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プロローグ
「お願い。誰か出てきて」
誰かに呼ばれた。そんな気がした。
「お願い。誰か助けて」
女の子の声だ。助けを求めてるようだが、姿は見えない。
「お願い。誰か出てきて、誰か助けて、なんでもするから!」
なんでもするだと? それは、とても魅力的な言葉だが、女の子が安易に使っちゃダメだと思うぞ。
「もうっ。誰でもいいから、出てきてよぉ!」
なんだろう、これは。よく分からないが、どこかで誰かが困ってるようだ。涙声だし。
『なぁ、誰でもいいって、俺でもいいのか?』
思わず声が出てしまった。人が困っていたら放っておけない、損な性分だよな俺。
「えっ? だっ誰!?」
あ、返事があった。
『ん、俺じゃダメか? 出しゃばったなら悪かった』
「ダダッ、ダメじゃないわ。大歓迎、大歓迎よ! すぐに呼ぶわ!」
『そっ、そうか、そりゃよかった。そんで俺は何をすれば……』
あれ、なんだこれ、なにこのキラキラしてるの? そこはかとなくファンタジーの香りが、いや、そんなバカな事が……。