるんですよね。──ただし、その日はめちゃめちゃ混みますけど。
一時期は本当によくその店に行っていました。
義父・義母の通院や入退院などの時に、もっぱら時間の融通が利く自分が車を出していたのですが、ちょうど寄りやすいところにそのお店や支店があるんです。
ふたりとも快く協力してくれたので、嫁と自分の分の薬味皿は割とすぐにゲット出来ました(写真中央:わさびが盛られている小さいお皿)。
よし、この調子ならどんどん溜まりそうなので、次はもっと大物狙いだ!
ちょうど大皿が欲しいと思っていたので、どうせなら一番大きな大鉢(写真右上の食器より一回り大きいもの)を狙うぞ! という意気込みで、その後も着々と箸袋を集めていきました。交換に必要なのは130枚でしたが、確か100枚分以上は溜まっていたと思います。
ただその後、義母の病状が悪化してお亡くなりになってしまい、葬儀やら何やらの慌ただしい日々が続いて、しばらくの間そのお店からはすっかり足が遠のいてしまったのです。
やがて義母の三回忌も過ぎたころ、嫁と義父と久しぶりにそのお店に行く機会がありました。
以前と変わらず、古民家調のレトロな内装が私たちをあたたかく出迎えてくれます。
レジの傍には、いつものように可愛い猫の食器類が並べられていて──あれっ、以前にはあった『箸袋 〇〇枚分』の表示がないぞ?
「あのー、前は箸袋何枚で食器がもらえるのか、書いてあったと思うんですけど──」
「ああ、すみません。そのサービスはだいぶ前に終了してしまいました。今はアプリでのポイントサービスに変わったんです」
なっ、何ですと──!?
「えっ⁉ あ、あの、箸袋が100枚ぐらい溜まってるんですけど、もう交換できないってことですか!?」
そう食い下がってはみたのですが、店員さんは心底申し訳なさそうな様子でこう答えました。
「まことに申し訳ありません。ご存じない方のために移行期間も1年間設けていたんですが、それももうだいぶ過ぎてしまいましたので──」
がーん!!
大鉢には足りなくても、小皿2個分くらいはあったのに!
もったいないことした!!
──まあ、それだけ永いあいだ行っていなかったこちらが完全に悪いんですけどね。
そういうわけで、せっかく溜めた箸袋100枚分はあえなくゴミと化してしまいました。
デジタル化の流れは仕方ないとはいえ、レトロ調を売りにしたお店なので、ポイントサービスもレトロなスタイルのまま残してほしかったなー。残念。
ちなみに某フリマサイトで見ると、今でも何件かまとまった枚数の箸袋が出品されています。まあ、もう使いどころもないので、買う人はいないようですが。
どうやら交換しそびれたのは自分だけじゃなかったようですが、さすがに100枚も残した人はいないようです。
がーん。
『宣伝行為』とみなされると困るので、お店の名前は伏せておきます。
感想欄で質問されてもお答えできませんので、悪しからず。
(まあ、検索したらすぐにわかるような気もしますけど)