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頭のおかしい朱雀院カオル

3set

――Game Start



――籠城作戦


 素直にあいての強さを見つめて自分の有利な場所にて相手を打ち構える。



 全員が目標物に近く、お互いがフォローし合える距離を保って打倒朱雀院カオルチームは態勢を整えた


 その距離感は誰かが指示するわけでもなく、研ぎ澄まされた戦場に生きる戦士の勘。



――ドゴォオオオオオン!


籠城を決め込んだ一同とははるかに離れた場所を表現するように籠った音で聞こえた爆発音。


 ――永宮 大樹 デスポイント


 ――富士山大学3年佐藤 デスポイント



 ――ドゴオオオオオオオオオン!


 ――瞬足のクロイ デスポイント


 

 2発の爆発音とともにながれる3人のキルログ。


 それは討伐者の名前が表示されなことだとすぐに理解できた。



 まさか、自殺したのか?



 朱雀院カオルを残して3人は戦線を放棄した?



 ガラスの向こうでは朱雀院カオル以外の面々が席を立ち、朱雀院カオルの操作するモニターに集まっている。


 ――舐められている。


 ――遊ばれている。


 ――見くびられている。



 各々の感情の中にスカイウォーの猛者としてのプライドが深く傷つけられるのを感じた。



 攻めるか――



 いや、攻めない。



 8人はたった一人になったとしても今度こそ油断せず、確実に、あのヘラヘラと挑発する朱雀院カオルから一勝を奪い去りたい。



 ――8人は動かない。


 ――会話はない。


 敵がひたすらにこちらへ来るのを待つ。









 ――残り時間2分を切る。




 開始と同時に自爆した3人の行動以外音沙汰なく時間だけが過ぎていた。


 それでもじっと自分の持ち場を構えるのは獲物を狩るのに牙を必死に隠しているから、


 今すぐに首元を掻ききってやりたいが確実に勝利をものにしたいから。




 ――ッコッコッコ  ――ッコッコッコ  ――ッブッブブブッブブブ



 ――来る。



 8人の中には大きく息を吸い込むもの、背筋を伸ばすもの、すべてが決戦を察した。



 動く羽音は一つ、どこから聞こえるのか、



 ――ダン ――ダダン ――ダンッダダン!



 ――発砲音


 この音はまさしく朱雀院カオルが手にしていたデザートイーグル。


 

 ――ッダン!



 ――リミットJk デスポイント



 「な、なんで!」


 リミットJKが立ち上がる。


 リミットJKが潜んでいた中央金庫内部で死んだ最中に見渡す周りには敵の姿がない。


 他のメンバーもリミットJKの死んだ傍に駆け寄り敵機を探す。



 デザートイーグルの装填弾数は7発


 今まさに新たな銃弾を仕込んでいる頃だろう。


 今のうちに手を打ちたい。



 しかし、だれも見つけることができなかった。



 ――ダン! ――ダン! ―ダン! 



 ――青春少女あけみ デスポイント



 ――ドンガラガッシャアアアアアアアン!



 青春少女は突然のストレスに怒りぶちまけてプレイモニターを瓦割りしてしまう。


 「くっそ――クゥッソゥ――」


わけもわからずやられた二人、しかし今度は全員が集まった最中に起きた事象。


 大黒舞妓はみていた、弾痕が地面を飛び散るのを、その角度、音、


 「みんな!ダクトの中よ!」


 ダクトは防衛側に有利な構造になっている、それは狭い直線をゆっくリ進行しなければいけないため、その通路を進撃中にダクトを覗かれ存在に気付かれれば相手には大きな的になるだけ、弾切れを待って攻撃できたりするのだ。


であるから一人ならなおさら攻める場所じゃない。もちろんリミットJKと青春少女あけみが交互に覗いて敵機の侵入を確認してはいたはずだ。



 ――その時はまったく、朱雀院カオルの姿は確認できていない。



 

 全員が頭上に配備されるダクトに向けて銃口を向けて打ち放つ。



 どこにいるかもわからず、朱雀院カオルを警戒して打ち続けた。


 

 ――コン、カランコロン



 ダクトの出口、排気口そこに落ちてきたのはスモークグレネード!


 咄嗟にWhite Lordがダクトに走り出して煙が充満する前にダクト内部にいるであろう朱雀院カオルを捉えようと前に出る。




 ――ズギャァァン!


 「ほぅああぁ!?」


 薄くすでに巻きあがる煙の中に、ダクトを覗けば真正面ゼロ距離でショットガンを構えて待ち受けていたのは朱雀院カオル。


 まさかこんな入り口付近に待ち構えてるとは誰もおもわず頭上の配管ばかりを攻撃していた。



 ――White lord デスポイント



 いるだろうとは思っていてもまさかの目の前に驚きこの至近距離で放った銃弾はダクトの天井を突き抜ける。



 大黒舞妓は一旦引いた。


 もうすでに充満した煙幕に追従しては足元をすくわれると、


 だがそう判断するものもいればまだいけると思ったものもいる。


 ――百手のロジャー デスポイント


 ――Yu-ちゃん  デスポイント



 この状況には姉妹でもさすがに意見が分かれた。


  「ダクト逃げてくぞ!」


 百手のロジャーがやられながらも引き始める朱雀院カオルを見つけて苦し紛れに見た者を伝える。 


 だが少し遅い、大黒舞妓とSu-は地下金庫から脱して装備品のグレネードを地下金庫にぶちまけた。



 ――ズドォオオォォォオオン!


地下金庫の中はもはやスモークグレネードとグレネードの爆煙で視界が一切を遮られている。


 それは向こうも同じでこちら側には動けないはずだ。


 そしてこの状況でまだ生きているということはダクト内で未だにげたという事。



 ――少し


 ――あと少し



 煙が晴れはじめたところで攻める大黒舞妓、まだ間に合う、ダクトから逃げ出すにはまだ時間がかかる。


 大黒舞妓はAK-99をもは乱射しながらダクト内部へと顔を出した。




 ――ズギャァァァアアァァァン!



 ――大黒舞妓  デスポイント



 ――ダンッ ――ダンッ


 ――Su-ちゃん デスポイント



 逃げたと勘ぐった朱雀院カオルはすべてを読み切ったようにWhite lordを討ち取ったまま、ダクト入り口で息を潜めていたのだ。


 逃げることはなく、自信があるからこそ、早打ちで負けない自信があったのだ。



 ――異常な迄の反射神経


 そしてその後にサブウエポンに切り替えて敵機を確認せずともダクトの壁を打ち抜きSu-の機体を沈めたシックスセンス。



 TTT-Gが卑怯な武器なんかじゃない。


 TTT-Gが壊れ性能なわけじゃない。


 朱雀院カオルが頭おかしいのだ。



 ――Game set You lose




 ――あのショットガン、もしかして虎筒じゃ……。


 大黒舞妓の脳裏に引っかかっていたものがいまやっと解れた。

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