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悪魔は異世界で禁断の恋をする  作者: サボり魔大学生ソニ
1章 フィリス極刑裁判編
12/21

ヴァイス・アデルの推察

《12話》

ナハス裁判所 法廷内 時刻12:10


この裁判は正午である12時から開始予定ではあったが、裁判長役に割り当てられているヴァイス家の次期頭領であるヴァイス・アデルの遅刻により開廷時間が遅らされる事となった。


裁判って本来絶対遅刻とかしたら駄目だよな……と裁判経験の無い俺でも理解できる。しかしながら、シエル家の二人やソニアはそこまで焦った様子は見受けられない。


後に分かるが、熾天使御三家の天界における影響力というのは非常に大きい。古豪のヴァイス、新鋭のシエル、魅惑のミスタと呼ばれているらしいが、古豪であるヴァイスは天界の創設に携わった時から続く家系である為天使内でも口出し出来る天使はかなり限られている。


つまり、遅刻しても文句が言えるのは熾天使御三家の天使くらいであり、簡単に文句言えないんだろうな……


本来の開始時刻になったタイミングでルクス家、シエル家共に向かい合うように席に座ったが相当に空気は重い。というよりルクス家側からかなり圧を感じるような気がする。


ひとまずそれは置いておこう、この10分間で知り得た情報を伝えておかなければならない。わざわざフィーゴの隣に行き裁判の詳細について聞いたことを軽くまとめておこう。


────まず、天界の裁判には弁護士は居ない。また裁判官については熾天使の御三家のどこか振り分けられる。そもそも天使にとって裁判の回数自体はそこまで多くない為熾天使の御三家に審判が委ねられているようだ。今回の場合は熾天使の裁判である為、ミスタ家かヴァイス家のどちらかが裁判官役となる。


フィーゴはシルヴィア(ミスタ家)の気配を感じていたことや、直近で2回連続でヴァイス家が裁判官役であったこともありミスタ家が今回の裁判官役であると踏んでいたらしい。


ミスタ家が今回の件に絡んでいる可能性を視野に入れていた為シルヴィアに対し、何しに来たかを聞いたと──


あのやり取りはそれを踏まえたものだったのか……。


「で…裁判官がヴァイス家って決まった今、状況は大丈夫なのか?想定外とかじゃないよな…」


フィーゴに俺は小声で聴いてみる…


「大丈夫だ。予定外ではあるものの想定外ではない。それに、むしろミスタ家が絡んでいるよりヴァイス家の方がまだマシだ。」


「そうか…ヴァイス家はちなみにどんな能力なんだ?」


「簡単に言えば…熾天使の守護の力を肉体に宿したり、武器に宿す古くからヴァイス家に相伝される格闘術や武術、自然の力を操るなど…とにかく物理攻撃に特化している。精神攻撃を主とするミスタ家とは真逆のタイプだな。」


「……なんか凄く憧れを感じる戦い方だな。」


やっぱり古くから伝わる格闘術とか、自然を操るとか男なら一度は憧れるよな……。


「少し前、そうだな俺が生まれる数百年前位までシエル家はミスタ家に、ミスタ家はヴァイス家に、ヴァイス家はシエル家に強いという言わば三竦の状態だったらしい。


今では一概には言えないが、ヴァイス家はミスタ家のような特殊型ではない。ミスタ家が敵対してこないという話が嘘でないならそれほど今回の裁判については心配はしていない。ただ油断はしない、何度も言うが君のことは守るから安心してくれ。本来天界のいざこざに君を巻き込んだこと自体申し訳無いとは思っているからな。」


「俺は自分の意思で巻き込まれたわけだし、元を辿れば俺も関係ある訳だから全然気にしてない。実際この裁判に巻き込まれなければ、きっと天界に行く機会なんて無かっただろうしな。俺は…フィーゴの事も信じてるよ。でも"フィリスの次に"、だけどな。」


その言葉にフィーゴは満足そうにフフッというような笑い方をする。


フィーゴと話し終わり、俺は自分の座る席へと戻ろうとしたタイミングで先程自分達が入ってきた扉が勢いよく開かれる。ザワザワとしていた法廷内が一気に静まり返りその登場を待ちわびている様子で視線が扉へと注がれる。


入ってきたのは銀髪に赤い瞳をした美男子だ。髪は短いながらもサラサラとしていて、ルックスは女受け抜群という雰囲気だ。俺があまり好きではないタイプというか…クラスに居たらモテるだけでなく絶対チヤホヤされるタイプだ。やっぱ無意識に嫉妬してしまう…


きっとこいつがヴァイス家の次期頭領、ヴァイス・アデルだろう。妙にニヤケ顔をしながら、軽く羽織っただけの服を着ていて上半身の筋肉が嫌でもハッキリと見えている。オーラもやはりフィリスやシルヴィア、フィーゴ達と遜色ない一級品である。

そんな美男子の彼は入ってきてさっさと裁判長の席につくと先程までのニヤケ顔から一転、不愉快そうな顔をして開口一番


「よぉ、フィリス。久々だなァ…何しょうもねーことで裁判起こされてやがんだ?オメーも落ちぶれたなァ?わざわざ裁判長に指名される俺の気にもなれよ……だいたいこんなくだらねえ裁判して何になんだ?結果決まってんだろうが。」


と発言する。俺は嘘でも裁判長なら真面目にその役に徹するのかと思っていた為呆気にとられる。遅刻してくるんだからロクでも無い奴だろうとは一瞬思ったがまさか一応同族殺し関連の裁判をしょうもねーと一蹴すんのかよと驚きが隠せない。フィリスはそれに対し、やれやれという表情で


