表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゆめ  作者: イソジン
1/2

日常

どんなにどんなに。どんなに人を好きになっても、体を重ねても、どうにも埋まらない。

大きな大きな穴がある。


この穴から何が見えますか?




朝は憂鬱だ。カーテン越しの朝日は、私の足りない睡眠時間を無視して無理やり、目を覚ましてくる。


朝は時間が短い。夜の1時間と朝の1時間が同じ1時間なわけない。私は絶対に信じない


「何ボケーっしてんの。さっさと食べちゃいなさい」

母親は私を視界に入れずにそう言う


「してないし、目玉焼きは半熟以外は食べたくないから悩んでいただけだよ」

脳みそから出た言葉ではない。寝てる時に話すような譫言を口に任せて話す。


ご飯を済ませると今度は着替えをしなくては行けない。

実にやることが多くて困る。

昨日の時点で結んでおいたリボンを制服の襟に回し、昨日の自分に感謝する。

逆に昨日脱ぎっぱなしで置いてしまい、折り目がついてしまったスカートを履いて、昨日の自分を責める。

結局プラマイゼロだ


朝のニュースの占いを見るのが日課だ。2時間後にはしっかり忘れているが多分当たっているからよく見ている。


私が学校につくころ、クラスはほとんど席についている。決して私が来るのが遅いのではない。みんなが早すぎるのだ。


「長峰!今日もギリギリだな!」

教室で1番偉そうなスーツを着た大人が白々しく茶化してくる。私が広い心で許してやってる事を肝に命じて欲しい。


どすんと席についたタイミングで始業のチャイムが鳴り響く。

私はそんなに重くない。どすんという効果音は訂正する。


私の好きな教科はお昼休みだ。購買のおばさんとはもうかれこれ2年の付き合いになる。私はルーティン買いをしているのでおばさんは私の顔を見るといつもと同じパンを差し出してくれる。

コッペパン+おばさんの今日のイチオシジャムだ。

「はい!250円!」

ポケットには250円しか入っていない。

「ごめんね。消費税が上がったから10円値上げなの……」

ポケットには250円しか入っていない……

泣きそうになりながらパンを戻す


「おう、長峰。これやるよ」

放物線を描いて10円玉が飛んでくる。投げたやつは佐藤。同じクラスのマッシュ野郎だ。


「ありがとう佐藤これで貸し借りなしな!」

10円を佐藤に見えるように掲げ言う

「あ?お前に貸し作った記憶ないが?」

貸された記憶もない


「毎日、私みたいな美人と話させてやってるんだからそれが貸しみたいなもんだろ。」

苦笑いしてるがそれ以上の声掛けは無用。260円をおばさんに渡していつものパンを持って教室には帰らず私しか使っていない中庭のベンチへ行く。


最近の高校生は「紫外線がー」とか「虫がー」とかバカ見てぇなこと言って外に出ない。なのでいつも1人なのだ。


ベンチに乗っかっている木の葉を払い。歩いてるアリをデコピンで飛ばし、いつものようにちょこんと座る。



「あ〜もどかしい…」

ぼーっと校舎の4階をベンチから眺める。

私は日常が我慢ならなかった。ずっと単調で、すぎるだけのこの日常をどこか壊れて欲しい。そんなことを考えていた時、




4階の窓が開き、何かが落ちた


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