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“コボルト” ハ “竜の眷属(レッサー・ドラゴニアン)” デス。  作者: ケケモコソカメニハ(ミツユビオニトカゲ仕様)
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コボルト=犬獣人ではないと強く主張する

ゲーム系コボルトの源流であるD&D系犬顔レッサードラゴニアン部族についての妄想を、彼等の中に転生した現代人の視点で描くピカレスク浪漫(予定)。

なお、D&D系列のコボルトなので、表記は英語風のコボルトで統一します。



 ――コボルトを知ってるか?


 仮にそう尋ねたら、どんな答えが返ってくるだろうか?

 金属元素の名前の記憶違い――まぁ、語源は同じだ。

 西洋の鉱山妖精――それは大本(ルーツ)の方だな、コバルトの語源。

 ファンタジーものに出てくる、犬頭の敵キャラ――まぁ、概ねあってる。


 因みに、コボルトの大本はと言えばドイツの妖精で、所謂ゴブリンの互換的存在だ。ゴブリンよりはチョイ悪で、ちょっとひねた感じの靴屋の小人を想像してもらえば、概ねイメージはあってると思う。醜い小人で人の家に住み付き、お供えすれば家事を手伝ってくれる事もあるが、概ねは悪い悪戯を好む。そんな存在だ。

 ただ、このコボルトには、一つだけゴブリンとは違う面がある。鉱山妖精としての側面があって、金属に関わる悪さが強調されてるんだ。

 例えば、金属元素のコバルトの名は、精製が難しいかったのを“妖精が扱い辛い様に魔法をかけた”等と言っていたのが、後世に伝承として残った為に付けられた。他にも、火山性ガスによる事故や二酸化炭素による中毒事故なんかも、彼等のせいだと語り合ったらしい。

 そんな訳で、コボルトは長く“付き合い辛い厄介な隣人”と言ったイメージの妖精だったのだけれど、近年になってそれを大きく変えてしまう事件が発生する、世界最初のRPG“D&D”の発売と、その隆盛だ。

 自分達のゲームの敵役を探していたその作り手は、妖精の持つ悪性の伝承を戯画化し、善良な妖精と区分けする事でステレオタイプな敵キャラに変化させた。その代表者がゴブリンとコボルトで、人家やその近くに住む悪い妖精のイメージが集約されてゴブリンに、悪い鉱山妖精のイメージが集約されてコボルトになったようだ。

 その際、ゴブリンの変化は性質と外見のカリカチュアに留まったのだけれど、コボルトの場合、おそらくは先に決まったそれと差別化する為に更に大きな改変が成されている。鉱山妖精としての側面が強化されたコボルトは、爆発事故や毒ガス酸欠、金属に関わる伝承から、同じく火や金属、毒気(ガス)などにかかわりがあるドラゴンと結びつけられたんだ。

 小さな角を持つ、犬に似た頭の下級竜人(モフモフではない←これ重要)――それが、世界に初めてゲームの悪役として登場したコボルトの外見で、それはD&Dの隆盛により旧来のそれを抑えて支配的な物となり、敵として低位に設定されていた事から、後発の作品では強そうな竜の眷属としての要素よりも、犬に似ていると言う点が強調される様になって、今現在に至る。


 え? それがどうしたって? うん、まーその、いやね、今の俺って、コボルトなんだよ。それも鉱山妖精でも、犬小人でもない、低位竜人の方の……。

 その、所謂、異世界に転生した的なサムシングで、気が付いたら俺は、なんか固い皮袋みたいなのの中でねばねばした水につかってた。こりゃなんだと思って手を延ばしたら、鱗が生えてるっぽいちっちゃな指の先に、鉤爪と言うほどではないけれど明らかに人のじゃない鋭い爪があって、ざくり。ビックリして叫んだら、しゃがれた吠え声みたいのが出て二度びっくりさ。

 因みに、誰よりも早く孵化してすぐ吠え声を上げたってんで、今の俺には人族の言葉で雷鬨(ライコウ)何て厨二病な(カッコいい)名前がついてる。ウチの辺りだと春の訪れと共に嵐が起きて雷が鳴るのと、部族自体が雷を吐く竜の眷属なので、それに肖ったらしいね。

