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第一章 朱雀院 カオル

 ――。 


  

 「わっはっはっは……」


 ――。

 

 「がっはっはっは……」


 ――。


 「……あああああああああああああああああああ!!」


 長い沈黙の後に突如としてあげられる叫び声。


 何度と繰り返されるその行為。


 誰が聞いても突然大声をあげられるその迷惑音に一人の女性が立ち上がった。


 「ちょっと!馬鹿!いい加減にしてよね?」


 ノックもなくいきなりその大声聞こえる部屋に押し入ったのは風呂上りとすぐわかる金髪の濡れた髪に下にはいているはずであろう短パンまで隠れるような大きなTシャツを着た女性。


 体からはまだ少し湯気が立ち上って見えて頬をつたう滴からまだ体すら満足にタオルでふけていないようだ。


 「がっはっはっはーー……。おぉ?どうしたエリー、ビショビショじゃないか!レディーはもっと慎みを持って――」


エリーと呼ばれた彼女はそのまま足音なるように叫び声をあげた男の部屋へと侵入し、そのまま壁伝いに歩くと足先の指でコンセントを掴むと男が悲痛の表情を浮かべると同時に引っこ抜いて部屋を立ち去っていく。


 「あんたが兄であることが最高の不幸よ、消えてくんない?」


バタンとわざと大きな音を立てて閉じられた扉と、先ほどまで注視していたディスプレイ画面を交互に見比べ彼はまた叫び声をあげる。


 「あとちょっとで勝利条件みたしてたのにいいいいいいいいいいいいいいい!!!!」


 朱雀院 カオル。


 彼はニートである。


  

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