紀行・舞鶴/護衛艦・ヘリ空母「ひゅうが」
ヘリコプター空母・護衛艦「ひゅうが」。
京都府舞鶴市にある東舞鶴港は戦前も戦後も軍港だ。
映画館が一軒、自衛隊基地のある海に臨んだ山間の地方都市という設定といえば桜庭一樹の小説『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』の舞台を彷彿とさせるところだが、島根県だというそこよりは華やかな気がする。――というのは一介の自衛隊駐屯地ではなく、ふつーに、イージス巡洋艦やヘリ空母といった、サヨク新聞がよくネタにする護衛艦がずらりと並んでいるからだ。
この町を訪れたのは別件の取材だ。取材といっても別に私はマスコミ関係者ではなく、趣味でやっているアマチュア小説のネタを拾いにきたのだ。……取材中に、土日祝日、遊覧船がでて舞鶴港を一巡し自衛官OBが各艦船・諸施設を案内してくれるというので、乗船してみた。遊覧船は「あさなぎ」といい、定員八十名、排水量十九トンの小型船だ。デッキと船内に客席がある。
遊覧船が十一時に出港すると、デッキにいる解説員・自衛官OBがマイクを片手にいった。
「あれがいま話題のヘリコプター『ひゅうが』。全長一九七メートル、全幅三十三メートル基準排水量一万三九五〇トン、搭載ヘリコプター最大十一機。……甲板の先っぽが平たいでしょ。よくマスコミが、『空母だろ』って騒ぎ立てるんですがね、専門家がみれば一発で判りますよ。あれじゃ戦闘機は飛ばせません。甲板の先端が上に反っているのと、カタパルトがあってはじめて、戦闘機を飛ばせます。――とんだお笑い草ですよ。あの船からはヘリしか飛ばせません。ヘリは対潜哨戒用ですが、災害時には救難用ヘリを搭載します。また船は病院船でもありまして、手術室が複数あって、そのへんの県立病院なんかよりもはるかに設備がいい」
ノート2015.04.06/取材2015.04・05
遊覧船「あさなぎ」
護衛艦・ヘリ空母「ひゅうが」 後方から
護衛艦・ヘリ空母「ひゅうが」 前方から