 ともあれ、そうして生まれたオレは、すぐに部族のシャーマンの下に連れてかれ、ちゃんと体が出来てるのを確認された上で、次期幹部候補として洗礼儀式を受け、厨二な名前を授かった。正直、運が良かったんだと思う。と言うのは、コボルト族の歴史的なアレで、産まれるのが早い=生命力が強い=ドラゴンの眷属の力を強く残してるって言う、信仰と言うか、経験則的な物があるのよ。

 竜の眷属であるコボルトは、赤子の内に儀式を受けて少量ではあるが残っている竜としての活力――通称竜力(命名、雷鬨)――を熾し、鍛錬する事で、確実に上位種にクラスチェンジできる……のだけれど、それを行えるのは数少ない高位竜神官、ゲーム的に言うと希少種のコボルトハイシャーマンのみで、しかも酷く疲れるから短期間には繰り返せないと言うオマケがつく。

 なので、早く卵から生まれた者から先着何名かが儀式を受けて別枠の幹部候補として、それ以外は下部構成員として十把一絡げに養育される事になる。俺なんかはその逸話からいい名前貰って教育を受けられたけど、下の方はもう悲惨なもんで、寒いから皆でくっ付いて毛皮巻いて寝るとか、成人するまでは変なニックネームで呼ばれるとか、ある程度育ったらそのまま下働きとかが普通……。

 俺が生まれた年は、幹部候補に育成されたのが五人、それ以外が例年並みなら三十人以上で、その内、前者は全員成人したけど、後者で成人できたのは20人にも及ばないのだからその待遇差は歴然だ。いや、生物としての強さの問題もあるだろうから、一概にも言えないけれど。

 兎も角、数少ない上位種は結構強いけど、大多数の普通種はホント下っ端モンスター的に弱いのがコボルトだから、一族にも全員をきっちり育てる余力はなく、人の記憶を残したオレは兎も角、上位種は皆、体に不釣り合いな竜力を宿している為に、一部の上澄み竜神官ですら血の気が多い。その上、一般種は上位種の竜力に、竜の片鱗を見て自然に平伏しちゃったりするから、そうなるのも分からないでもないけどさ。

 しかも、こうして上に熟練した神官がいて、上位種がコンスタントに生まれるコミュニティ自体が極僅からしくて、大半のコボルトは、それこそRPGの雑魚的コボルトと変わらない原始人的狩猟採集生活を送ってるようだ。


 まぁ、そんなこんなで、一番早く生まれて鬨の声を上げた(←コボルト視点)オレは、吉兆だってんでウチの部族で一番の神官に念入りな儀式を施され、心臓に竜力の火を熾された上で、神殿内の産屋から専用の養育部屋に移された。

 ウチみたいな一族を成している文化的コボルトは、基本的には竜の棲む山の麓に根を張って、地位の高い物ほど山の穴倉に、低い物は麓の村で過ごすんだが、発情期に妊娠した雌は例外的にその全員が神殿に上げられ、定められた場所に卵を産み付ける。どうもコボルト的には、子供は全員“部族の子”的な認識で、庇護欲とかはあっても、親子の情はあんまりないらしい。尤も、単純に一般的なコボルトとか、戦闘職の上位種には色々問題あり過ぎて、竜神官的に卵の面倒任せられないだけかもしれないけれど……。

 そうして孵った子供らは、洗礼を受けた上位種、それ以外の普通種に分類されて、後者は麓の村に降ろされ竪穴式の子供小屋で、前者は、そのまま神殿内の子供部屋で育てられる。

 尤も、神殿と言っても想像されるような立派な物ではなく、岩壁に穿たれ平坦に近くなるよう加工された、枝分かれした洞窟と言うか、坑道と言うか、そう言ったものの一番奥が広間になっていて、祖先が仕えたと言うドラゴンの絵と祭壇、戦士たちが納めた捧げもの(トロフィー)の類が整理しておいてあるだけで、子供部屋にしても、木組みの簀子の様なモノの上に一面毛皮が敷かれ、その上に大きな屋内テントと言うかパオと言うか、子供が脱走しない様に頑丈な毛皮の覆いが被さっているだけなんだが、ともあれ、生まれてから数ヶ月、そこで過ごした日々が、正直今生の今までで一番酷い時期だった。

