第11話 頭がよくない子の戦い方?
side ライ・メレク
おかしい
そう思ったのは戦い始めて30分ほどが経ってからだった。最初、僕と白夜の速さは同じか僕の方が少し速かったのに今では彼の速さについていけなくなることが出てきた。
僕の加速魔法は1日使い続けても速度が落ちることはないのに、白夜の速さが上がったわけでもないのにこれはおかしい。
「どうしたのさお姉ちゃん。考え事なんて余裕だね」
「大きくなったらいろいろ考えなきゃいけないんだよ!」
すぐ近くまで迫っていた蹴りを咄嗟に避け、代わりに剣で突きを叩き込む。しかしそれは簡単にかわされてしまった。やっぱりどこかがおかしいんだけどどこがおかしいのかまでは分からなくてイライラする。セインからこういう時は冷静にならなくちゃって言われているけどなかなか落ち着いてはいられない。
「そろそろ違和感を覚えたのかな?」
「そんなことを言うってことはやっぱり何かしてるんだね」
「うん!でもそれに気づくのは難しいと思うけどね」
僕は考えるのは苦手なんだけどな。どうしたらこのもやもやが無くなるんだろう?。
あーもうイライラする!!こうなったら考えるのはやめてやるもんね!
「なっ!?どうして《白夜》の《意識氷点下》が通用しないんだ!?」
何か言ってるけど無視無視。
「こんな、こんなのってありーーーーーーーー!?」
「こんな負け方ってないよー」
「あははは。ごめんってば泣かないでよ」
「うう………まあ僕が負けたのは事実だし《白夜》はお姉ちゃんのものだよ」
何も考えずに動いてたらいつの間にか白夜が倒れていた。それをみて大丈夫なのか心配になって近くに行ってみるといきなり泣き出してびっくりしたよ。
でも何とか泣き止んで僕に《白夜》を貸してくれてよかったよ。僕の中に《白夜》が入ってきて、その使い方や力の意味が流れ込んでくる。
「《白夜》のこの力のせいで僕の動きがおかしくなっていたんだね」
「そう《白夜》の力《意識氷点下》。相手の行動に対する意識をだんだんと制限する力だよ。さっきはお姉ちゃんの速く動こうっていう意識を制限していったからお姉ちゃんは気づくことができないままに速さが落ちてたんだよ」
「僕のイライラはこれが原因だったってわかってよかったよ。考えるのはやめたけどやっぱり気にはなってたんだ」
「これで儀式は終わってお姉ちゃんは《白夜》を使えるようになったけど気を付けてね。《意識氷点下》はたくさん試していかないとうまく扱えないからね。最初成功しないからって諦めないでよ!」
「うんわかった!それじゃあまたね白夜」
「またねお姉ちゃん」
そうして僕の目の前は暗くなって………