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このスティック何回へし折ってもいい気がする

――おいどうすんだ、せっかくロードスネークのクランマスターにいろいろMAPの攻略法聞きたかったのにさ!


 そんな声が記憶の中でわずかに残り、下半身に激痛が走り目覚めたのは永宮大樹。


 気づけばホテルの一室でベットには自分ただ一人、本選候補者の面々たちは大会の試合動画をスクリーンに垂れ流しにしながら眠りについている様子。


 本選の試合のハイライトがスクリーンに映し出されて、優勝候補のロシア国籍クランが危なげなく勝利をおさめているシーンが何回も繰り返されていた。


 永宮大樹は右手を顎に当てて一言「――甘い」そういった。


 一言のつもりが欲が出てきてぼつぼつと、彼の口元からは言葉がこぼれる



 「違う、そこは読まれてる」


 「そこは引くところだ」


 「今ならBコートから挟み込めるのに」


 永宮大樹の言葉をきくものは誰もいない。


 寝静まる部屋には無数の寝息がかすかに聞こえるだけ。


 「ふっうぅ……」


 そんな中にモゾモゾと布団の中で動くぬくもりを感じた。


 その正体はなんなのか。


 永宮大樹は布団をめくろうとしたがそんなことをするまでもなく布団から腕が一本飛び出してくる。


 それにつられてちらりと見える黑い髪。


 ゆっくりと覗くと永宮大樹の横には大黒舞妓が布団にくるまり寝息を潜めていたのだ。


 「いぃ!?」


 彼女の寝相だろうか、手を永宮の胸板に這わせ、寝帰りを打つ彼女は永宮の体に密着する。


 心臓の高鳴り、自分の鼻息が荒くなっていることに気付いて正気を取り戻す。けれどそんな行為もむくわれず、大黒舞妓は体をくねらせ身を乗り出し、永宮の体にのしかかった。


 大黒舞妓の両足で身動きを封じられ、ガウンからはだける黑い下着に思わず視線が泳ぐ。


 つられてはいけない。


 二人きりならまだ煩悩がまさるかもしれない。


 けどすぐそばにはこれから一緒に戦うかもしれないチームメイトが寝ているのだ。


 手をだすにはいかない。というか、自分がまず手を出せる状態じゃない。


 そうは自覚しても時間と共に気持ちの高ぶりは収まることをしらず、下半身に激痛が広がり続ける。


 ――納めなければ。


 ――なんとかしなければ。


 永宮大樹は意を決して大黒舞妓の両肩を掴み彼女を横に押し倒そうとした。


 しかし、彼女は持ち上げられたと同時にガウンがはだけ、下着姿の大黒舞妓が永宮大樹の胸板にとびこんでくる。


 勢いよく倒れた大黒舞妓の髪は洗い立てのシャンプーの香りが鼻先を支配し、それに少しおくれて、勢いよく振り下ろされた大黒舞妓のヒザが負傷しつつもかろうじて勝ち誇るメンズスティックに垂直に押しつぶしている感覚が伝わる。





――永宮はもう一度、眠りについた。

 

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