ムスムスとギラギラともしかするとバチバチ
ムスムスとギラギラともしかするとバチバチが両脇に座した。
大黒舞妓が部屋に乗り込んできてからずっとムスムスしているリリカ・バイエルンと夕飯を食べに東京帝国ホテルの最上階へと向かうとそこにはすでに他の本選メンバーが集合していた。
なにやらホワイトロードとクロイが作戦会議をしているようで身振り手振りでMAPの攻略法を試行錯誤し、この後一緒にプレイしようなんて話している様子
百手のロジャーは味がわかるひとなのかなにかわからないがワインボトルを5本目の前に並べて試飲会のように一人ワインの臭いをかぎ続けていた。
他の選手もそれぞれ交流していて、Yu-Su-姉妹の姿は見当たらず、もう寝てしまったようだ。
「ロジャーさん、ワインのテイスティング?みたいなことできるんですか?かっこいいですね!」
最強は成人したらやってみたいことの一つに最強のワインの味がわかる男になりたいという願望がある。
「……いや、全然わからん」
ロジャーは外国人が故に、そしてフランス出身だとホテル側が把握しているようでこだわりがあるだろうと勝手に用意してくれたそうだ。さすが一流ホテルといったところ。
しかし、
「俺、お酒飲めないんだよね」
味も好きではないが肝の臓が弱いらしい。
堀が深く、渋いその顔立ちにしては意外な事実。
そんなロジャーの目の前に腰掛けると隣にリリカ・バイエルンが座りウエイターが料理を運んできてくれる。
――テヘロモニアママナナッチポテトのポタージュ
「――すごいや、さすが一流ホテル最強の吾輩でも知らない芋だぞ!」
うまいのかどうかなんてわからないただそれは取り敢えずポタージュ。
高そうに思える味のポタージュ。
未知なる芋に舌鼓、さぁ次は前菜かなと人影が近づいてきたので振り返る
「――――」
大黒舞妓が朱雀院カオルの横に腰を下ろした。
大黒舞妓の頬はなにかに擦れたのか黒く汚れており、
少し汗を掻いているようだ。
体を動かしてきたのだろうけど、工場で油まみれの機械を触った後のような汚れ方が目立って見える。
その大黒舞妓はアドレナリンが出っ放しなのか目がギラついて、声を発せず眼力で客係に料理を持って来させた。
「――何してたんです?」
「えぇ……?蹴散らしてきたのよ。御宅の贅肉ダルマわね」
そんなばかなと絶句。
朱雀院一族の格闘技術を極めた黒服をまさか力づくで?
そんな厚底下駄でどんな立ち回りをしたというのか
「――話すより力づくのほうが早いでしょ?我が家の家訓なの」
「――野蛮ね」
一仕事終えた大黒舞妓が決め言葉を吐き出すとそこに間髪入れずにセリフをほおりこんだリリカ・バイエルン。
大黒舞妓がアドレナリンの余波を眼光にあつめてリリカを一瞥するが、涼しげにも食事を続けるリリカに牙を削がれ大黒舞妓は視線を朱雀院カオルに戻して話し続ける。
「それと、何人かいらっしゃらないみたいですが聞いて貰えるでしょうか?」
大黒舞妓は立ち上がりその場にいる選手全員の注目を集めた。
「詳細につきましては未だはっきりと伝わってはいないのですが、本選決勝、1億の賞金がかかる試合を3日後ではなく、明日行われる事になりました」
大黒舞妓の突然の発表にどよめきおののく本選メンバーなにせ心構えも、情報収集も全然できていないし、新崎浄率いるとか銘打って練習の一回もしていないじゃないかとリミットJKが勝ち目がないじゃないかと反発する。
青春少女あけみも頬に蓄えられた贅肉をコミカルに上下させて同意する。
――今わかっているその理由としては、
プロトーナメントに出場していたチームがわずか4チームを残し、全チームが棄権をした事。
残り2日も埋める日程がなくなってしまからだという事。
――棄権の理由は不明
朱雀院カオルが大黒舞妓の肩に腕を回しみんなから背を向けるように回り込むと問いかけた。
「――まさかだけど、人体模型欲しさにプロチームまで蹴散らした?」
大黒舞妓の肘が朱雀院カオルの脇腹に突き刺さる。
「――ッゴフっ」
「――んなわけないでしょ!私はてっきり、朱雀院の奴らが大会を妨害しているものだと思ってまだ残っていたプロ選手達を別のホテルに手配したのよ。私達も別のホテルに写ってこれから練習はじめるからね!」
――確かに朱雀院側の妨害の線はあるかもしれない。でもだとしたらわずか4チームを残す理由がわからないし、そこまで中途半端な仕事をする朱雀院ではない。
不自然さが残るがとりあえず中止でないなら1億円手に入るからいいかとか勝利を確信する朱雀院カオル。
大黒舞妓はカオルを突き放して振り返り伝えた。
この食事を終えたらホテルを移動すること
ホテルを移動したら敵チーム情報の研究会をするということ
その後に研究会を踏まえての実践練習をするという事。
――MAPは黄金の眠るイラフ砂漠
「じゃぁ食事を終えたらYu-ちゃんとSu-ちゃんを迎えに行きましょう。ちなみに試合は明日夜20時からなので朝まで練習して仮眠を取って試合に臨む形になりますから覚悟してください」
――青春少女あけみが両手を頬にあててあたしの美肌が荒れちゃうわなんていっている