「はぁ…20分も遅刻して謝りでもするのかと思いきや。ホント、あの時(学園の時)から変わんないね?万年2番手君…。嘘でもそこは役目くらいは果たそうとか無いのかなー?そんなだから私に勝てずずっと2番手だったんじゃない?」


と軽く皮肉を込めた返しをする。すると即刻アデルは


「その呼び方は何度もやめろつったはずだ。次言ったらいくらオメーでも痛い目にあうぞコラ…」


と強烈な圧を込めた目線をフィリスに向ける。


「学園時代に私に一度も勝てなかったから2番手なのに痛い目も何もね〜。」


と圧を向けられても怯むどころか煽るのをやめないフィリスであり。法廷にいる天使達のほとんどがこの二人の言い争いをなんとかしてくれという雰囲気であるものの、実際止めれるものはフィーゴとシルヴィアくらいのものだろう。なんだか蚊帳の外過ぎるし、ルクス家の天使ら顔引き攣ってんぞ…


「その辺にしておけ、フィリス。向こうが悪いのは事実だが…法廷内だ。」 


とフィーゴが制止すると


「はいはい、分かってるよ兄。んでアデル。既に20分も遅刻してるんだからさっさと裁判始めて欲しいんだけど…」


とさっきまでの言い争いを感じさせない真面目な表情でアデルを見つめる。しかしアデルからは俺達シエル家側からすれば最初から疑惑だった部分の核心をつくような発言がされる


「あ?だから裁判する必要すらねぇつったろ。そもそもルクス家さんよぉ?あんたら…俺の駒消しただろ。」


この発言に対して明らかな動揺した雰囲気がルクス家一行に流れる。ルクス家の当主である厳つい顔の男天使が口を開く。ドスの利いた低い声で


「何が言いたい。先程の発言も含めいくら"古豪"のヴァイス家でも若造が図に乗るのも大概にして貰いたいものだ…。」


とアデルの方に圧をかけるように睨みを効かせるが…


「分かってねぇなァ?俺は裏を取った上で言ってんだぜ?」


とわざとらしくカマをかけるように、あくまで優位は俺であると譲る様子はコチラにもない。引き続きアデルは自分の好き勝手話を続行する…。一応はルクス家の方が被害者というか…原告というかなんだが…今の状況はさしずめルクス家側が尋問を受けている状況であり…


「ま、これから話す内容を聞いて違う事があれば言えばいい。まずは、アンタらの次期当主候補"バルディオル"だが…アイツはそもそもアンタら親より俺に従順だ。ルクス家相伝の力を持ち合わせてなく、親から大して愛を受けていなかったアイツに学園時代、熾天使の加護を宿し肉体強化出来るよう教えてやったのは誰だったかアンタらは理解してねーのか?」


その発言を受け、明らかにバルディオルの両親である前に座っている二人の顔が曇ったように見えた。


フィリスはその事を知っているのだろう、軽く頷いている。俺がアイツに殴られた時にただ殴られただけなのに腹に灼熱感を感じたのは少ないながらも熾天使の加護が作用していたからだろうか…


「んで、実際あん時も俺に泣きついて来やがったからなァ。」


「あん時というと、もしかしてフィリスにコテンパンにされてたあの後か…?………あ。」


つい要らないことを口に出してしまった。証言者が話すタイミングではなかった事もあり、一気に俺に視線が注がれる。ヤバ…やらかしたと思ったが、アデルは構わず続ける


「そのとおりだ。そこの悪魔もどき。重要な証人とか言われてフィリスから呼ばれたんだろ?なら好きに話せ、オメーが見た時フィリスは光の鎖以外に何か能力を使っていたように感じるか?」


お…もしかしてフォローしてくれた…?なら遠慮をする必要は無いか…。


「俺はフィリスの能力を全て知ってる訳じゃないから絶対とは言わないけど光の鎖以外にはあの時使っていなかったはず…。しかも俺が許してあげるように言った時、フィリスはその鎖すら解いていた。」


「ほぉ…なら確定だな。仮にフィリスが時間差で発動するようなミスタ家がよく使う趣味悪ィ能力を植え付けてやがったなら俺と会ったタイミングで気づかないはずがねぇ。」


とアデルが趣味が悪いという発言をしたタイミングで傍聴席に居たシルヴィアが明らかに不満げな顔をした気がするが…アデルは続ける。というよりアチコチにコイツは喧嘩売り過ぎだろ…とは思うが…持っていき方が非常に上手いとは思う。


「つまりだ…アンタらは、俺と出会った後のバルディオルを半殺しにしたか幽閉したかは知らねーが、死んではねぇものの気配すら感じられねぇ状況にした後に、バルディオルの行動を監視させていた奴からフィリスとそこの悪魔もどきが居たことを聞いて、悪魔と協働して同族殺しの罪をでっちあげたって訳だ。何故それをしたかの本来の目的は分からねぇがな…」


ルクス家の当主の厳つい顔をした天使は、その発言を聞いて明らかにチッ…バレたなと苦虫を噛み潰したような表情をした。


俺は、このアデルの推察について純粋に上手いと思いながらも一つ疑問に思うことがあった。先程からミスタ家やヴァイス家もだが…到底敵対してる勢力であるとは思えない程友好的というか…いや友好的というより、お互いにそれなりに実力を認めてるからこそのリスペクトみたいなのが最低限はあるのかもしれない…


何にしろフィリスの無罪はもう9割以上確定だろう。─────後は最終的に自分が手に入れたアレをいつ出してやるか…だな。


《12話完》

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