今再び集う
二階堂 兼継
それは俺の本名で、紛れもないプレイヤー「カネツグ」の中身だ。
そんな俺は今、ゲーム内でキャッチボールをしている。このゲームでのキャッチボールというものは現実でやる野球と同じように、他の練習で得られる経験値を上昇させてくれる。
キャッチボールをする相手は切名…………ゲーム内では「セツナ」。
どういうわけか俺しかいないチームに入ってきた。セツナが入ってきたとしてもこのチームは二人しかいないのだが、とりあえず練習しよう。実戦が大事だ。などと言ってきたからそれを了承して、練習するための準備に入っているわけだ。
「そういえば他の皆はどうしてるんだ?」
ふと、セツナに聞いてみる。すると
「みんなこのゲームしてるからね、他のチームに居たりするんじゃないかな。」
「そいつら俺のチームに誘えないか」
「そうだねぇ…………。」
キャッチボールをしながら会話を続ける。さながら野球と会話の二刀流だ。そんなことを考えて少し笑いながら、こんなに気楽にキャッチボールをしたのもいつぶりだろうか、などと思いながらボールを返す。
「思い当たる人は何人かいるかな。」
「本当か」
「少し呼んでみるから待ってて」
そういうとセツナはボールを投げる動作を中断して、突然どこかに行ってしまった。実践の準備で終わってしまっては勿体ないから後でもいいぞ、と声をかける途中で行ってしまうものだから、かける言葉もない。
少ししてから彼は戻ってきた。彼一人だけではなく、他のプレイヤーも一緒に引き連れてきていた。
「連れてきたよ~」
彼にしてはだいぶテンション高めに返信が飛んできた。思っていたよりも人が集まってきたからだろうか。俺はそいつらからの返信を待ちながら、俺の知り合いの中でどんな奴がこの俺のチームに来てくれるんだろうと思うだけで俺は少しわくわくしていた。