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ニート・歓声の中に消える

 「でね、でね、スペシャルカイザーはね、賞金300万円!でね、でね、ミレニアムカードバトルは賞金500万円!そいでそいでストリートハザードは1000万円ももらえるんだよ!」


 時刻は気づけば9時を回って、お腹が空いたなぁと足元に力が入らないカオルを横目にこれから向かう天空闘技場とやらにむけて目を輝かせる少女リリカはこのゲームの祭典がいかに素晴らしいものなのか言葉がとまらない。


 「あたし思うんだ。時代は平成に入って家庭用ゲーム機が普及し始めて、瞬く間に携帯用ゲーム機、それと同時にオンラインゲームMMORPGも全世界ではやり始めて今じゃゲームがスポーツなんて言われてる!平成から変わって和収の時代はゲームが世界を支配するとおもうの!」


 リリカは話しを聞いている限りゲームオタクに近い感じなのだろうか話つづける彼女が血走る目を抑えているように、瞬きをゆっくりと行う動作には身を引き締めさせられる感情が沸いた。


 その理由は秋葉原随一の高さを誇る秋葉原スカイタワーに入ってすぐにわかる。


 ビルに入ってすぐに出場者の顔写真が張り出され名前が羅列されているがその中にまさにリリカの名前があったのだ。名前どころか、前年度世界覇者としてミレニアムカードバトルのメインプレイヤーと名を連ねている。


 「リリカ――さん?あれって……?」


 「あはは、やっぱり知らなかったんだ。結構有名なのになぁー。ショックショック」


 一歩前に出て振り返り、自分の顔写真を指さして自己紹介を始めた彼女。


 「前年度ミレニアムカードバトル世界大会を制しましたリリカ・バイエルンです。今日は付き合ってくれてありがとうね」


 ちなみに昨年度獲得総賞金額は1億円らしい。


 +でイベントもあったから数倍いくんだよなんて笑って見せるがゲームでこんなに稼げるものなのかとカオルは驚いた。


 確かに自分の家とくらべるとそれでも微々たるものなのだけれども、ただそれでも、家を追い出された自分からしたらそんなうまい話願ったりかなったりだ。


 ――追い出された?


 「あ、なるほど。1っ週間たったのか。納得である」


 カオルはやっと色々と腑に落ちて転職先も見つかったのでリリカに聞いてみた。


 「なぁリリカ。スカイウォー。スカイウォーはないのですか?あれでたいですよ」


 「スカイウォー!?」


 リリカはスカイウォーと聞いて驚いた顔をした後に嘲笑する。


 なんでもスカイウォーは全世界から日本の大会であっても猛者が参戦しにくるほどプレイヤー人口が多く、賞金もバリ高なもので素人が手をだしていい代物ではないそうだ。


 「だってそうでしょー。あのゲーム元々は軍用に作られたシュミレーション訓練ソフトでその開発費が3000億円とか言うじゃない?まぁ実践向きとは言えなくて民間向けゲームになっちゃったらしいけどそれでも3000億円もかけたゲームだもの賞金も聞いて驚くことなかれ、1億円よ」


 そもそもが賞金の高いここ秋葉原の大会でもスカイウォーの賞金額は破格で今日から5日かけて16チームが日々1時間づつ戦闘を行い最後の決勝戦に臨むのだそうだ。


 その出場する面々は元々の軍人上がりもいれば、他のゲームジャンルで名を馳せていた人々がこぞってこのゲームに移行し、その出場者を検索ワードとしてあげれば異質な経歴ばかりだという。



 なかでもロシアのチームは11人のチームで昨年の賞金総額は111億円とプロゲーマー界隈では有名だそうだ。


 「でもでるだけならなんとかなるよぉ?」


 開催国日本である特権。本選が行われる夜の前に午前中、ここスカイタワーでオフライン勝ち抜き戦で勝った、またはいい成績を残した11名が優勝チームと対戦することができるらしい。


 それらはスカイウォー日本代表監督に選抜され、名目上勝つと賞金1億円はそのチームに譲渡されるが、イベントの催しの一つであり、例年盛り上がるように優勝チームが演じて最後は結局優勝チームが勝ちを持っていくのだという。


 「いい、それでいいよリリカ。どうやって出るか教えて」


 「え、でもいいの?」


 「え?」


 「お金取られるよ?」


 「……いくら?」


 「1万円」


 「――Web moneyでもいいかな?」



 「――貸してあげるね?」



 リリカのあきれつつも笑ってくれる笑顔に少し救われた。


 ただカオルとしてはここはなんとしても、どんなに恥をかいてでも出てやる気持ちは譲れない。


 何故なら自信があるから、何故ならもう自分を縛るものはないから。


 何故なら、このWeb money 1万円があれば朱雀院カオルはスカイウォーで



 無敵だから。




「ま、オフラインだけでも優勝したら100万円貰えるけど期待しないでおこうかなー」


 カオルは笑う。


 そしてそれと同時に、電光掲示板にKAORU.namber


 と表示されたのを見て周りから歓声が上がった。


 「カオルナンバー!?」


 「カオルナンバーってあのカオルか!?」


 「嘘だろ、あいつ大会には出たことないだろ誰かのイタズラだろ!」


 「でもだれだよ!あのカオルを名乗る奴って!!」



 あまりにも大きな歓声に戸惑うのはリリカだけ、カオルは当然のように受け入れているようだった。


 「あなたいったい?」


 「さぁ、なんだろうね」


 カオルはそのまま試合会場に入っていった。


 リリカもこの後取材等があるからわかれる予定ではいたのだけれど、この謎めいた歓声の正体に引き込まれ少し間をあけて会場に入っていったそこに聞こえる歓声はみな口をそろえて言っていた。


 






 ――ランカー狩りの初心者


 

 


  

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