第二話. 一つの思い出の形
そんな状態が三ヶ月ほど続いた。
その三ヶ月の中には、いろんな思い出がある。
本当に、いろんな。
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生徒総会の時、全校生徒が椅子を持って体育館へと足を運ぶ。
俺と彼女の出席番号は近くて、何かといつも場所は近くなる。
この時も、指定の場所へ椅子を置いた俺の隣には、
彼女の笑顔があった。
生徒総会の途中、ふと後ろを見ると、
彼女の後ろの席にいた女子は、彼女の椅子に何かを書いているようだった。
そしてまた、俺の後ろの女子生徒も、俺の椅子に何かを書いていた。
椅子に貼られたネームの周りを、総会が終わると見てみた。
するとそこには、
「○○Love ○○♪」
彼女の名前が書かれていた。
子供じみたことだけど、悪い気はしなかった。
むしろ、みんなが俺たちを認めてくれているようで、
うれしかった。
彼女のほうを見いやると、彼女はまた顔を赤くしていて。
「何書いてんの!」
と、後ろの女子に言っていた。
後ろにいた女子は、少し調子に乗って、
「うれしくないの〜?」
なんてふざけた様子で彼女に言う。
そして彼女は顔を真っ赤にして、うつむいてしまった。
そんな彼女を見て、
「消さないでね。」
と、無意識にそう言っていた。
しばらく彼女は黙っていたが、
「・・・うん。」
椅子を教室へ戻すと、
やはりそこには彼女の名前があって、
この日、一つ、
思い出の形が出来た。