 と言うのも、コボルトの子供は人間と違って生まれた直後から結構動ける上に、上位種ともなるとアーマークラス(AC)やらダメージボーナス(DB)やらに結構な補正が付きそうな鱗や爪や牙を持ってる。その上、心臓に火との表現で判ってくれるかもしれないけど、産まれたばかりのコボルトの体に竜力って、結構なオーバースペックなわけなのですよ。もう暴れたくってムラムラする感じで……。

 教育されてない子供がそうなんだから、もう泣くは喚くは吐くは漏らすは喧嘩して血飛沫飛ぶはでもう地獄絵図ですよ。流石に世話役の大人も食事の世話とか部屋の掃除とかはするし、本当にヤバくなったら止めてはくれるけど、そもそもコボルトの部族全体が幼少時のマウンティングで序列や適性を定める方針で、大人に助けを求めても、基本的にはくるりと廻され背中を蹴とばされてGo! Fight!

 傍から見てると、頭の悪い雑魚敵の子供相手に、曲がりなりにも現代人の大人の知性宿した個体が負けはせんだろとか思うかもしれないけれど、いうなれば相手は野生のケダモノみたいなものだ。リミッターかっ飛ばしたバーサーカーと言い換えてもいい。野生に任せて動きはどんどん最適化されてくし、最低限の仲間意識を除けば、後は情け無用残虐行為手当、下手すると寝てる間に思い切り噛み付いてきたりする。その上、器に対して内在する力が強すぎる上位コボルトの赤ん坊は、下手すると指がもげたり目玉が潰れても新しいのが生えてくる勢いだから、子供同士の喧嘩程度でダメになる奴はいないし、もしいたら、ソイツは間違って紛れ込んだ出来損ない扱いだ。

 楽しみなんぞ、予想したよりは遥かに文化的だった朝晩の食事――この時ばかりは神官達が怒る為、皆静かに楽しんだ――以外は、なんとなく使えるようになった竜力の制御訓練位なもので、それだって暇つぶし以外の何物でもない。

 一体どのような(カルマ)が祟って、このような境遇に生まれ変わったモノか? 嘆いて過ごしたこの蟲毒の壺の毎日を、どの位重ねたのかは、正直よく覚えていない。子供を攻撃する事に抵抗があり、どうにか逃げられないか色々試していた前半と、最早ここを生き延びるには自分でシメて統率するしかないと、遅ればせながら気づいて、全員ボコり倒してマウンティングした後半――この時期の記憶は相当曖昧なものだが、例年を見るにおそらく二ヶ月かそこらの長さを、この子供部屋という名の最低最悪の獣の檻の中で過ごしたようだ。

 その結果はオレの一位通過で、視野が狭く竜力のままに暴れては力尽きるこのちっちゃな猛獣共に対し、あしらって流したり、気合入れてブッパしたりと、わずかなりともそれを制御できる知性が有った事が勝利を収める決め手となった。と言うか、ある程度それをコントロールするコツがつかめなかったら、多分、亀になって最下位通過だったと思う。野生マジ怖い。


 そんなこんなで、野生の力で滾りまくってた上位種の雛たちも、子供部屋に押し込まれる数ヶ月が過ぎると、身体は通常種の成体位には成長し、性格的にも大分落ち着いてくる。そうなると上位種の仔は、子供部屋から連れ出されて教育過程に入る……んだが、その前にまだ血腥いイベントが一つ、残っていた。

 大人から子供への、マウンティング。野生一杯子供部屋の中暴れてた奴が、幾ら落ち着いたからと言って、素直に大人に従うかったら勿論ノーな訳で、今度は大人の序列に組み入れる為の戦いが執り行われるわけだ。え? じゃあ世話係はって? 上位種の赤子を見るのは、産まれた時に洗礼を行ったベテラン神官達で、魔術的な意味での親みたいなもの。それも、竜の活力を魔術として扱う術を高度に修めたコボルト族のハイエンドだ。幾ら野生の蛮勇とは言え、あれに逆らおうなんて馬鹿な事は考えん。

