1日目 異世界の幕開け
「んん…うぁ……………。」
俺は柔らかいベッドの上で目を覚ました。
隣には、なぜか美しい女性がベッドに体をもたれ掛けるように眠っていた………は!?
(なんで!?ってかだれだよ!?まさか…。)
そう思い自分の体を確認しようと身体を起こすと額から何か落ちた。
(ん?なんだ?…濡れてる?)
確認するとそれは濡れた布だった。それを訝しげに眺めていると突然激しい頭痛がして、他人の
記憶が流れ込んできた。
始めは、違和感しか感じなかったが、徐々に馴染んできている感じがした。
(これは…この世界の…この身体の持ち主の記憶、なのか?)
それからしばらくして頭痛が治まってきた。
その知識からわかったことは、分かったことはこうだ。
俺が転生したこの子?の名前は、エイトというらしい。慣れないが、その内慣れるだろう。
そして、この世界の名前は、ディアス。遥か昔に賢者と呼ばれる魔法使いと賢者に従う精霊によって創造されたと言われている世界だ。まぁ実在するかはわからないのでお伽話のようなものだが。
俺が生まれたこの国はアースト大陸の南東の隅に位置している。国の名は、デースアート王国この世界でそこそこの力を持っているらしい。
で、ここは隣のアークス帝国に面する辺境伯領の中でも最も栄えている都市だ。最近は、王国と帝国が共に戦争の準備をしているとのことだ。
まぁわかったのはこの程度だが、ある程度知れて良かった。で、隣の女性は、俺の母親らしい。
こんな綺麗なら俺の顔も整ってるといいな。あとで鏡を見てみたい。
「ん……あっ!エイト起きたのね!?大丈夫?
体調は悪くない?あ、水を持ってくるわね?」
えーと、今はこの体の持ち主の口調の方がいいよな。俺は静止の声をかけた。
「お母さん大丈夫だから落ち着いて!?水も後でいいから」
おー意外と5歳って話せるんだな。これなら不便しなさそうだ。
「えっと、じゃあちょっと待ってて?お父さん呼んでくるから!」
お母さんは、急いで部屋を出て行ってしまった。
止めたのに…。
少し経つとがっしりと筋肉のついたイケメンが現れた。これが俺の父親だ…。やだなぁ…。
マッチョって苦手なんだよなぁ。
「おう、目ぇ覚めたか!?ってなんだよ!そのなんだか不満そうな顔は?」
別に何でもないと言って表情を直す。
「すいません父さん、母さん、迷惑をかけたようで。」
「気にすんな。しっかり目が覚めたようで良かったぜ。」
「そうよ。子供の面倒見るのは、親の役目なんだから。」
「じゃあ俺は今からちょっと依頼があるからな、行ってくるぞ?」
父さんは、見た目の通り冒険者らしい、いかにも異世界って感じだな。
「気をつけて行ってきてね?今日の夜は豪華にするから。」
「おうじゃあ行ってくるぞ。」
そうして父さんが行った後俺は、ベッドから出ることを許されず、異世界に来て初めての1日を終えた。