プロローグ. 少し遅れた初めて。
絶望を感じた。
人を裏切った気がした。
そうではないのかもしれないけど、不安を感じれずにはいられなかった。
あれだけ言われておいて、何もしない自分を最低だと思った。
自分を、信じることが出来なくなった。
自分に、人を愛する資格はない、と。感じた。
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「ぴーまん。絶対別れんとってな。」
ある一人の女子は俺にこう何度も言い聞かせる。
「なんで?」
いくら聞かれても、俺は必ずこう返事を返す。
「なんでって・・・そりゃあ・・・。」
後ろ、つまりこちらを向いていた女子はそう言って前へ向きなおす。
なんでこんなに会話を続けられないんだろう・・・。
話をすることは苦手だ。
それに、その内容があいつの話だったら尚更。
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中学3年生の初めての修学旅行を終え、日は5月7日。
「付き合って。」
そう言葉を発したのは俺。人生初の告白。
少し考えて彼女はこう言う。
「いいよ。」
顔を上げた俺の目にはいった彼女の顔はとても明るくて、笑顔で満ち溢れていて。
いつまでも守ってあげたくなるような存在だった。
「ありがと。」
必死に笑顔を作って、そういい終えると、
「また明日。」
と彼女は同じ部の子の元へ走り出す。
俺は、その日初めての彼女が出来た。