 とは言えそれは逆に言えば、そこまでオーラ強い奴以外には、上位種の仔は平気で喧嘩を売るって話で、叩き上げの強いコボルトや、年上でも自分より格下っぽい上位種なんかに、あの猛獣達が素直に従うはずもない。だもんで、まず最初にお前たちはまだまだ弱いんだぞー、格上が沢山いるんだぞーって示して、序列に組み入れる儀式を行う。具体的には、子供の集団を、階級的には一般種である下の集落の狩猟隊長とか、衛兵隊長とかの体格の良い連中、ゲーム的に言うと、コボルトリーダーとかファイターとかそこら辺に容赦なくボコらせて、お前たち体の出来上がってないコボルトは、大人よりも格下なのよと刷り込む。戦う相手は、通常種とは言え百戦錬磨、それも、武器を持ってる。群れでかかったって、技術もチームワークも無きに等しいちびっこチームが敵う訳なんてなくて、普通はボコボコにされて終わるのだ。普通は……。

 ただ、ほらね、あの日はとても暑くて、気が立ってたんだよ、うん。それに正直、子供に血で血を洗う蟲毒の壺を体験させる教育方針にも腹を立ててた。あの頃は丁度、仔らへのマウンティングの効果が定着して、ちょうき……教育も少しは巧く行き初めてさ。漸く食べる時間、遊ぶ(たたかう)時間、寝る時間や、排泄する場所なんかの取り決めに従う様になってて、寝ぼけて齧り付かれる事はあっても、前みたいに攻撃として寝てる間に食いついてくるような事も無くなって、ある程度ゆっくり眠れるようになってた。丁度、こう、やんちゃで夜泣きの酷い子を持った親が、少し手がかからなくなってきてほっとした、みたいな感じかな? 夜寝るときなんかはみんな俺の傍にくっ付いてきて、ただでさえ気温が高い時期な上に屋内テントの中で、もしや蜂球蒸し殺し計画か?とか思う事もあったけど、寄り添って丸まって寝てる姿とか見ると気の迷いか何だかかわいく見えて来て、ああ、こいつらは俺が守ってやんなきゃなぁなんて、柄にもなく父性?そんなもんを感じちゃったりしちゃって……。

 そんな時だよ? 朝飯も食べずに、暑苦しい屋内テントから出されて、やっと部屋替えかなぁとかのほほんとしてたら、神殿洞窟の前の広場的な場所まで引き出され、そこは所謂“気当たり”みたいのを全力で放ってる強面――と言って犬面だから割と可愛らしいのが多いんだけど――の大人コボルトが十重二十重と囲んでる。驚いてる間にその真ん中に押しやられたと思ったら、今度は大人の列の中から貫禄ある感じの棒を持った普通種が歩み出て来て……と、流石にもうその時には、これがある種の通過儀礼的な物である事には気付いていたけれど、それでもやはりカチンとクるモノはある。中には、ちょっと怯えた感じで背中やら尻尾の先やらを掴んでる子なんかも居て、絶対一矢報いてやるって固く誓ったもんだ。


 そうこうしている内に、ここに連れてきた世話役の神官が子供のそばを離れて、向うで棒を持っていたコボルトが、シャーっ!と、棒を構えて牙を剥き出す。そしてそれを見た瞬間、頭の中が真っ赤になった。その時の記憶は、今の理性がある状態では完全に言語化はできないものだけど、大雑把に訳すと“ウチの子らにナニ噛ましてしてくれてんだー!スッゾーオラー!”的な頭の悪いものになるだろう。後から思えば、普段は抑え気味にしてる竜力を、一矢報いてやるって全力で力入れた所に挑発喰らって、軽くバーサークしてたって事らしい。ともあれ、俺は怒り心頭、口を開いて下位竜語の咆哮(シャウト)を放った。


