紀行・舞鶴/旧海軍の赤れんが倉庫群
港湾を東西に縦断する国道二七号線沿いで、舞鶴東港に臨むところに倉庫群が残されている。旧海軍の兵器や軍需品庫を納めた倉庫群である。近くの喫茶店でマダムにお話しをうかがうと、かつてはもっと倉庫が立ち並んでいて、だいぶ取り壊したのだそうだ。幼かった頃、倉庫は荒れていて、なにやら、『伊勢物語』「しらたまか」の段にでてくる、古蔵の鬼でも潜んでいそうで、ご両親の車に乗せられていても、ここを通り過ぎるときだけは、目をつぶって通り過ぎたのだという話をきいた。
煉瓦倉庫を取り壊しはじめて舞鶴市はふと気づいた。
――これって案外価値があるかも。
となって、保存に乗りだしたわけだ。
上から一つめの写真は予備艦兵器庫(市政記念館)左と弾丸庫並小銃庫(まいづる智慧館)。二つめの写真は第一水雷庫および電気庫、三つめの写真は二つめの写真の出入り口部分でトロッコ軌道が両者を連結している。古いまま整備されておらず当時の息づかいを知ることができる。四つめの写真は第三水雷庫(赤煉瓦5号棟)の内部で現在はイベントホールに改装されているのだが、トロッコ軌道がちゃんと残されているのが面白い。トロッコはレール軌道をつけた手押し荷車で、トラックやフォークリフトが発展していない時代はなにかにつけて活用していた。いずれも築明治三五年で倉庫群では古いほうだ。
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左から予備艦兵器庫と弾丸庫並小銃庫
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左から電機庫と第一水雷庫
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電機庫と第一水雷庫の出入り口
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第三水雷庫内部




