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もう一度妻をおとすレシピ 第5冊  作者: 奄美剣星(旧・狼皮のスイーツマン)
紀行・一乗谷
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紀行・一乗谷/朝倉館と庭園、将軍御所 ノート20150420

   朝倉館と庭園、将軍御所

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挿絵(By みてみん)

    朝倉館の堀と松雲院唐門しょううんいんからもん

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 朝倉義景公の王城たる居館は、後背の山に向って土塁と堀一重をコの字に巡らした館だ。裏山は一乗谷城という山城で、戦国時代にパターン化した詰城である。平時は麓の居館で政務をとり、有事は詰城に籠って、敵を迎え撃つ。……朝倉館の跡地は、豊臣秀吉の時代に義景公を弔う寺院となった。この山門は江戸時代のものである。

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挿絵(By みてみん)

    朝倉館庭園の礎石群

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 居館内部に入ると整然と並ぶ礎石群が目に入る。戦国時代は地面に直接坑を穿って柱を突っ込んで建てる掘立柱建物が主流だが、京都に近いためか、東国では寺院くらいにしか用いられなかった、お洒落な、礎石建物が多い。十数棟ここから館の形状を推測でき、既存の資料や宮大工などの助言から、建物の、だいたいの形を推定することができる。

 朝倉館のすぐ南に湯殿跡庭園があり、そこで一度縦堀が穿たれ行き止まりになる。現在の散策路には木橋がかけられ、南向こう側にゆける。

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挿絵(By みてみん) 

   後背の山から麓の館に至る縦堀

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 ここでは小川のようにみえるが、縦堀は山城の傾斜に沿って下るように穿たれたもので、防御と郭の区画という目的のほか通路としても使用されていた。縦堀の南向こうにあるのが中の御殿だ。

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挿絵(By みてみん)

    中の御殿

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 朝倉館が政府機関であるならば、中の御殿は江戸時代風でいうところの大奥で朝倉氏の家族が住むプライベート空間である。

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挿絵(By みてみん)

    諏訪館庭園

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 諏訪館は、大奥である中の御殿を南に拡張した施設とでもいうところか。朝倉家第五代・義景公の夫人・小少将の居所である。敷地南東隅には林泉回遊式庭園がある。諏訪館跡庭園は一乗谷にある国の特別名勝四庭園のうち最大で、後背の山から流れ出す沢の水を引き込んでおり非常に美しい。

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挿絵(By みてみん)

    御所・安養寺跡

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 自動車に乗って当時の市街地内にある朝倉館から一キロは南にゆくだろう郊外にでてみることにした。道路は、南北に縦断する屏風のような二つの尾根の間にある谷底を抜ける一乗谷川の左岸に沿ってあり、南に遡ってゆくと、要塞都市一乗谷・南の市門たる「上の城戸」の外側にでる。パッと視界が開けた土地になるそのあたりには小学校があり、前に三叉路がある。そこに東側・右岸へ車で渡れる橋があり左折、五百メートルもいかぬあたりの山すそに「御所・安養寺跡」と書かれた看板が建てられた場所にでる。――朝倉館後背の山城・一乗谷城のある東尾根の南麓でもある。

 そこにあるのが安養寺跡だ。

 寺の創建は一四七三年(文明五年)、朝倉敏景公の時代で、儒学の講義がなされていた学校でもあった。近畿地方一帯を支配した三好家一党が将軍・足利義輝を殺害すると、明智光秀・細川幽斎らが僧侶になっていた弟の足利義昭を還俗させ、室町幕府第十六代将軍に奉じ、三好家に対抗し得る勢力である朝倉家を頼ってきた。

 義昭のために御所が寺敷地に建てられ亡命政府となったところだ。現在は、城郭の曲輪にも似た土台である、斜面に盛り土して平らに整地した跡。そこに設けた小規模な池の跡が残っているのみだった。

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     ノート2015.04.20/取材2015.04.02

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