シャー(テメェら囲め)!」


 え? 何時そんなもの覚えたんだって? ええとね、下位竜語と言うのは普通の言語ではなく、テレパシーじみた“言葉にイメージを載せる力”なのよ。んで、上位種だけではなく、ある程度の力量があれば、普通種にも使える竜族の普遍的な能力。とは言え、普通は上位種でもある程度成長するまでは使えない筈なのだけれど、前世の記憶があったせいか、俺の場合は生まれてすぐに使えるようになった。そして、叫び(シャウト)と言うのは、それを応用して“竜の咆哮を聞いたものが恐慌を起こした”とか、そう言った事を起こす技術。神秘系入った武術モノや、オカルトもの、ファンタジーなんかに出てくる気当たりみたいな感じで、力と意志を込めて声を発する事で、それに載せた意志をぶつける、そう言った技。こちらの方は流石に勝手に使える様にはならなかったけれど、自分の竜力の制御とか、小さな悪魔どもをどうにか統制できないかとか、色々試してた時に、偶然できるようになりました。

 ともあれ、怒りのままに発したそれは、予想よりもずっと致命的な結果を齎した。前に少し説明したが、コボルト種は竜力に過敏で、特に本物の竜とか、同種の上位種とかには委縮しがちになる。んで、叫び(シャウト)ってのは、その竜力に言葉で指向性与えてぶつける行為。勿論、ちゃんと気を張ってればそれなりに耐えられるんだけど、まさか、子供がそんなの使うなんて思わないじゃない?

 そんなわけで、最早、俺の統制を完全に受け入れた子供らが、全力で散らばり敵を囲む中、子供をシメる役を仰せつかったウチの班の鬼軍曹役だったコボルトさんは、油断してたところにそれ喰らって、綺麗にスタンしちゃっていた。

 ゲーム的に言うと、


 ○雷鬨の包囲指令!

  ハイコボルトパピ―ABCDの士気が上がった。

  コボルトリーダーは竦み上がった。

 ○ハイコボルトパピ―ABCDの包囲行動。

  コボルトリーダーは竦み上がって動けない。

  コボルトリーダーは包囲された。


 みたいな?

 後は、まだ本調子では動けない鬼軍曹さんを、包囲連携攻撃で撃破して、〆。

 後で聞いた話だけど、神官さん達は流石に俺が叫び(シャウト)を使える事を知っていて、ウチの族長連中や下ノ村(因みにこれ、麓の村の正式名称である)のリーダー格に話を通してあったらしい。けれども、どうもそれは正しく伝わって無かったようで、名前の雷鬨の逸話に関する激励と言うか、油断するなよ的なお決まりの文句と捉えられていたようだ。そのせいで、神官さん達は軒並み頭を抱えてるし、幹部連中は軒並み目をまん丸に開いてるし、油断してる所に咆哮喰らった通常種の強面は全員尻尾巻いてビビってるしの大騒ぎ。

 まぁ、そこはさすがと言うか、バーサークしたまま勝鬨上げてる俺に、雄叫び上げて即突っ込んだ族長が拳固入れて意識を刈り取り、その一喝で意識を取り戻した通常種の長老が、続いて一人で餓鬼どもぶちのめして、何とか儀式は立てなおしたそうだ。

 尤もそのおかげで変な風に序列が定まってしまったらしく、俺は普通の幹部候補生ではなく新設される神官見習いに、ウチの子らは身分こそ普通の幹部候補生だが、序列的には半歩上位になって、経験と訓練で上位種に片足掛けた――と言うのも、この人一般種の寿命を超えた年月生きてるのに、未だに普通種最強なのだ――下ノ村の長老直々に指導される事になった。



犬獣人系コボルトはエクスカリバー的尾鰭背鰭の付いた勘違い存在だと理解いただけたでしょうか?

え、そんなことは冒頭でほんの少ししか説明してない? 御冗談をハハハハハ。

なお、物語中において、歴史的、コボルト部族的にはぐれコボルト=劣等(レッサー)種なのですが、他の人間種族にとっては、はぐれ=通常種なので、ゲーム的に言うと、部族コボルト一般種=ハイコボルト、部族ハイコボルト=ロード種とかキング種に当たります。

まぁ、ドラゴン基準だと、コボルトは部族ハイコボルトが基準で、その下はみんなレッサー種なんですが。

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