刹那、邂逅する
「セツナって言います。」
そう言ってお辞儀の挨拶をする。彼は新しくうちのチームに入ってくれたピッチャーだ。とはいっても彼が初めてチームに入ってきたプレイヤーなので、このチームはまだ俺と彼の二人しかいないが…………。
「よろしく、セツナ」
「よろしくお願いします。」
「ところでどうしてこの俺しかいないチームに?」
そう尋ねると彼はこう答えた。
「だって、キャプテンの名前がブランクになってるチームって面白そうじゃありませんか(笑)」
確認してみると、バグなのかどういうわけなのか自分のプレイヤーネーム欄が空いていた。これが不気味がられて今まで人が来なかったのか、そうなのかはわからないがこのままにしておくのもどうにも気味が悪いので、ちゃんとした名前を登録しなおしてきた。
「あらためまして俺の名前はカネツグ」
「カネツグか…………それは本名か?」
なぜか少し考え込んだ。だがすぐに
「本名なわけないだろ」
「だよな、少し安心した。」
「ん?どうして安心したんだ?」
と気になったことをそのままストレートに質問してしまう、自分の良くもあり悪くもあるところが出たところで、彼はこう答えた。
「君が僕の知り合いに少し似ていたから、同じなんじゃないかって、そう思った」
「少しだけね」
俺は自分を見透かされているように感じた。なぜだ、どうしてお前が、なんてことを考えているうちに彼は決定的な言葉を放った。
「違うかい、兼継」